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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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42、魔王の言葉


42、魔王の言葉



「さすが本物の勇者パーティーの一員であるアリスさんです あの化け物を凍りつかせるなんて、なかなか出来ませんよ 」


 クレアは、アリスを絶賛していたがナアマは馬鹿にしたような笑いを浮かべていた。


「たかが、でかい氷を呼び出しただけでは、まだまだだな もっと力がないとキノコの足手まといになるぞ 精進するんだな 」


「お言葉ですがナアマさん あれは普通の氷ではありませんよ 地獄の最下層から召喚した溶ける事のない氷塊ですよ その辺の氷魔法と一緒にされては困りますね 」


「ほお、私は地獄の炎を召喚出来るが何か…… 」


「私が言っているのは、炎ではノヅチは倒せないという事です 不死身と言われるノヅチは倒せない ならば、動きを封じるのが一番だと云うことです 」


「私とキノコは、やはり不死身と云われた”遠呂知”を倒したけどな 」


「キノコちゃまは、神のお使いですから当然です 」


 ナアマに負けじとアリスも言い返しているけど、私は分かった。火と氷じゃ相性悪いのも無理ないよ。会社でも、お互い良い奴なのに何故か意見が合わない社員がいたりしたもんね。下手に溜めてしまうより率直に意見を言った方が健全だよ。


「ピイィィィーーッ 」


・・・はい、そこまでお互いに意見を言うのは良いことだけど、言い争うのはNGね それとナアマ、みんなにコーヒー淹れてくれる やっぱり、ナアマのコーヒーが一番だから ・・・


 ナアマは途端に笑顔になると、いつものコーヒーセットでコーヒーを淹れ始めた。コーヒーのいい香りが周囲に拡がり、みんなも待ちかねたように集まって来ていた。そして、ナアマはテーブルにコーヒーカップを並べていく。


・・・えっ…… ・・・


 私はナアマの並べているコーヒーカップを見て驚いていた。だって、これは……。


「エルメスのコーヒーカップ…… 」


「ほう、よく知っているな 」


 アリスの呟きにナアマが答えていた。私だって知ってるよ。だって、このカップは私が清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったカップだもの。一目見て目に焼き付いてしまって、それからは、このカップでコーヒーを飲んだらどんなに素敵だろうと夢見ていたのだ。うちみたいな中小企業ではボーナスなんて当てに出来ないし、もし支給されたとしても雀の涙だ。でも私は12月のある日、意を決して購入してしまった。自分の住んでる安アパートに不釣り合いなほど高級なコーヒーカップ。そのカップで飲むコーヒーは格別だった。残業時に給湯室で飲むコーヒーとは別物だ。私は一人幸せな気分に浸っていたものだった。


「これだけの”仲間”にコーヒーを淹れるのは初めてだからな 気合いを入れさせてもらった なので、カップも特別だ 」


 ナアマの言葉で私は、ナアマもみんなを仲間と思ってくれていたんだと思って嬉しかったよ。こんな高級なコーヒーカップを出してくるなんてと素直に感動していた。


「こりゃ、美味いな 冒険者辞めても、喫茶店経営でやっていけるんじゃないか 」


 ユダが脳天気に言うが、他のみんなは一杯のコーヒーで和やかな気分になっていた。ここまでおもてなしされれば、誰だってナアマの気持ちに気がつくよ。私も、このメンバーを大切にしようと心に誓っていた。



 * * *



「たぁぁぁーーっ 」


 コリンは木刀でスライムと戦っていたが、実力伯仲でなかなか勝負がつかない。ギュスターヴが、手を貸すべきか思案していると、スライムが根負けしたのか退いていった。


「どうだ、僕がいる限りこの村には入らせないぞ 」


 スライムを撃退したコリンは鼻息を荒くして言うが、ギュスターヴは心配だった。スライムが出没すると云うことは他の魔物もいる筈だ。ゴブリンなんかが群れで襲ってきたら、コリン一人では手に負えないだろう。ギュスターヴは、コリンと村の中に戻ると、コリンに聞いたこの村のリーダーの元に向かっていた。そして、ギュスターヴが挨拶をすると笑顔を向けてきた。


「いらっしゃい、旅の方 私はこの村をまとめています、ノアといいます ここは滅多に外部の人が来る事がありませんので、村の人間は見知らぬ人には警戒してしまうのですよ 失礼がありましたら申し訳ありません 」


「あ、いやそれはお気になさらずに 私は各地を旅している吟遊詩人のギュスターヴといいます ここに伺ったのはコリンの件です。あんな小さい子供を魔物と戦わせるのはどうかと思いまして…… 」


「コリンですか…… 確かに外から来た人には異様に映るでしょうな でも、コリンは自分の意思でやっているのです 私にそれを止める権利はありません 」


「しかし、危険ですよ いくら本人の意思でも、それを諌めるのが大人の仕事ではないですか 」


「コリンは誰が言っても止めませんよ 」


 ノアとは違う声が聞こえギュスターヴが目を向けると、女性がお盆に茶を乗せて持ってきていた。そして、どうぞとギュスターヴに奨める。


「妻のソフィーです ソフィーの言った通りコリンは何度言っても止めませんでした コリンは、父の遺志を継いで、この村を守るのは自分だと思っているのです 」


 ノアの話ではコリンの父はアレンといい、この村一番の戦士で、この村を魔物から守る仕事を一手に引き受けていたそうだ。元々は首都の戦士であったアレンは、辺境の調査でこの村を訪れ、そして、そのまま居着いてしまったらしい。それは、この村で唯一の魔法使いローズに一目惚れして、彼女と共にこの村を守るためだった。アレンは一人残り、他の調査隊は首都に戻っていった筈であった。それが未だに地図にこの村が載っていないという事は、調査隊は首都に帰り着けず途中で全滅してしまったのだろう。


「アレンとローズは結婚してコリンが生まれたんです そして、コリンは両親の背中を見てすくすくと育っていきました その頃がアレンたちにとっても、村にとっても一番幸せだった時だと思います それが、あの魔王と名乗る悪魔一人に壊されてしまった 」


・・・魔王…… ・・・


 ギュスターヴは、まさかと思った。


「魔王と名乗る悪魔は、この村で一番強い者を出せと言ってきました 弱いものいじめは趣味ではないので強い者以外相手にしたくないと笑っていましたよ そこで誰も名乗り出なければ良かったんです…… 」


 ノアとソフィーは、そこで悲しそうに顔を伏せていた。そして、ギュスターヴもまた辛そうに顔を歪めていた。


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