護衛は大事です
授業が終わるなり教室を飛び出した私はローワンさんを捕まえ…られなかった。
歩くのが速い、なんせ背も高ければ脚も長い、動作が俊敏。小柄で制服のスカートである私じゃ碌に走れもしない。
「ローワン様!お待ちください!」
「ババリアーナ嬢、校内ですので先生とお呼びください」
「ろ、ローワン先生!このあとお時間ございますか?」
「授業です」
「ですよね」
浅はかなり。恥ずかしい。でも諦めちゃダメだ。
「放課後は?放課後はお時間取れませんか?」
「剣術の実習が」
現実は厳しい。思わず項垂れる。
「…何かお悩み事でも?俺で良ければご相談に乗りましょうか」
顔を上げる。難しいお顔でローワンさんが手帳をめくっていた。スケジュールを確認してくれているのだろう。
「10分!10分お時間をいただけませんか、出来れば本日中で…!」
「分かりました、では六の鐘の後に、警備詰所まで来て下さい」
「!ありがとうございます!!」
会釈したローワンさんはあっという間に見えなくなった。歩行速度が速すぎる。
放課後、寮の自室へ戻るとミラベルさんがまたお茶とお菓子を用意してくれていた。
「お帰りなさいませババリアーナ様、今日は平穏無事に終えられましたか?」
「ミラベルさん、私ちょっとお出かけしますわ。すぐに帰りますので」
「まあ、雑用なら私に言ってくだされば」
「いえ、ちょっとローワン先生にご相談したいことが」
「ローワン先生…騎士課の??何故ですの?」
「あ、あの、本日の授業のことで」
「ババリアーナ様は社交課ですので、騎士課の内容はそこまで重視する必要は…」
「いえ!護衛は大事です、蜂に刺されず噴水に落ちないためにも!行ってきますわ!」
危なかった。まさか『ババリアーナはどんな人物だったのか』を聞こうとしているなんて言えない。ミラベルさんがまた倒れてしまう。




