一番火力が高そうでしたので
頭にタヌキ(猫)、腕の中にキツネ(元猫)を抱えて歩く。何故か魔法課の生徒たちがぞろぞろついてくるので、ペネロペ嬢が『事件の香りがします』と言って混ざってきた。
「あの……何故ノエル様までついてくるんですの?」
「君を見張る為に決まっているだろう、召喚獣二体も連れて一体何をするつもりなんだ」
「獣ではないですわ、神様ですわ」
『……すわ』
腕の中のぐーちゃんを見つめる。ぐーちゃんは小さく『すわ』と鳴いた。『コン』じゃないんかい。
畑と水田に着いた。餅米も小豆も植えたてでまだ芽すら出ていない。その様子をぐーちゃんに見せてやる。
「ぐーちゃん、こっちが餅米、こっちが小豆。大きく育てられるかな?」
ぐーちゃんは地面に降り、その場で弧を描くようにくるくる回ると、ぴたっと止まり前足を合わせた。
稲と小豆がきらきらと光り出す。生徒たちから歓声があがる。
稲と小豆が背を伸ばした、……一センチほど。
「……おう」
私はうなだれ、ノエルさんは小さく吹き出し、ペネロペ嬢は伸びた稲と小豆の長さを測っていた。
ぐーちゃんは私を見上げて『すわ』『すわ』と鳴いている。どうした抱っこか。
ぐーちゃんを抱き上げようと手を出すと、ぐーちゃんは前足で手を叩いた。
「痛い、いたい、もしかしてお供えを要求してる??どうしようお稲荷さんなんてないよ〜〜〜」
そうしてる間にもぐーちゃんは足首に噛みつき、みーちゃんは威嚇する。この獣の合戦を止めなくては。
「あ!米、お米食べる?この間のお餅の残りがあったはず」
そのまま調理室に移動する。冷暗所に置いたお餅を取り出すが、カチコチに固くなっていた。
「……どなたか炎の魔法、使えませんこと?」
「何故私を見つめるんだ」
「一番火力が高そうでしたので」
ノエルさんがため息をつき、杖を一振りしてかまどに火をつけてくれた。鍋に水と餅を入れ、かまどに吊るす。
ぐつぐつ煮える鍋の中の餅をトングで掴むと、流水にさらす。小さくちぎってぐーちゃんに差し出してやった。
(※動物に人間の食べ物をあげちゃいけないよ、餅なんてもってのほかです)
ぐーちゃんは餅のにおいを嗅ぎ、舐め、そのまま食べた。ぺろりと平らげたので、気に入ったようだ。




