全員ちょっと嫌かなっていう
リリアの恋路を邪魔しないこと、悪役令嬢のアリバイ作りと不審者対策。あと出来ることは結界石の見張りだ。
「でも誰に何を伝えればいいの…?『結界石が危ない』なんて言ったところで、信じてくれるか」
「逆に不審がられるな、もう少し分かりやすく不審な動きが出てくればいいんだが。それとお前、なんか忘れてねぇか」
「何?みーちゃんならお留守番してるよ」
「攻略対象だよ!!誰か選べっつったろ!」
「あー……」
アルフォンス王子フラグは消えた。インテリメガネさんは怖い、無理。正統派騎士も陽キャイケメン、無理。ポエマー芸術家は会話が通じなそう、無理。
「…全員ちょっと嫌かなっていう」
「製作者を目の前に言ってくれるじゃねぇか」
「だっておじさんが好きなんだもん!もっとこう、執事とかスーツのリーマンとかさぁ!!あ、クラウゼン先生は凄く良かったです」
「話思いっきり逸れてんぞ」
…今何でローワン先生が浮かんだんだろ。忘れろ忘れろ、攻略対象じゃないし。
…でも。
「あの、警備いっていったら騎士課の…」
「ローワンの野郎か?確かに適役だけど何て切り出すんだよ」
「もう直球で話さない?あの人なら分かってくれるかも」
「お前直球好きだな」
詰所に足を運ぶ。ローワン先生がいる時間帯をだんだん覚えてきてしまっている、人としてやばい。
からんころんと鳴るベル、先生が出てくると何ていうかこう、マイナスイオンというか、仕事の後のビールというか。とりあえず日頃の疲れが癒される気がする。
「悪役令嬢と……手下?」
「誰が手下だテメェ!俺が!悪役令嬢!!」
「全く、警備の邪魔なんだが」
先生がちょっとおかんむりだ。そんな顔も素敵。
「大事な話があんだよ、ちょっと顔貸せ」
「エヴァンんんん!!ヤンキーの喧嘩じゃないんだからもう少し言い方考えて!くださいまし!」
「すっかり仲良しだな」
「「仲良くない!!!」」
ローワン先生が笑う。この人の笑った顔、めちゃくちゃ可愛い。普段のきりっとした顔とのギャップがすごい。
「…あの、信じていただけるか分かりませんが。星灯祭で魔力の暴走による事故が起きます、このままではリリア嬢やアルフォンス王太子ほか、沢山の人が危険にさらされるのです、お力を貸していただけませんか」
ローワン先生が目をぱちぱちさせる。唐突な話に驚いたようだ、そりゃそうだよね。




