星灯祭 二
「ババリアーナ様!ダイフク、食べてみてくださいませ」
「香ばしいお茶もございます!」
屋台の生徒たちに声をかけられる。そういえば、この世界に来たばかりの頃は、皆に避けられてたな。こういうのじんわり嬉しいな。
「モチの硬さ、どうですか?柔らかすぎないか不安で…」
「騎士課の方々が少し張り切りすぎてしまったようですわ」
「……おいしい」
私の一言で皆がほっとした顔になった。すっかり大福奉行となってしまったようだ。
「おい、あんまり餌付けすんなよ。ドレス入らなくなるぞ」
「色んなハラスメントで訴えますわよ」
皆が私と話してるその男は誰…?とざわざわしている。こっそり逃げようとしたってそうはいかないぞ。
「どこへ行くんですの?エヴァン」
「エヴァン…??あの、おどおどしてた…?」
「ババリアーナ様にくっついて回ってた、暗い感じの…??」
皆が騒然となったところで、エヴァンを一目見て鼻で笑ってやった。木の影からブチ切れていて大変面白い。
そこへリリア嬢がやってきた。
「ババリアーナ様!屋台、一緒に回りましょう」
「えっ、リリア嬢、アルフォンス王子と回られるのでは?」
「いいえ、ババリアーナ様と一緒がいいんです」
どうしよう。素直に嬉しい。まるで友達みたいじゃん。
「エヴァンも影からご一緒しても大丈夫かしら?」
「ええ、もちろん!…何故影からですの?」
「何故かしらね?ねぇエヴァン」
エヴァンが咳払いして木の影から出てきた。惚れた男の弱みだねぇ、とにやにやしてると睨んできたけど、リリアの手前キレられなくて黙っている。草。
「ババリアーナ様、昨日はどこへ行ってらしたのです?」
「ダンスが苦手な騎士様がいらしたので、気分転換に外へお連れしたのですわ」
「まぁ…優しいんですのね。でも私、ババリアーナ様が殿方と踊られるところ、見たかったですわ」
「私と踊りたい殿方なんておりませんわよ」
「そんなことないです!」
リリア嬢が珍しくきっぱり言い切った。びっくりした。
「色んな殿方に聞かれましたわ、ババリアーナ様はどこにおられるのかと。エヴァン様も寂しそうでしたわ」
「おい変なこと言うなリリア!そんな訳あるか、目の錯覚だ!」
心の清い方といると、自分が浄化されて成仏してしまいそうですわ。馬場は思いました。




