米食いてえな
まず、ほうじ茶が飲みたい。赤肉メロンが食べたい。スコーンにクロテッドクリームを添えたい。……米食べたい。
食べれないとなると味噌汁だの醤油だのが恋しくなるな、いっぱい食べておけばよかった。
中庭のベンチで、ひとしきり食べたいものを紙に書くと、叶えられそうなもの、そうでないものに分けられそうだ。
「ババリアーナ様、何を書いてますの?」
ひょこっと現れたリリアは今日も可愛い。リリアに全く警戒されなくなったのは良いことだ。
「ふふ、故郷の食べ物を思い出して……
「今食いたいものひたすら書き出してんだよな!すげえ食い意地だなババリアーナ!」
そして何故か出てくるエヴァン。私が余計なことをしないように見張ってくる。うっとおしい。
「エヴァンは何食べたい?酒?つまみ?」
「俺はまだ学生だ!酒なんか飲むか!」
そういいながら私の書いた紙を取り上げ、目を通して、ぽそりと呟いた。
「……米食いてえな」
「あら、学園にございますわよ」
「えっ」
「確か農政課の方々が実験的に育てておりますわ」
「ブラボー!米!分けてもらえるかしら」
「……事件の予感」
どこからかペネロペ嬢まで現れた。この人の神出鬼没さが今はありがたい、かもしれない。
農政課に行くと、何やら人だかりができていた。その中に一際目立つ、浅黒い肌に髪が漆黒の男性がいた。
「「……セクシー異国王子……」」
百歩譲って私はいい。だがエヴァン、お前はその発言ダメだろう。
異国王子がこちらを見るとみるみる笑顔になる。
人混みをかき分けてこちらへ歩いてきた。
「リリア!」
「えっ…カイル?」
リリアにとびきりの笑顔を見せる異国王子、二人は知り合いだったようだ。エヴァンが面白くなさそうな顔をしてるのが面白…気の毒である。
「アズィール王国の王子と知り合い?」
「リリア嬢はすごい人脈をお持ちだ…」
周りが一気に騒がしくなるけれど、異国王子本人は意に介さない。リリアは目をぱちぱちさせた後、膨れっ面になった。




