アデュー、ジュブナイル達
驚いてリリア嬢の顔を見る。その目はもう怯えていない。まっすぐ、しっかりと私の目を見つめていた。
「私が弱かっただけです、どうかまたご指導してくださいませ」
「リリア…君ってやつは」
今にもまた倒れそうなリリアを、横で心配そうに見つめるノエルさん。私の悪役っぷりが引き立つじゃないか。
「では、私の至らぬところもどうかご指導いただけませんか?リリア嬢。切磋琢磨して参りましょう」
「ババリアーナ嬢」
「ババリアーナ、で結構ですわ。星灯祭には星灯の乙女である貴女の力がなくてはなりません、まずリリア嬢には元気でいていただかないと。作法は二の次ですわ」
嬉しい、と呟いてリリアが泣き出してしまった。どちらにしろ泣かせるのかババリアーナ。あとノエルさんの視線が痛い。信じられないものを見るような目はやめて欲しい。
いつの間にか周りにいた生徒たちから拍手が起こる。やいやい見せ物じゃねんだよ、などと言えるはずもなく、ただただ恥ずかしい。
「これは驚いたな、生まれ変わったかのようだよ、ババリアーナ嬢」
後ろから男性の声が聞こえてきて振り返ると、剣を背負った騎士様がいた。
廊下の高い窓から差し込む光で、明るめの茶髪が金色に照らされる。晴れた日の空のような青い瞳、例えるならサッカー部のエースのような爽やかさ。
背が高く、程よく付いた筋肉。女子生徒にとんでもなくモテそう。
「…正統派騎士」
「レオンハルト!何故ここにいる?」
「やあノエル、もちろんリリア嬢に会うためだよ、体調はどうだい」
「レオンハルト様!大丈夫ですわ、私今日とても気分が良いの、ババリアーナ様のおかげですわ」
すごい。リリアの主人公属性すごい。これだけのイケメンを前にして少しも揺らがない、引けを取らない。
あそこだけスポットライトが当たってるみたい。そしてノエルさんがすげぇ睨んでる。ライバル登場が面白くないんだろうなあ。
「ババリアーナ、君は何をしたの?」
「大したことではございませんわ、リリア嬢にお聞きくださいませ。では失礼いたします」
綺麗にお辞儀をしてみせ、颯爽と退場する。アデュー、ジュブナイル達。そう心の中で呟いた。そして絨毯につまずき派手にコケた。台無しである。




