悪事の手本を見せてやるよ
打ち合わせが終わり、解散となった瞬間にペネロペ嬢に話しかけた。
「あの記事、どのような意図があって『悪役令嬢』と書かれたのか、お聞きしたいのですが」
「興味を惹く見出しは大事ですので」
「私のイメージ悪化も心配してください!」
「事実しか書いておりません」
口の立つお嬢さんですこと。エヴァンがいたらキレ散らかしていただろう。
「…あの時、見られている気配なんてなかったのに。ちょうどあの場に居合わせたのでしたら、ペネロペ嬢は魔法課の生徒ですのね?」
「いえ文官課です」
「では一体誰がどうやって記事を書いたのです?」
「新聞部は学園全体にネットワークを張り巡らせてますので。魔法も最大限に使い、大体の事件は把握しております」
「プライバシー侵害もいいとこですわ」
エヴァンが言ってた通り、こいつらやばいって。私とエヴァンの秘密もいつ暴かれるか分かったもんじゃねえ。
…待って、学園中?これ逆に使えないか?
「ペネロペ嬢、お願いがあるのですが」
「条件次第です」
「今日から星灯祭まで、私とリリア嬢をがっつり記事にしていただけません?」
「記事に出来るようなことがあれば」
「んーそうですわね…『悪役令嬢の真の姿!彼女の過ごし方に密着』という見出しとかどうです?」
「『悪役令嬢は本当に悪事を働くのか?』の方が記事として映えます」
「いいですわね、採用。条件はそうですわね…私が本当に悪事を働いてみせましょうか?」
「…本気ですか?」
ペネロペ嬢が驚いて、メガネが少しずれた。すかさずメガネを押し上げると、何やら笑っていた。
「予算…発行部数…部の存続…ふふふ」
「交渉成立ということでよろしいですの?取材には最大限応じますわ」
よしよしよし。アリバイ作りと学園の不審人物監視ができるぜ。今日の私は冴えてるぜ。
…ということをエヴァンに報告したら、案の定キレられた。
「自ら悪事を働いてどうすんだバカ!!」
「それで、悪事って何をすれば良いと思う?とりあえず黒板消しトラップ作ればいいかね?」
「……悪事の手本を見せてやるよ、断罪されねぇ程度にな!!」




