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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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2、ヴァイオレット杯


2、ヴァイオレット杯



・・・頬袋やお腹をモミモミされると気持ちいいよ ・・・


 私はうっかり眠ってしまいそうであった。


「キノコちゃまのお体、ぷにぷにして触り心地良いですぅ 」


 アリスは私の体をマッサージしながら、私の一回戦の相手について説明する。


「キノコちゃまの初戦は、ゴモラの街の酒場のマスターです 腕自慢らしいですけど所詮酒場のマスター、キノコちゃまの敵ではありませんね 」


・・・ええっ、あの酒場のマスターなの あんな酔っぱらいだらけの酒場を問題なくまわしてるんだからただ者じゃないよ ごっつい体だし、意外に強敵のような気がするよ ・・・


 私は気を引き締めていた。意外な強敵の出現というのはよくある話だ。予期しない強敵が現れて苦戦を強いられる。あるいは敗北してしまう。この予想外の展開に観る者はショックを受け、逆に興味を持つのだ。格闘物では、よくあるパターンだよね。だから、私は油断しない。

 今回のヴァイオレット杯のルールは簡単で、相手を気絶させたり、降参させたりすれば勝利。それともう一つ。制限時間が設けられているんだ。だらだらと試合がならないようにとの配慮らしいよ。この制限時間内に勝負がつかなければ、双方敗北という事になる。これなら、トーナメントも早く進むから観ている方も気持ちいいよね。まあ私はまだ3分程度しか変身出来ないから、その間に勝たないといけないからね。そんな事を考えながら私は気持ちよくて、すやすやと眠りに落ちていった。



 * * *



 首都シン・イーハトーブはトーナメント開催で盛り上がっていた。参加者も含めて大勢の人間が地方から訪れている。露店も立ち並び文字通りお祭りのような雰囲気であった。


「今回もまたヴァイオレット王の優勝ですかね 」


「順当だろうね 魔法や聖剣が使えれば話は違うだろうけれど、それが使えないとなると一流の冒険者でも勝手が違うだろうし、冒険者はそういうのを駆使して冒険するからね 」


「確かにね この大会の上位入賞者が一流の冒険者になれるかというと、そうではないからね 」


「でも今回はヴァイオレット王も危ないんじゃないですか 元勇者のクレアさんや、神の使いの従者アシャさん、それに、その神様も参加するみたいですよ もちろん、神様の力は使わないそうですが それでも優勝候補筆頭は神様ではないですか 」


「いや、でも神の力を使わないなら人間と変わらないだろう むしろ、日々修行している人間の方が強いのではと思うぞ 」


「ああ、それは言えるかもね なんでもそうだけど、普段から努力している人には敵わないよね それより、このチーズハットク美味しいね これだけ屋台が並んでいるなんて、さすが首都だよ 」


「まあ、俺たち田舎者には驚くことばかりだよな それもそうだけど、前に首都に来た時にはこんなに入るのに厳しくなかったのにな 何かあったのかな 」


「許可証が必要なんて初めてだよね それを知らないで来た人は困っているみたい 申請して許可証が発行されるまで時間がかかるから、首都の周りでキャンプしている人が多いみたいね 」


「その人たちを狙って、商売している人もいるみたいよ 全くなんでも商売に結びつけて凄いよね、首都の人は…… 」


 通常であれば多少の不便はあっても、それほど時間がかかる事ではなかったが、今は大会時期と重なり、かなりの遅延が発生していた。

 ノアとソフィーもメロスの村から出てきて足止めを食らっていた。


「クラフトビールを売り込みに来たんだけど、これ程人が溢れているとは驚きだね コリンの様子も見たいけど、これは大変だな 」


「ほんと まさか首都に入るのにこんなに大変だとは思わなかったわね こんなに人の多い所でコリンは大丈夫かしら 」


 ノアとソフィーは当然、許可証を持っていたが、その受付までも混雑しているので待たされているのだった。



 * * *



 首都シン・イーハトーブの中で人影が暗闇に潜んで小声で話していた。


「どうやら、上手く忍びこめたな 」


「ちょろいものです ふふ、これからこの賑わいに紛れて、さらに活動しやすくなりますね 」


「油断するなよ この人混みは武術大会で集まっているようだ 参加者の中には神もいるらしいぞ 本当かどうかは分からんがな 」


「神ですか 本当に神などがいるなら会ってみたいですね 」


「ふん どうせ客を集める為の、偽物だろう 神がいるなら何故助けてくれなかったのだ 」


「そうですね 本当に神がいるならね 」


 しばらく小声で話していた人影は、闇に紛れて消えていった。



 * * *



 ポラリスのメンバー、パッツィ、シンディ、リリーは、トーナメントに参加するヴラドとジークを激励していた。


「いい、ヴラド、ジーク キノコさんに格好いい所見せるんだよ 」


「まだ動けないプロキオンの分も頑張るんだよ 」


「あんたたちが優勝して凄いと思わせてあげなきゃね 」


「いやいや、それは無理でしょう キノコさんも参加するみたいだし 優勝なんか無理だよ 」


「それにキノコさんのお仲間のナアマさんや、クレアさんも参加するようですし、表彰台はキノコさんたちで独占されるんじゃないかな 」


 弱気なヴラドとジークを見て、パッツィたちは呆れていた。


「ホント、情けない トーナメントなんだから、キノコさんたちがお互いに潰し合う可能性もあるでしょう 」


 パッツィたちは、ヴラドとジークの背中をパーンと叩いて気合いを入れていた。


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