我を連れてゆけ
リリア嬢とエヴァンとお茶の約束を取り付けてやったぞ、ふふふん。アルフォンス王太子も呼んで、ぜひリリアを巡る熱い修羅場が見たいとも思ったけど、エヴァンが気の毒なのでやめておいた。
「なん」
「なーにぃ、みーちゃん?ご飯かなーおもちゃかなー……こ、これは…!みーちゃんの後ろに『我を連れてゆけ』って文字が見える…!!」
守護霊のはずのみーちゃんだが、みーちゃんが危険に晒されたらたまらないので大体お留守番にしていた。どうやらそれにご立腹らしい。
「うーん…お茶会ぐらいなら大丈夫かなぁ」
キッチンからミラベルさんの声が聞こえる。スコーンが焼けたらしいな。
テーブルの上には所狭しと並べられたジャム。オレンジ、いちご、ラズベリー、レモン、ぶどう。色とりどりのペーパーナプキンに銀色のカトラリー。用意周到すぎる。
「ミラベルさん、ジャムこんないらないよ…」
「何を言ってるんですババリアーナ様!好きなものを選べるのが楽しいんじゃないですか」
「ミラベルさんも今度お茶しましょうね、格好いい殿方を沢山ご招待しますわ」
「な、わ、私は結構です!!…参考までにその殿方のお話は聞きたいですけれど」
ミラベルさんもお年頃の女の子ね、うふふ。侯爵令嬢の権力を最大限使ってキラキラ男子たちを誘おう。
バスケットにスコーンを詰め、ジャムを詰め、クロテッドクリームがあれば最高なんだけど、この世界にはまだないっぽい。そういうの、魔法でなんとかならないかなぁ。
「……そういえば、私の『属性』って何だろう」
リリア嬢とアルフォンス王子が光で、私は光ではない何かだ。炎とか雷とか格好いいな、一番便利なのは生活魔法に強い全属性ってやつかな。
確か借りた本に、属性を調べる簡単な方法が書いてあった。
「水晶に手を添えて目を閉じ、呪文を唱え…自分の魔力が属性に応じて、水晶の中で形をつくる…ほんとかな」
私と瓜二つのこの肉体はババリアーナのものらしく、私にはない魔力が流れている。
水晶が熱を発するのを感じた、きっと魔力が具現化したんだ。恐る恐る目を開けると、そこには黒く濁った水晶があった。




