悪役令嬢の才能ないですわね
エヴァンに呼び出されて植物園に来てみれば。
「悪事ってのはな、こういうことだよ!」
容赦なくハーブ園のハーブを引っこ抜いた。
「……なんて酷い、お手入れされてる方の努力を踏みにじる、あるまじき行為ですわ」
「おらおらおら!全滅させてやるぞ!!」
そこに通りかかった植物課の先生が悲鳴をあげる。
「まぁ!……まぁ!!うっかり増えすぎてしまったミントを全部抜いてくれるなんて!優しい子だねぇ」
「あ?」
「あら」
どろんこになったエヴァンの肩の力が一気に抜けた。そこへすかさず駆けつけるペネロペ嬢。
「ーーエヴァン嬢、雑草抜きを一人でこなす。粗暴な言動と裏腹に優しい一面」
「おいやめろ!!!もっと悪役らしいとこ取材しろよ!!」
続いて図書館に来てみれば。
「おらおらおら!!本をバラバラに並べてやるぜ!!大騒ぎしてやる!!」
「司書さんたちの努力を踏みにじる悪辣な行為…!!」
何事かと駆けつけた司書さんが叫ぶ。
「あった、ありましたわーーー!!!無くしたと思っていた希少本が!!」
「あ?」
「………(笑)」
「エヴァン嬢、紛失していた希少本を発見。司書に感謝される」
「あってめ!!やめろ、書くな!!!」
中庭で談笑していた令嬢たちの髪を引っ張り、「邪魔だどけ!」と言ったところに暴れ馬が突っ込んできたり。
授業中の教室に飛び込んで妨害してやるーと息巻いてたら、実験に失敗して毒ガスが発生してたところを換気して助けてしまったり。
「全く参考になりませんわ…貴方、悪役令嬢の才能ないですわね」
「うるせえよ!!なんだ才能って!!」
「エヴァン嬢の悪事、また失敗……全て善行となった模様」
「おめぇも書くな!記事にすんな!!!」
ペネロペ嬢がふっとこちらに向き直る。私も悪事を働けとか不満を言われるだろうか。
「……面白いです」
「エヴァンが?」
「ババリアーナ様の周りは事件に溢れている。非常に記事の書きがいがあります」
「それは何よりですわ、がんがん記事にしてくださいませ」
「俺は許可してねぇよ!!ババリアーナとリリアだろ記事にすんのは!!!」
「じゃあリリア嬢のところに参りましょうエヴァン」
「そうじゃねぇよ!!聞けよ!!!」




