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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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52、地獄の氷


52、地獄の氷



・・・なんだろう ノヅチは行動不能にしたはずなのに、まだ嫌な気配が消えない ・・・


 私は小動物の本能なのか、そういう気配には敏感なんだよ。それは私の気のせいという訳でもなく、ナアマやランスロットも周囲を気にしている。


「アリス、あの化け物は間違いなく凍りついているんだろうな 」


 ランスロットが、まだ魔力が回復せずにフラフラしているアリスに問いかけていた。


「いくら、あれが規格外のモンスターでも地獄の最下層から召喚した氷は、そう簡単には壊せないわよ 並のモンスターなら二度と出られない氷だからね 」


 アリスは自信たっぷりに言うけど、私もその通りだと思う。溶ける事のない永久に凍りついた地獄の最下層コキュートス。アリスは、その氷を召喚してノヅチを凍らせた。いくらノヅチが神話の化け物だとしても、そう簡単には壊せないよ。でも、嫌な気配がどんどん強くなってくる。ナアマもランスロットも戦闘体勢に入っていた。そして、それは地面を這いずるようにして現れた。巨大な口だけのような頭部をもたげて咆哮する。


「ノヅチ…… もう1体、いたのか 」


 ナアマとランスロットは飛び出していく。アリスもフラフラとノヅチに向かい、魔力を集中していた。


「ピイィィーーッ 」


・・・シモン、ギュスターヴ、村の人たちを守って ・・・


 私もノヅチに向かって飛び出していた。アリスは、もう2回地獄の氷を召喚している。シモンやギュスターヴに回復させて貰ったとはいえ、相当体力や魔力を消耗している筈だよ。これ以上は無理だよ。大丈夫、アリス、このノヅチは私が……。だけど、アリスはノヅチをキッと見据え、呪文を唱えている。ノヅチの前に黒い小さな点が現れていた。


・・・アークエンジェルを消したブラックホールだ アリスはこれでノヅチを消すつもりなんだ でも、ノヅチの口もブラックホールなんだよ ・・・


 私は走りながら魔力を振り絞っているアリスを見る。アリスは目と鼻と口から血を流し、まるで自分の命を絞り出すようにして、ブラックホールを造り出している。でもノヅチは、ナアマとランスロットに動きを止められながら、アリスの造り出したブラックホールを飲み込もうとしていた。ノヅチの口の方がアリスの造り出したブラックホールよりも大きい。アリスのブラックホールがノヅチに飲み込まれていく。アリスの体が、それにつれ浮き上がりノヅチの口に向かって吸い寄せられていった。


「おい、貴様それでも勇者かっ。自分の仲間の為に力を振り絞れっ 」


「魔王などといっても、その程度か この化け物の足止めしか出来ないとは情けない 」


 ナアマとランスロットがお互いを鼓舞する。ランスロットの聖剣エクスカリバーは、さらに光を増していき、ナアマの焔の剣レーヴァテインも白熱化していった。


ザンッ


 二人の剣はノヅチを大きく切り裂くが、ノヅチの再生スピードは異常だ。瞬く間に切り裂かれた傷が塞がっていく。本当に不死身の化け物だ。爪楊枝の剣は1本しか持っていない。遠呂知を倒した”ソード・サイクロン”は使えない。とすれば、あれを使うしかない。でも私はアリスと違って呪文を唱えられないし、今は魔方陣を描いている時間もない。直接ノヅチに魔法を撃ち込むしかない。もうアリスはノヅチの口にだいぶ吸い寄せられている。私の、この小動物の体では間に合いそうもない。


「うおぉぉぉーーっ 」


 私は魔法少女に変身していた。


ドンッ


 地面を蹴って、さらに加速した私は瞬時にノヅチとの間合いに入る。


「くらえぇぇーっ 」


ドゴーーーンッ


 私は渾身の一撃をノヅチの巨体に浴びせていた。


ゴガァァァーーッ


 ノヅチは口を閉じて悶絶する。その瞬間アリスが落ちてきたが、ナアマとランスロットが無事受け止めていた。


・・・よしっ ・・・


 私は、地面をのたうち回るノヅチに、さらに追撃の拳を打ち込んでいた。


ドゴッ、ドゴッ、ドゴッ、ドゴッ、ドゴッ


 そのうちノヅチはぐったりして動かなくなった。そのとたん私の体もポンッと元のジリスの体に戻っていた。私は、すぐに爪楊枝の剣を握る。こいつが動かないでいるうちに決着をつける。私は、アリスをチラッと見た。アリスは、ランスロットに支えられ、シモンに回復されながら私を見ていた。


・・・アリス、あなたは本当に凄い 私は、あなたに色々な事を教えて貰った だから、怒らないでね 私は、あなたをバカにしているわけじゃない 私は女神様に貰った力だけど、あなたは努力して力を手に入れた あなたは私の何倍も素晴らしい ・・・


 私は、爪楊枝の剣に魔力とイメージをエンチャントした。


「ピイィィーーッ 」


・・・第四の円”ジュデッカ” ・・・


ピキィィーーーーン


 ノヅチの巨体は瞬時に凍りついていた。ノヅチは標本のように氷の中で動かなくなっていた。


「凄い…… キノコちゃまは私が必死に会得した物質召喚魔法を一瞬で…… 私なんかが、でしゃばって出てくる事なんてなかったんだ…… 私なんか足手まといしかならないよ…… 」


「違いますよ、アリス 私にはキノコ様のお考えがよくわかります キノコ様は、この世界を創っていくのは私たちだと言いたいのですよ 敵対していた私たち人間と悪魔を共に戦わせ協力していくように動いています 私も初めは魔王と手を組むなんてと思いましたが、考えてみれば敵対する事などなかったのです 人間の中にも悪人はいる それは悪魔も同様 なので、その悪を潰していけば良いのです 人間、悪魔に拘る事なんてなかったのです アリス、キノコ様はあなたを素晴らしい人間だと思ってくれていますよ 足手まといなどと思ってはいませんよ あなたの力もキノコ様に必要なのです キノコ様に命を助けられた私は勿論ですが、アリスあなたもキノコ様の為に、これからも共に戦っていきましょう 」


 シモンが私の言いたい事を言ってくれた。本当にアリス、私はあなたを尊敬しているよ。そう思った時、また醜悪な気配が撒き散らされる。そして、3体目のノヅチが現れていた。

 

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