我、降臨せり
「おせぇぞ悪役令嬢!…って何だそりゃ」
あからさまに苛々していたエヴァンがぎょっとする。ごめんて。
「何って、……守護霊」
「その頭に乗ってるタヌキが?」
「猫だよ」
光り輝く魔法陣から現れたのは、とてつもなくタヌキ…のような、小さく、ふっくらした猫だった。私のかつての飼い猫にそっくりだったので、そこから名前を取って『みーちゃん』と呼ぶことにした。
『我、降臨せり』という顔で頭の上に乗っているのだが、これっぽちも守護されてる気がしない。守護霊とは。
「ゥウウゥゥゥ」
「オイ、何で唸ってんだこのタヌキ」
「シャーッ」
「うーん、女装のせいじゃない?」
「止めさせろ飼い主!」
仕方ないのでみーちゃんを下ろして抱っこする。しかしみーちゃんは抱っこが嫌いなようで、また頭に戻っていった。
「ねぇ、ババリアーナって魔法が不得手だったみたい」
「あー…そういう設定にしたかも。俺はババアに『才能はあるんだから真面目に練習しなさい』って言われた。魔力は高いが向かう方向がトンデモみてぇだな」
「じゃあエヴァンが私の分も頑張ってよお」
「何で魔法?今更」
「結界石にバリア張ったり、不審者見つけ出したりできないかなと思ったり…」
「そりゃ大分難しい魔法だな」
エヴァンが言うには、魔法は誰でも使える『一般魔法』、属性に特化した『属性魔法』、生まれつきによる『固有魔法』に分かれ、なおかつ十の属性が存在するらしい。
私が思いついた魔法は一般魔法の中でも高度な魔法らしく、しかもこの世界を支える結界石ともなれば、当然バリアは張ってあるだろうと。
「その設定、エヴァンが考えたの?」
「何だよ悪いかよ…」
「いや、永遠の中学二年生みたいで可愛いなって思って」
「バカにしてんのか!?」
その時みーちゃんが頭上から降りてきて、エヴァンの足首を噛んだ。
「っ!痛えなコラ!」
「ちゃんと守護してる!可愛い!!」
「俺を何だと思ってんだ飼い主!」
みーちゃんが『我を讃えよ』という顔をしてしっぽふりふりしている。可愛い。
「んでよ、思い出したんだ。そろそろリリアのルートが定まってくる。一つ目の大事なフラグが『ババリアーナは誰が好き?』だ」
「私関係あるの?」
「リリアが本命のヤツの名前を挙げて、そいつについてどう思うか聞いてくる。ババリアーナは必ず邪魔に入るが、としそいつの邪魔をしなければ、フラグを折れるかも知れねぇ」
「……成程、やってみる」




