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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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48、救援へ


48、救援へ



「ピイッ 」


「クゥーッ 」


「ピイッ 」


「クゥーッ 」


 私は、伝書鳩のメロスと言葉を交わしていた。その様子をヴァイオレットやナアマたちが心配そうに見ている。


「ナアマさん、キノコ様は鳩とも会話出来るのでしょうか? 」


「私も分からないが、キノコの事だ 自分も小動物の体だから出来るのではないか…… 」


「キノコちゃまは神の使いですからね メロスの言葉だってわかりますよ 」


 なんだか、こそこそ話してる人たちがいるけど、私だって人と会話するようにはっきり分かる訳じゃない。その感情が分かるんだよ。メロスは、大切に大事に育てられたのだろう。あの村に対する思い入れも大きい。そして、さすが伝書鳩だよ。メロスは村の座標をしっかりと自分の中に記憶していた。私は、そこから村の位置とイメージを探り出す事に成功していた。


「ピイッ 」


「クゥーッ 」


 私はメロスにお礼を言ってハグすると、メロスも私に頭を擦り付けてきた。ホント言うと私は鳥類は苦手なんだ。猛禽類は天敵だもんね。大空から襲われて連れ去られていった私の仲間たちのDNAが私の中にもあるから苦手なんだけど、鳩ならね。平和の象徴だし……。そして、私は空中に魔方陣を描き始めた。一刻も早くギュスターヴを助けに行かなきゃ。


「ピイィィィーッ 」


・・・村の場所はわかったよ すぐに転移で向かうから回復役のシモンと、ナアマ、クレアは一緒に来て、ランスロットたちは首都で待機して、ユダにノヅチの監視させてるけど何が起こるか分からないからね それに、イブリースとナガトも心配だからお願いね それと、シャーロットからも目を離さないで、これ以上あの子に悲しい思いはさせたくないから…… ・・・


 私は、なぜかシャーロットが気になっていた。みんなに虐められて辛い思いをしてきたシャーロットを、これ以上辛い目なんかあわせたくない。誰だってそう思うよね。みんなに指示を与え私が転移しようとするとランスロットが待って下さいと言ってくる。


「アレンさんは私の先生に当たります その先生の村がピンチなら私にも行かせて下さい 」


「ちょっと待ってキノコちゃま 私の範囲攻撃魔法も役に立つよ キノコちゃま一人より私もいた方が、早く村の危機を救えると思うよ 」


 ランスロットだけじゃなくアリスも連れていけとせがんでくる。先生の村を守りたいというランスロットの言葉も分かるし、アリスの言い分も分かる。でも、イブリースとナガトも心配だし、私たちがいなくなったらシャーロットは不安に思うだろう。私は悩んでいた。


・・・うん、わかった 二人共来て それで、クレア 悪いけど二人の代わりに残ってくれるかな ・・・


「私はキノコさんに指示されれば何でもやりますよ 任せて下さい イブリースさんにナガトさん、それにシャーロットは必ず守ります 」


「あ、あのクレアさん ヴァイオレット王の事も気にかけて下さい 」


「失礼しました もちろん王の安全も約束します 」


「心配するな、ランスロット 我が王国騎士団を率いて警戒する 」


 クレアとトリスタンの力強い言葉でランスロットも安心したようだった。でも、ユダが少し心配だよ。アイツ、ちゃんとノヅチを監視しているだろうね。まあ、心配ばかりしていても始まらない。まずはギュスターヴと村を助けないと……。私は転移の魔法を発動した。



 * * *



・・・いけない…… 指に力が入らなくなってきた ・・・


 ギュスターヴのリュートの弦を押さえる指に力が入らなくなり、その旋律が乱れてきていた。逆にサラマンダーやアークエンジェルの攻撃は、どんどん激しくなってくる。これでまた波動の中を無理矢理進んで来られたら、もう打つ手がない。


「皆さん、早く岩山の洞穴に避難して下さい 」


 ギュスターヴが大声で叫ぶと、今度は村人たちはわかったと素直に指示に従ってくれた。しかし、ノアだけは留まっている。


「私は、この村のリーダーとして、あなたを置いてここを離れる訳にはいかない 命をかけたボルトの為にも、あなたが無理だとわかったら、ここから連れて逃げます 」


「無理です 人間の足ではサラマンダーからは逃げられない 早く今のうちに逃げて下さい 」


 しかし、それでもノアは逃げなかった。


・・・くっ、まだ1日も経っていない 3日耐えるのは不可能だ ノアさん、早く逃げてくれ 私の指が動いているうちに…… ・・・


 アークエンジェルはともかくサラマンダーは足が速い。狙われてしまっては、とても逃げる事は出来ないだろう。今が逃げる最後のチャンスなのだ。


「キノコ、キノコ、その名はキノコゥゥゥーーッ 」


 ギュスターヴは自分を鼓舞するために英雄キノコの唄を歌っていた。ゴモラの街の酒場でイブリースと、客の声援を浴びて熱唱した事が思い出される。


・・・そうだ、自分で不可能などと諦めてはだめだ 私は吟遊詩人 リュートを弾いて唄を歌うのが仕事だ ならば、命尽きるまで、それを全うする ・・・


ギューン


 ギュスターヴの奏でるリュートの旋律に、また激しさが戻ってきていた。一時弱まっていた波動が、強固になりサラマンダーやアークエンジェルを押し戻していた。


「あなた…… 」


 ノアが振り向くとソフィーが立ってている。


「コリンは大丈夫 岩山の洞穴にみんなと一緒にいます 」


「なら、なぜ来た お前も一緒にいなさい 」


「ギュスターヴさんは旅の途中で寄ったこの村の為に、命をかけています 私も、この村のリーダーの妻として、ここを離れる訳にはいきません 」


 ソフィーの強い意志が籠った瞳を見たノアは、口を開けたまま何も言えなかった。


・・・この村と関係ない真っ先に逃げていいギュスターヴさんが最後まで残っている それなら、私たちが最後までその姿を見届けますよ ・・・


 ノアとソフィーは手を取り合って、リュートを弾くギュスターヴの後ろ姿を見つめていた。そして、終わりは突然やってくる。ノアとソフィーの見ている前で、リュートの旋律が止まり、ギュスターヴがスローモーションのように膝をつき倒れていった。サラマンダーとアークエンジェルが雪崩のように押し寄せてきていた。ノアとソフィーは、ギュッと手を握りあい、迫ってくる魔物を瞬きもせずに見つめていた。


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