星灯祭 三
クラウゼン先生と何やら話し込んでいるアルフォンス王子、女の子に囲まれて甘い言葉を囁いているカイル王子。
ノエルさんは魔法で蝶を舞わせるショーをやっていた。子供たち大喜び。レオンハルトさんは騎士課の皆と会場の準備に取り掛かっていた。
セシルさんは楽団の方と一緒にピアノを奏で、素晴らしい演奏で観客から惜しみない拍手をもらっていた。
「攻略対象たちが…攻略されてませんわ」
「フラグが立ってたはずなのに変だな…バグか?」
本来リリアは誰か一人と一緒に屋台を回るはずらしい。これが最終フラグになり、ルートが定まるらしいのだけれど。
「エヴァンの熱い思いがストーリー捻じ曲げちゃったかぁ…」
「気持ち悪い言い方すんな!俺にそんな力ねぇよ!」
「じゃあ、未来を変えられた、ってこと?」
それは私が心の底から望んでいたこと。どうにかフラグをへし折りたくて東奔西走したが、無駄じゃなかったのかもしれない。…そんな期待をしてしまうじゃないか。
でも少し怖い。誰かと結ばれるはずだったリリアの未来を変えてしまったのではないか。リリアの幸せを奪ってしまったのではないか。
「お待たせしましたわ、クッキーが残り一袋でしたの」
「リリア嬢、おかえりなさい、ありがとう」
…ちょっと探りを入れてみようかな、なんて。
「リリア嬢、昨日はアルフォンス王子と踊られましたの?」
「ええ、光栄ながら」
「お慕いしている方と踊るのは、どんな気持ちなのかしら」
「それが…よく分からなくなってしまって」
「えっ」
「私、アルフォンス様の近くにいくと、緊張してしまって、上手く話せなくて。なのに少しでも近くにいたいってずっと思ってました。けれど、今は普通にお話できるんです、その時間を心から楽しいと思うんです。だけれど」
リリア嬢が言葉に詰まる。…うん、それはトモダチだね。
「恋って難しいですわ、ババリアーナ様」
「そうね、難しいわね」
「私、ババリアーナ様とこういうお話、ずっとしてみたかったのです」
「…私もよ、リリア嬢」
友達と恋バナとか憧れてたっけ。まぁそもそも好きな人がいなかったんだけれど。
その時、遠くから走ってくる青年の姿が見えた。
「ーーいた!やっと仕事がひと段落したんだ、一緒に回ろうよ!」
騎士課のレオンハルトさんだ。騎士課の制服が良く似合う、明るい茶色の髪に空みたいな青い目の、爽やかな男の子。
「分からないうちは、沢山の殿方とお話してみるのもいいかもしれないですわね、リリア」
「もうお腹ペコペコだよ、行こう!ババリアーナ!」
「えっ」




