しっかりしろ悪役令嬢
いつものように温室でエヴァンと報告会。
お茶会の話をしていると、エヴァンが苦い顔をして胸元を抑えていた。
「聞いてるだけで胸焼けしそうだ…」
「うんまあザラメが溶けて自主規制な雰囲気ではあったけれども」
「とりあえずリリアとは上手くやれそうで良かった。傀儡作戦は続けようぜ、なるべくリリアに沢山話しかけろ。それとな、最悪のフラグについてもう少し詳しく話しておく」
「是非に」
七月七日、星灯祭。昼間は普通の学園祭、夜は国王陛下と各地の領主方を招いて小さな儀式を行う。この国が永遠に続きますようにと願いを込めて、結界石へ光魔法を注ぐのだ。
星灯の乙女は魔法が使える民の代表として、精一杯の魔法を披露する。続いて王族が光魔法で会場を照らす。光魔法はこの国の平和と繁栄の印だ。
「昔デケェ魔物と戦ってこの国を守ったのが『星の光魔法』で、その力を年一回結界石に込める必要がある。そうでないと結界が弱っちまうからな」
「結界…ってなんのために?」
「結界がないと魔物が出やすくなる、災害が起きる。あとはまあ験担ぎだな」
「良く出来た設定だねぇ」
「褒めてもなんもでねえぞ」
星灯の乙女の魔法を、王族の光魔法を吸収して結界は守られる。なるほどねぇ。
「…最悪のシナリオだが、その結界石に細工をする奴が現れる。魔法を吸収するどころか跳ね返す魔法をかけられるんだ」
「なっ…なにそれ!?」
「当然魔法は暴発、リリアやアルフォンスはおろか、国王にまで危険が及ぶ。立派な反逆罪だ」
「そんなこと可能なの?結界石だって常に誰かが警備してるんでしょ?」
「ああ、だからただの学生じゃねぇ可能性が高い。王族に近く、力を持ち、頭のキレる奴が犯人だろう」
「ーーー私?」
「お前っていうか、ババリアーナなら全部揃うんだよな、動機も含めて。皮肉なことに」
「そこまで…ババリアーナ恨まれることしたの?」
「さあな、嫌われまくってるからなぁ」
ノエルさん、レオンハルトさん、アルフォンス王子。攻略対象たちの反応は決して良くない。だがここまでされるほどのことだろうか。
「おい!お前が落ち込んでどうすんだよ、しっかりしろ悪役令嬢!」
「設定だって分かってるけど、疑われてるって、嫌われてるって、しんどいねぇ…」
「俺が責任感じるじゃねぇかよ!」
「そうだな大体お前のせいだな、よく考えたら」
「急に元気を取り戻すんじゃねぇ!」
エヴァンはなんで、いつもキレ気味なんだろう。血圧高いのかな。
「エヴァン、一つ提案がある。魔法を習わないか」
「は?なんでまた」
「なんか便利そうだから」




