それは禁忌魔法ですわ
「ババリアーナ様まで!もう、私たちはお米をいただきに来たのですわ!ここを通してください!」
「米?ちょうど我が国が交易で手に入れた、珍しい異国の米があるよ」
「これのことでしょうか」
農政課の生徒が手に持っている稲と米粒を見せてもらった。……細長くない、丸っこい。すごく見覚えのある米だ。
「カイル王子、この米を火を通してみたのですが、とても粘り気が強く……我が国の料理には合いません」
「これはどのように調理して食べる物なのでしょうか」
「ふむ……なるほど、僕らの国の米はさらっとしているからな。調べさせてみよう」
「くれーー!!!じゃないくださいまし!!!そのお米!!!」
いきなり割り込んだものだから近くにいた人がちょっとよろけた。ごめんねデブで。
「いじ汚ねえぞババリアーナ」
「違う!これきっと餅米!!餅にできるよ!ああでもあんこがない!!」
「モチ……?」
「調理方法をお見せしますわ!調理室までついていらっしゃい!」
中庭を抜ければ本館の反対側にある建物が食堂兼調理室。農政課の生徒さんたちもちらほらやってきて、大所帯になった。みーちゃんは必死に隠れようと頭の上で丸くなっていた。
調理室でもみ殻を取った米をザルに入れてはたと気付く。……これ一晩漬けないとだめじゃん。
「……どなたか、時間を操る魔法を使えませんこと?」
「それは禁忌魔法ですわババリアーナ様……」
「仕方ない、ちょっと硬い餅を作ってみよう!」
お米を普通に研ぐ、水につけて炊く、その間にお餅につける調味料を探す。きな粉がねぇ、醤油がねぇ、この世界には大豆がねぇ。
待て、豆ならある。給食に豆のスープ出るじゃない、豆を煮るんだ。
「……農政課の方々、豆を分けてくださいません?」
「豆ですか……?何をされるのです」
「煮るの手伝ってください。ついでに砂糖もくださいな」
悪役令嬢の極意が分かってきたかもしれない。人をこき使うことだ。




