民の胃袋を掴む作戦ですわ
「ぐーちゃん、これさっき見た稲からできたのよ。稲、育てられる?」
ぐーちゃんは『すわ』と鳴くと、調理室から飛び出していった。
慌てて追いかけると、何故か皆も一緒についてくる。ていうか正統派騎士……レオンハルトさんとチャラ王子……カイルが混ざってるのなんでだよ。
「レオンハルト、何故君がいる!?」
「実習中になんか人混みが見えたから、面白そうだなと」
「また君か、ババリアーナ嬢。今度はどんな悪事を?」
「民の胃袋を掴む作戦ですわほほほ」
ぐーちゃんは水田と畑の前に座っていた。先ほどのように前足を合わせている。稲と小豆が光に包まれ、ぐいぐい伸びた。
稲は穂を垂れ、小豆はたわわに実った。
「ぐ、ぐーちゃん!!!すごい!」
ぐーちゃんはその場でまたくるくる回り、皆に拍手されてまんざらでもなさそうだった。
「これで大福が作れるね!おっとあんみつも作れるな……ペネロペ嬢、催し物の宣伝もできる?」
「条件次第です」
「アルフォンス王子とリリア嬢も招いてティーパーティをしましょう。どうです、話題性抜群でしょ?」
「交渉成立です」
悪役令嬢の極意その二、自分の願望のためならためらいなく他人を売る。
ティーパーティの提案をするとノエルさんに『星灯祭の前に余計なことを!』と怒られ、アルフォンス王子がそれを宥めた。リリア嬢は目が星空みたいにきらきらしていた。
ミラベルさんにもとんでもない!と怒られたけど、王子が二人来ることを伝えたら黙った。食堂の皆さんにはお手伝いをお願いし、エヴァンには笑顔でエプロンとハンマーを渡した。案の定ブチ切れていた。
ペネロペ嬢の作成した新聞ならぬチラシを届けに、詰所にも足を運んだ。
からんころんと鳴るベルが耳に心地いい。
「悪役令嬢、また悪事か?」
「宣伝ですわ、学園全体で大規模なティーパーティを開こうと思いますの」
「星灯祭まで二週間もないのに、正気か?」
ローワン先生の呆れ顔もまた素敵。
「あまり動き回ると護衛が大変なんだが…」
「アリバイ作りのためです!仕方ないんです!アガーテ先生のお墨付きです!」
「それを言われるとなぁ…」
頭をがりがりと掻き、ため息をつくローワン先生。私を守るって言っちゃったもんね、うふふ。




