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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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59、応援する者


59、応援する者



 私はケージの中からモニターの画面に映るゲームを観ていた。


・・・なんだろう? 何かを暗示しているような感じだけど…… それに私は何をやっていたんだろう 何か他の事をやっていたような ・・・


 私は巣穴に戻ると丸くなって考えていた。するとケージの外から声が聞こえた。


「フーコちゃん、おやつだよ フーコちゃんの好きなニンジンのペレットだよ 」


・・・ニンジンのペレット…… ・・・


 私の大好物だ。私は、いそいそと巣穴から這い出していた。でも、フーコって誰だろう。私はキノコだけど……。私は、そう思いながらもニンジンのペレットの誘惑に勝てず両手を上げて、ちょうだいちょうだいのポーズをしていた。


「うわぁ、可愛い そんなに背伸びしちゃ転んじゃうよ 」


 後ろ足でよろよろと立って精一杯両手を伸ばしている私を見て、ゲームをやっていた女性が笑顔でペレットを渡してくれる。私はペレットを両手で受けとると夢中でポリポリと噛っていた。


・・・うぴぃ、おいちいぃーっ ・・・


 私は、もっとちょうだいと、また両手を伸ばしていた。そこで私は気が付いた。笑顔で私におやつをくれている女性の顔。私は、見た記憶があった。


・・・水野さん…… この人は水野清美さんだ ・・・


 私を車で轢いてしまって、その罪の意識から精神が壊れる寸前になってしまった人。その時、女神セレネ様の計らいで元気を取り戻した彼女は、ジリスを飼い始めたんだね。それが、フーコなんだ。私の意識は、そのフーコの体に今いるんだ。そして、私は思い出していた。私が、今、しなければならないことを……。そんな私の目を水野さんは優しく見つめていた。


「頑張って あなたは誰よりも強い 私も頑張っているから あなたは一人じゃない 大丈夫、あなたは負けないよ 」


 水野さんは私に優しく、そして力強く言い切った。水野さんはフーコではなく、明らかに私に対して言っている。水野さんは気付いているんだ。いつものフーコではないと……。そうだよ。私が頑張らないと、また水野さんも責任を感じてしまうよ。そうだよ、私は一人じゃないんだ。


「ピイィィィーーーッ 」


 私は大きく鳴いていた。そんな私の姿を見て水野さんは大きく頷いて、ハッキリと言った。


「さあ、戻りなさい あなたを待っている世界へ 」



 * * *



 私はクレアの腕の中で目が覚めた。私はどのくらい気を失っていたのか。私は急いで状況を把握する。アークエンジェルとサラマンダーはクレアやランスロットたちが防いでいる。問題のノヅチはナアマとイブリースとシモンが対応しているようだけど、嫌な予感がするよ。私の頭の中に、水野さんの部屋で見たゲームが思い出されていた。


・・・まさか、私が倒れちゃったから自分たちでなんとかしようと…… ・・・


 私はクレアの腕からナガトに声をかけていた。


「ピイィィィーーーッ 」


・・・ナガト ランスロットと二人で魔物を食い止めていて ・・・


 私はクレアとアリスの元に急いでいた。


・・・アリス 私はあの魔法知らないんだけど、アリスは知ってる? ・・・


「私も知りませんが、ナアマさんが言っていました。この魔法を使う術者諸とも対象物を消滅させると…… 」


 あのゲームと同じだ。勝利しても、それは仲間たちとの別れ……。でもそれならナアマたちが消える事はないよ。消えるのは他の世界からきた私一人で充分。


「ピイィィィーーーッ 」


 私は魔法少女に変身してクレアの腕を飛び出した。そして、瞬時に間合いに入る。


・・・ナアマ、ごめん ・・・


 私が高速の突きをナアマの鳩尾に入れようとした瞬間、ナアマは私を見て微笑んだように見えた。私の拳でナアマはぶわっと宙に浮き、吹き飛んでいった。そして、ナアマが欠けトライアングルが崩れた魔法は、パキーンと砕け散り、その効力が消えていた。イブリースとシモンは、ガクッと力が抜け糸が切れた操り人形のように倒れていた。


・・・ごめんなさい、みんな 心配かけちゃった でももう、心配かけないよ この世界だけではない、別の世界でも私を応援してくれている人がいるから それに、私は最強の魔法使いキノコ こんな事で負けないよ ・・・


 数体のノヅチはもぞもぞと動き出し私に狙いをつけたように向かってくる。おそらく、1体ずつしか動きを封じられない私を、十二使徒は観察していたんだよ。でもね、私は気を失っている間にみた夢?でヒントを貰っていた。あのゲーム、神獣である四神を倒せるのは……。


「ピイィィィーーーッ 」


 元の姿に戻った私は魔力を溜めていた。ナアマを介抱しているクレアは、そんな私を見て呟いた。


「キノコさんの瞳が朱くなっていく 」



 * * *



「よし、今度のドローンはあのレンジャーやシモンに気付かれないように遠方から望遠で観察するんだ 」


 異空間のモニターには再び辺境の村の周囲が映し出されていた。モニターの中で、ノヅチに囲まれている小動物の姿が映っていた。でも、その姿はモニターを観ている十二使徒の目にはノヅチよりも恐ろしい魔物の姿に見えていた。


「か、神は時には悪魔よりも恐ろしく無慈悲になるというが…… まさか、あの小動物…… 」


 異空間では動揺が広がっていた。



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