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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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51、コリン


51、コリン



 村に戻ってみるとノヅチは、アリスの魔法で氷付けにされ動けなくなっていた。ナアマとランスロットは肩で大きく息をして、アリスは地面に座り込んでいる。そして、ギュスターヴは安らぎのメロディーを奏でていた。


「ピイィィィーーーッ 」


・・・みんな、ご苦労様 ちょっと用事があって出掛けててごめんね でも、さすがだね 神話のモンスターを行動不能にするんだから 凄いよ、みんな 有り難う ・・・


 私はお礼を言って、すぐにシモンに回復の魔法をかけて貰う。やっぱり、本職の人の方が効果あるもんね。ナアマは、コリンの方に歩いて行くと、しゃがんでコリンの目線と合わせると、どうだという様にどや顔をしていた。


「凄いです、アシャさん あの巨大な化け物に一歩も退かずに立ち向かうなんて 」


「ふふふ、どうだ 私の弟子になるか 必ず強くしてやる あの勇者ランスロットよりも強くな そして、魔王イブリースと渡り合える戦士にしてやろう ただし、修行は厳しいぞ それに耐えられなければ、ならないけどな 」


「はい、お願いします どんな厳しい修行でも頑張ります 父さん、母さん、クロ兄を越える為に そして、魔王イブリースに勝つ為に 」


 ナアマはふふんと頷くと、任せろと胸を張っていた。でも、私は不安だった。本当にいいのという思いが消えなかったんだよ。


「ピ、ピイッ 」


・・・本当に良いの、ナアマ もし、本当にコリンがイブリースより強くなってしまったら、どうするの? ・・・


「どうするもなにも、それならコリンが勝って終わりだろう 別に何も困ることはないが…… それより、人間は短命であるから成長が早いからな コリンもあっという間に強くなりそうでワクワクが止まらないぞ 」


 こういう所は私にとって理解出来ないところだよ。でも悪魔にとっては、それが普通なのかな。ナアマにとってはそれで良いかもだけど、イブリースにも伝えてあげないとフェアじゃない気がする。私が、その旨ナアマに言うと、ナアマはもちろんコリンとイブリースは会わせるさと軽く言う。


「コリンに、自分が越えるべき壁を実際に戦わせた方が理解出来るだろう 父や母の戦いを見ていたのとは違うからな 自分の感覚で覚えられる 壁は大きい方が良いだろう 人間は壁があると必ず乗り越えようと努力するからな そして、それが乗り越えられないと知った時の絶望は最高ではないか 」


 ああ、確かにナアマは悪魔だと私は実感したけれど、今までのナアマを見ていると、それだけではない感じがするんだけど……。


「ピイッ 」


・・・その為にナアマはコリンを鍛えようとしているの? ・・・


「もちろんだ 我々、悪魔にとって人間の恐怖や絶望は最高の御馳走だからな たっぷり、それを堪能させて貰うつもりだ 」


 それなら、コリンは私が鍛えるよと言おうとして、そこで私は言葉を飲み込んでいた。ナアマの真意は他にあるような気がしてならない。そう思ったからだった。



 * * *



「ノヅチを簡単に行動不能にしたか あの小動物以外にも人間が相当力をつけてきているとみえるな 」


「人間が力をつけるのは良い事ですね 魔王サタンの支配を退けるのに必要でしょう 」


「あのクラスの者たちが増えれば、悪魔など根絶やしに出来るだろうな 喜ばしい事だが、力をつけ過ぎるのは考えものだな 我々にとって変わろうとする者が現れないとも限らんからな 」


「そうそう、人間は我々が意図する通りに動いていれば良いのだ それを外れる者がいれば粛清するよりないな 」


「まずは、あの小動物を始末しておこう 正体は分からんが、あの力は十分すぎる脅威だ 」


「その為に上手く辺境の村に誘い出したからな この村なら滅ぼしてしまっても、特に影響はないだろうしな 」


「さすがに北の首都シン・イーハトーブを滅ぼしたらダメージは大きいからな 復興に時間がかかってしまう 」


「まあ、でもサタンの居場所が掴めなかったら、北の大地を悪魔ごと滅ぼしても良いがな 南が残っていれば問題ない 」


「とにかく、あの村に、もう1体ノヅチを送り込もう あの小動物が、どれ程の力を持っていようと、立て続けに襲われては力尽きるだろうよ 」


「ノヅチは、あと何体ストックがあるのだ、フィリポ 」


「心配するな いくらでも増やせるさ その気になれば人間の数より多くしてみせる 」


「なるほど…… くくく、ここであの小動物も終わりだな 無様に屍を晒すがよい 」


 数々の光が点滅する異様な空間で笑い声が起きると、それに釣られる様に周囲からも笑い声が起こっていた。



 * * *



「ヴァンパイアレディーさん、帰っちゃうの 」


 シャーロットは不安そうな顔をするが、ヴァンパイアレディーにはナアマ不在の居城の管理をするという仕事がある。本来は、笛が吹かれた時にだけ、ナアマの肩を揉みに来るのが仕事なのだ。あまり長時間、城を空ける訳にはいかない。


「ここには、クレアさんがいるし、ちょうど良いと惰眠をむさぼっているイブリース様もいますし、心配する事はないですよ 」


「おい、レディー 今、僕の事を言ったように聞こえたが 」


 イブリースがベッドに上半身を起こして、ヴァンパイアレディーを睨んでいる。ヴァンパイアレディーは、また要らね事を言ってしまったと口を押さえて慌てて飛び立っていった。


「何かありましたら、笛を吹いて下さい 」


 シャーロットに声をかけ、逃げるように帰っていくヴァンパイアレディーを見て、クレアは笑いながらシャーロットに話しかけていた。


「本当にもう何も心配いらないからね シャーロットは頭の回転も早いし、私と違って立派な大人になれると思うよ 」


「クレアさんも立派な大人だよ 強いし 」


「私は強いといっても偽物の勇者だからね キノコさんがいなければ、ただの罪人で処刑されていた身だから、シャーロットは私のようになったらダメだよ いい、小さい時から目標を持ちなさい そして、その目標に向かって頑張るの シャーロットは何かなりたいジョブがあるの? 」


「私はねえ、学者さんになりたい ママが色んな事を知ってたんだ 草木の名前や、動物や虫の名前 うちは貧乏だったけど本は買ってくれたんだ だから、私もママみたいに物知りになりたいの 」


 目を輝かせて言うシャーロットにクレアは、大丈夫その目の輝きを失わなければ、きっと願いは叶いますよと思っていた。そして、その為にも自分たち大人が、この世界を変えていかなければと硬く心に誓うのだった。






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