どこを目指してるんですか
一風変わったティーパーティは好評に終わり、あれから『ダイフクはどうやって作るのか』『香ばしい茶葉が欲しい』と尋ねられることが増えた。水田も畑も大分拡張した。ぐーちゃんは大忙しだ。
たまにぐーちゃんに餅を、みーちゃんに小豆を分けてあげると喜ぶ。変な猫たちだ。
「いっそのこと喫茶店でも開いたら一儲けできそうですわ…」
「どこを目指してるんですか、ババリアーナ嬢」
私の呟きに苦笑いするクラウゼン先生。今日は星灯祭実行委員に用事があるそうで、わざわざ生徒会室まで足を運んでくれた。
「星灯祭前の忙しい時期にすみません、ちょっと学園の帳簿で気になる数字がありましてね」
クラウゼン先生がテーブルに帳簿を広げる。数字がずらりと並んでいて、見ただけで軽く眩暈がする。先生は一箇所、数字を丸で囲んだ。
「この日、借方に大きな数字の移動があるんですが、項目が特別支出となっており、使途は不明なんですね。領収書も探したけれど見つかりませんでした。時期的に星灯祭に関係のある出費ではないかと思いましてね、どなたか何かご存知ないでしょうか」
委員長含め、皆が顔を見合わせ首を振る。クラウゼン先生は『やはり、そうですよね』といってため息をついた。
「クラウゼン卿、実行委員の帳簿をご覧になりますか?」
「念の為…ですが、この金額を一生徒個人が動かしたとは考えにくいです」
ティーパーティをやってみて気付いた。人が動くこと、それはお金が動くこと。お金が動けば物が動く。働いてくださった食堂の方、生徒たちに本来なら賃金を払わなくてはいけないところを、お茶とお菓子を振る舞う代わりに、無償労働していただいた。
……そしてノエルさんにゴリゴリに説教と嫌味をくらった。
生徒会室を出たクラウゼン先生を追いかけて呼び止める。
「先生、ティーパーティの許可をいただけたこと、金銭面で調整に入っていただいたこと、お詫び申し上げるとともに、心から感謝いたしますわ」
「いいんですよ、ババリアーナ嬢。好きなようにやれと言ったのは私です」
「それで……あの、例えば、大福を生徒たち自身で事業にする、というのは、馬鹿げておりますでしょうか」
「いえ、とても面白いと思いますよ。でもそれは貴女が指示をして行うよりも、生徒たち自身が発案し、行動した方がよりよい結果になるでしょうね」
「そう……ですわね」
「優しい貴女のことですから、収益が真にお金を必要とする者へ、流れるようにしたいと考えたのでしょう?その発想はとても大事です。でも、お金が必要な時に、どうしたら富を増やせるか。考えることが経済の発展にも繋がるのですよ」
うーん、亀の甲より年の功。クラウゼン先生のが何枚も上手だった。




