毎度お馴染みの悪役令嬢
ペネロペ嬢のチラシが功を奏したか、休日であるにも関わらず、ティーパーティには沢山の生徒が参加してくれた。
おかげで食堂は目の回る忙しさだった。猫の手も借りたい、いや猫はいるんだけどさ。
「ババリアーナ様、お米がもうございません!」
「なんと!?在庫の見積りが甘かったようですね……ちょっと稲を収穫してきますわ!」
「ババリアーナ様!茶葉も足りません!」
「ちょっとカイル王子に頼んできますわ!」
あちこちで呼ばれて、もう分裂したいよ私は。エヴァンが体鍛えててくれてよかった、超力仕事だった。
「ババリアーナ様、大丈夫ですの…?何かお手伝いできることは」
「リリア!あの、稲をぐーちゃんにカイル王子に稲刈りの茶葉を」
「ババリアーナはネジが十本ぐらい飛んでるから気にすんな、カイル王子に茶葉の追加を頼んでくれ」
「分かりましたわ!」
リリアちゃんめっちゃ働いてくれる。ええ子や。
「うおっ、もういい時間だ。開会の挨拶すんだろ?着替えてこいよ」
「エヴァンも行くのよ!早く変身しておいで」
一言余計なんだよ!といつものテンションでキレられつつ、後は食堂の人たちにお任せしよう。
「騎士課のみなさんが餅をついて運び、社交課のみなさんでお茶を淹れ、魔法課のみなさんで演出……農政課のみなさんは稲刈り、総動員すぎる」
「悪役令嬢っつーかブラック企業の経営者かよお前は」
「うーん悪いことしてるなって感じがするね」
ティーパーティの開幕。いつもの食堂に吊るされたガーランド、飾られた花々。令嬢たちの色とりどりのドレスと令息たちの礼服で華やいでいる。
「みなさま、毎度お馴染みの悪役令嬢ババリアーナですわ。本日は一風変わったお茶菓子をお楽しみくださいませ」
クッキーとフィナンシェの代わりに、大福とフルーツたっぷりのぜんざいを。紅茶の代わりに緑茶とほうじ茶を。おせんべいも焼いたので甘じょっぱループに陥るといいですわ。
リリア嬢の座るテーブルには、アルフォンス王子、カイル王子、ノエルさん、レオンハルトさん、セシルさんと攻略対象がずらり。ミラベルさんが見たら倒れてしまうかも知れない。
その中に居心地悪そうに座っているエヴァンが面白くて仕方ない。




