りんご食ったせいだ
「あの、こちらの殿方は…」
「令嬢、こう見えて令嬢ですのよ、リリア嬢。エヴァンと申しますの」
「お名前も殿方では…」
「私に張り合っているのですわ。変わってますわよね」
リリアが何やら考え込んでいるが、もうこれで押し通す他ない。何故なら説明が面倒だから。
「あ、の…ババリアーナ様は、アルフォンス様とご結婚なさるのでは…?」
「時代はダイバーシティですわ、結婚するもしないも自由。政略結婚なんてとんでもない、私に結婚の予定はございません」
「相手にも選ぶ権利があるしな」
「やかましいですわダイバーシティの権化」
「では…私、アルフォンス様のことを好きでいても、構わないでしょうか」
頬を真っ赤に染め、白く透き通った小さな手で顔を押さえる。その姿は誰が見ても恋する乙女だ。なんて可愛いのだろうと思っていると、多分同じことを思っている男が目の前にいた。
……鼻で笑ってはいけない。いやもう爆笑モノなんだけど、絶対に笑ってはいけない。
「エ、エヴァン……顔が赤いですわ」
「な、りんご!りんご食ったせいだ!」
「りんごの可食部の色知ってます?皮ごと食べたのです?」
「うるせえ!笑ってんじゃねぇ!!!」
別のフラグ立てるなよお前、と心の中で突っ込んだ。
寮で魔法の本を読んでいると、恋占いの魔法なんてものを見つけた。これは面白い、リリアに教えてあげよう。
人の恋路は誠面白い、エヴァンの恋も占ってやろうかなーなんて思って、ふと思いついてしまった。
「…ローワン先生って、好きな人とかいるのかな」
初めはほんの出来心。ババリアーナの水晶を使って唱えた、『ローワン先生の心の中を見せて』と。
水晶にローワン先生の姿が映る。その瞬間水晶の中はもやで覆われ、何も見えなくなった。
「痛っ!!」
バチっと大きな音がし、手が痺れる。たまらず杖を落とした。魔法が跳ね返ったんだ。
……ローワン先生の心に、防御魔法がかけられてる?なんで??




