第15話・第16話
夏の終わり。
残暑がまだ名残を見せていた。
ミィー……ン ミィー…...ン ジジジ ジジジジ……
枯れかけた声で、最後の一鳴きをするセミ。
ノブはいつも通り、横山と現場に向かう。
しかし、いささか車内の様子が違っていた。
普段空いている飲み物を入れるスペースに、蓋の空いた空き缶が座っていた。
他愛もない話を横山とする。
途中、窓を少し開ける。
タバコを吸い始める。
白。
そして、
横山は、
「赤」をその中に入れた。
▢▢▢
「ジュン、この前は本当にありがとう!!」
朝イチで教室に入るや否や、サキがジュンに話しかけた。
「本当に、本当に、素敵なコンサートだったよ。誘ってくれて、ありがとう。」
私も、心を込めてお礼を言った。
「音楽堂もさ、そこまで広くないから、逆にすごく近くであの人達を感じられたよね〜!!」
「うん。私、感動して涙出ちゃった……。」
「わかる!あの最後のアカペラでしょ!?もう、すごかったよね!!」
「ふふ。みんなに喜んでもらえて良かった。ほら、私達、それぞれ家が遠いじゃない?だから、こういった事がないと、なかなか集まりにくいし。素敵な思い出が作れて良かった。」
「やだ〜!もう卒業するみたいな台詞言わないでよ。さみしくなるじゃん!!」
「あはは。ごめんごめん。そんなつもりじゃなくて、本当に、みんなといい時間を共有出来たなぁって、嬉しかっただけ。」
ぺちゃくちゃと、心許せる友人達とおしゃべりをする何気ない時間。
(こんな、キラキラした時間がずっと続けばいいのに…。)
この時間が楽しければ楽しい程、現実がするりと、明里の心の一部に入り込んでくる。
……進路。
いいの?
目を背けたままで……。
本当に??
このままで……。
いいの ??




