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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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1、メロスの村


1、メロスの村



 あの辺境の村は地図に記載され”メロス”と名付けられた。この村のピンチを救ったヒーローの名をつけたいという村民の気持ちが、そのまま村の名前になったわけだ。初めは私の名前をつけさせてくれとノアに言われたんだけど、私はそれを固辞したんだよ。だって、一介の会社員で小心者の私には、そんな事恐れ多くて出来ないよ。では、ギュスターヴさんお願いしますと、ギュスターヴも言われていたけど、彼も辞退していた。自分も旅人であり、たまたまここに居たに過ぎないからという理由だった。そこで、ギュスターヴの提案で伝書鳩のメロスの名前ではどうかと進言され、ノアを始め村人が全員一致で賛成したのだった。

 名称が決まり地図にも載り、これでメロス村も国の管理する村になった訳で、首都からも警備隊が派遣され警備員が常駐する事となる。村の周囲の魔物避けの柵も、それまでの村人の手作りから、強度を持った頑丈な防壁へと姿を変えていた。そして、首都へのホットラインとして村の名前にもなった”メロス”は、この村で今まで以上に大切に飼われる事になった。


「クーーッ 」


 村人全員からお礼を言われ、メロスは照れたように羽で頭をかいていた。まあ、国からの援助を受ける以上、税金は払わなくてはいけないけど、旅人や商人もやって来るから、あの美味しいクラフトビールが特産品として人気出そうだよ。これからは、もっと活気のある村になっていくだろうね。

 そして、魔法剣士アシャの弟子となったコリンは、村の警備は新しく赴任した警備員に任せ、首都に来る事になったんだ。首都に来てナアマと修行すると同時に、シャーロットの護衛というか友だちになってくれとお願いしたんだよ。コリンは生まれ育ったこの村を旅立つにあたり、村の人、一人一人に挨拶をしていた。


「僕がこうして元気に育ってこれたのは皆さんのおかげです。ありがとうございました 」


 コリンの言葉に村の人たちも涙を流していた。本当にコリンは大切に育てられたんだね。私も親から愛情を向けられて育てられたけど、こんなに大勢の人に大切にされているコリンが少し羨ましかったな。


「いいか、コリン これは厳しい道だが、自分で選んだ道だ 途中で挫折するなど私は許さないからな 魔王に勝つと云うのは生半可な覚悟で出来る事ではないからな 」


「はい、アシャさん よろしくお願いします 」


 ナアマの言葉にコリンは眼を輝かせて答えていた。その後、ナアマは人間に擬態しているイブリースに声をかけると、他の仲間にも話があると集めていた。私はナアマの肩に乗って、みんなの顔を見回していた。そして、これは私が言った方が良いだろうと判断して、私の口から説明した。イブリースが、ランスロットの師匠であるアレンさんたちを殺害した経緯を……。


「イブリース、貴様が師匠を…… 」


 ランスロットは聖剣エクスかリバーに手をかけていたが、隣のトリスタンがその動きを止めていた。


「止めろ、ランスロット 今や我らの敵は他にいる 過去の事は忘れろ 仇を討ちたい気持ちは分かるが、それならコリンの方が優先だろう 」


「くくく、心配するなランスロット 私がコリンを鍛え上げてやる 魔王イブリースを倒せるほどにな 」


「ピイィィィーッ 」


・・・だから、コリンが成長するまで、コリンにはイブリースの事は秘密にしておいて欲しいんだよ ・・・


 私の言葉をシモンが通訳してくれた。ナアマに言って貰うと、魔王同士で繋がっていて私の言葉を都合の良いように変えているのではと思われるのが嫌だったんだよ。


「しかし、俺は…… 」


 ランスロットは気持ちが治まらないようだけど、ランスロットの生真面目な性格を考えると無理もないよ。すると、シモンが一喝していた。


「ランスロット あなたはキノコ様のお言葉に異を唱えるのですか その態度を改めないと言うのなら、私が引導を渡してあげます 」


「キノコちゃまの言うことに従えないのなら、覚悟があるのでしょうね、ランスロット 」


 シモンとアリスが殺気のこもった眼でランスロットを見つめている。こ、怖いよシモン、アリス。それに暴力で従わせようなんて駄目だよ。私が口を開こうとすると、イブリースが先に口を開いていた。


「ランスロット 聖剣を手に入れても、あなたの腕ではまだ僕に及びませんよ それが分からないなら、いつでもかかってきなさい でも、あなたの師匠は悲しむでしょうね あなたが僕と戦って敗れて逃げたと聞いたあなたの師匠は、自分の教えを憶えていてくれたと喜んでいましたよ その教えに背いて無謀な戦いをしようとしているあなたを師匠はどう思うでしょうかね それに、あなたの師匠アレン、そしてその妻ローズ、弟子のクロ。僕は今でも彼らの名前も顔もはっきりと憶えていますよ もし、このパーティーにあと一人 ここにいるシモンのようなプリーストが加わっていたなら、勝っていたのはアレンたちだったでしょうね そのアレンたちの子であるコリンが僕に挑むというなら、それは願ってもないこと そして、それをキノコさんが認めてくれるなら僕は喜んで待ちますよ もちろんコリンが成長するまで、僕も力になりましょう 」


 イブリースの言葉に、ランスロットは言葉がなかった。


「お前も力を貸せ、ランスロット 魔族は元々力があるが、人間の力はその努力で無限にのびていく お前とてまだ途上だと云うことだ コリンを鍛える事でお前の力も強くなっていく あのゴルゴダの十二使徒の力を見たろう キノコがいなければ魔王二人でも勝てなかったからな 」


 ナアマはランスロットの肩をポンッと叩いて笑顔を向けていた。ランスロットも憑き物が落ちたようにすっきりした顔になっていた。




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