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第四十二話 国境を繋ぐ一大流通ルート(後編)

大農園から次々と出発していくおイモの馬車をのんびり追いかけて、私たちは新しく建て直された集荷場と、それに併設された交易所へと足を踏み入れたの。


巨大な集荷場に足を踏み入れた瞬間、私は改めて感嘆の声を漏らしてしまいましたわ。


「はぁー、これはまた……。本当に、見違えるほどに賑やかになりましたわねぇ」


中に入った瞬間、私は思わず目を丸くして、感嘆の声を漏らしてしまったわ。かつて私が商隊の馬車に揺られてこの村に辿り着いたばかりの頃はね、必要最低限の物資が寂しく並ぶだけの小さな交易所だったのよ。それが今やどうかしら。

一部はまるで巨大な物流センターのようになっていて、大農園から届いたおイモや大豆、大麦を職人さんたちが手際よく仕分けては、何台もの馬車へパカパカと慌ただしく積み込んでいる活気あふれる一大拠点へと化しているじゃないの。


当然、人が大勢集まれば、そこでは物凄い規模の交易が生まれるわ。何より、新しくなった交易所の棚は、マルク商会のルートでこれでもかと豊富な商品が並んでいるの。


「うわぁぁ……! すごい、まるでおっきなスーパーマーケットみたい! おばあちゃん、見て見て、あっちの棚には調味料や食材も並んでるよ!」


横を歩いていたアイちゃんが、まるで前世の日本の特売日に飛び込んできたかのように、普通の元女子高生らしい無邪気な笑顔できゃっきゃと声を弾ませて大喜びしているわ。


「シューパーマーケット……? アイリスさん、それは王都の最新の流行を追う市場のようなものですか?」


すかさず私の斜め前に一歩踏み出し、いつでも銀色の剣を抜けるように柄に手を添えながら、キョロキョロと周囲を警戒していたギルくんが、大真面目なお顔のまま不思議そうに首を傾げたわ。


相変わらず生真面目で、微笑ましいですこと。


「ふふふ、マルクさん。あなたと最初にここへ交易の相談に来た時よりも、ずっと素晴らしい場所に育ちましたわねぇ」


私が歩きながら隣のマルクさんに微笑みかけると、大商人の彼は、行き交う馬車と活気を見つめながら、深く、誇らしげに頷いたわ。


「ええ、シャルロット様。もともとこのエデン村は、王国とエドワード辺境伯領との国境近くに位置する、地理的に極めて重要な場所でした。私は『ここに小さな中継基地を作れば、将来的に両国の交易が有利になるな』という商人の勘で最初に交渉へ来たのですが……」


マルクさんが広大な緑の絨毯を見渡しながら、両手を上げて誇らしげに、けれど私への深い敬意を込めて語ってくれたわ。


「まさか、シャルロット様のおイモやお茶、そして輪作の知識が加わったことで、両国を胃袋から繋ぐ巨大な一大交易ルートの心臓部へとお大化けするとは、私の想定を遥かに超えております。ここでプロの職人たちが収穫した大量のおイモや大豆がね、毎日次々と馬車に積み込まれていくのを見るだけで、商売人としてこれほど心が躍ることはありませんよ!」


マルクさんが物凄く嬉しそうな商人の顔で熱弁するのを、私はニコニコと聞いていたの。自分の始めた小さなおばあちゃんの知恵が、村の皆さんの手によってこんなにも大きな豊かさと笑顔の輪に育っているのを見て、おばあちゃん、本当にここへ来てよかったなぁって、春の光の中で改めて優しく目を細めたわ。


「さぁ、皆さん。お散歩の帰り道には、あそこにあるお砂糖と干し肉を少し買い込んで、今夜はまた、アイちゃんの大好きな美味しいおかずを作りましょうねぇ」


「わぁ、やったぁ! おばあちゃん、私お買い物手伝う!」


アイちゃんの元気な声を聞きながら、私たちは活気あふれる交易所をのんびりと進んでいくのだった。

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