星灯祭 一
断罪されるかもしれない、運命の分かれ道の日の朝。私は自室でみーちゃんと睨み合っていた。
「ぅな」(私を連れて行きなさい)
「今日だけは絶対にダーメ、危なすぎる」
「ぅなん!」(私は守護する者ですよ)
「みーちゃんの安全のが大事です!」
「なーーーぁーーーんーーー」(今日連れてかないでいつ連れていくのです)
「ダメ、絶対ダメ。ぐーちゃんとお留守番してなさい」
「なん!」(我は猫神ぞ)
「ババリアーナ様!いつまでタヌキと会話してるんですか!遅刻しますよ」
ミラベルさんに怒られ、時計を見てぎょっとした。覚悟を決め、私はみーちゃんの鼻先に顔を近づけて言った。
「ーーいい?危ないと思ったら逃げること!飼い主は置いてきなさい」
「なん!」(このバカタレ)
どこの世界に頭に猫を乗せて儀式に参加する令嬢がいるのだろう、と思いつつも、仕方なしにこっそり二匹を連れて行く。え?ぐーちゃん?だって一人だけお留守番にすると可哀想じゃない。
星灯祭当日、快晴の朝。
どこかで花火の音がする。ファンファーレが鳴り、楽団の演奏が聞こえる。
生徒たちの楽しげな話し声、笑い声。屋台から漂う香ばしい香り。
「忘れてましたわ…私、こういう場苦手でした」
「今更すぎるだろ悪役令嬢…」
どうにも男装のエヴァンに慣れない。女装に戻りません?って言ったら怒るかな。
「あっちもこっちも陽キャ!ジュブナイルが眩しい!どいつもこいつも友達やら恋人やらと戯れてて羨ましいチクショー!」
「どんな青春送ってきたんだよ」
…でも忘れてはいけない。隣のコイツこそが青春真っ只中にいることを。昨日どうだったんだよ!
「昨晩はリリアと踊れました?」
「……まぁ」
「まあ!!やったじゃない!」
興奮のまま思わず肩を引っ叩いてしまった。エヴァンが痛えよ!と怒鳴る。
「それで?それで?その後は?」
「…王子と、インテリとか騎士とかと、攻略対象皆と踊ってた」
「はい?」
何全部のフラグ残してんねん。
「そこはリリアをかっさらって『夜通し二人で踊ろう』とか言うとこでしょ!何でライバルに譲っちゃうの!」
「うるせえよお前こそ昨日どこ行ってたんだよ!気付いたらいねえし帰ってこねーしで、ババアずっと探してたぞ!」
…すみませんでした、反省いたします。




