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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
二章 冒険の始まり

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41、辺境の村


41、辺境の村



「これは、どういう事だ ノヅチのコントロールが効かない 」


「また小動物の仕業か おい、近くにある不可視のドローンを飛ばせ 」


 すぐに氷室付近の小型ドローンが発進し、現場の映像を送ってきていた。それをモニターで確認し、その場の人間たちは口を開けて絶句していた。


「ノヅチが氷詰めになるなどあり得ない話だ あの小動物はそれほどの力があるというのか 」


「小動物は”遠呂知”も倒していますからね ノヅチを凍らせる力があってもおかしくないでしょう 」


「いや、待てっ…… あそこにいるのはユダではないか まさか、奴が裏切ったのか 」


「ユダは我々の恐ろしさを知っている それはないだろう それに、ノヅチの恐ろしさも知っている 奴も自分の命は惜しいだろう 裏切るとは思えない 」


「ノヅチも動きを封じられたくらいでは問題ない すぐに活動を再開出来るようエネルギーを増幅するぞ 」


「待って下さい ここはノヅチを一旦引かせましょう 」


「どうした? ノヅチは不死身だ 斬られようが焼かれようが問題ないぞ 」


「皆さん、よく観て下さい あの顔をお忘れですか 」


「顔……? 」


「あっ、あれは…… 」


「そう、だいぶ雰囲気は変わっていますが、あれはシモンで間違いありません 小動物とシモンとユダ、なぜ一緒にいるのか分かりませんが、万が一があるといけません 一度引いて個別に対処した方がよろしいかと 」


「確かに、そこそこの力があるものが3人集まっているとなると、不測の事態が起きないとも限らないな ここは一度引くのが正解か 」


「ぬぅ、口惜しいがやむを得んな 」


「取り敢えず小動物にターゲットを絞ろう 奴を罠にはめて始末する ユダやシモンは完全に我々の敵という訳ではないからな 下手に刺激して手を結ばれてもかなわんしな 」


「よし、さっそく計画を立てていこう 」


 何処とも知れない膨大な数の機器の光が点滅する異空間で、それからも言葉が交わされ、その計画は徐々に固まっていった。



 * * *



「キノコッ、キノコッ、その名はキノコォォーーッ 」


 キュスターヴは北の大地の辺境の村に来ていた。北の大地の様々な場所を旅して来たギュスターヴであるが、この村は初めての訪問だった。地図にも載っていない名もなき村。ギュスターヴは、北の大地をくまなく歩いているうちに、偶然この村を発見したのだった。ギュスターヴの感じでは、この村の人々は、魔物に怯えながら細々と暮らしているようであった。ギュスターヴはリュートを奏で、唄いながら村の中を歩いている。村の人々は、見慣れない外から来た人間に警戒しているようで、ギュスターヴに近付いてくる者は誰一人いなかった。


・・・この村の人たちは、何を支えに暮らしているのだろう? 警備隊等の姿も見当たらない おそらく、これだけ辺境なので魔物の数も少ないのだろうか 地図に載っていないという事は、北の王もこの村の存在を認識していないと云うことだ 一度、首都に戻って報告した方が良いだろう そうすれば首都から警備部隊も派遣してくれる筈だ それにしても、この村の住人には笑顔が見られない ・・・


 ギュスターヴは、この村で見かけた村人の顔を思い出していた。近付いてくる者はいなかったが、遠巻きにギュスターヴを窺っている者は数人いた。今までは、どの村や街でもギュスターヴが唄って歩いていると興味深げな顔をして見ているものだが、この村ではそんな反応が一切なかった。


・・・キノコさんが人間も魔族も話し合って暮らせる争いのない世界を作ってくれれば、この村の人々にも笑顔が戻るのだろう でも、それまでに少しでも笑顔を取り戻してあげたい 私の唄で、楽しい事を思い出してくれれば…… 私は吟遊詩人 人々を幸せにする事が私の務めなのだから ・・・


「キノコ、キノコ、その名はキノコォォーーッ 」


 ギュスターヴは村の中心と思われる広場でリュートを奏で、英雄キノコの詩を歌っていた。


「ねぇねぇ、おじさん キノコって誰? 勇者様なの? 」


 突然声をかけられてギュスターヴは驚いたが、目を向けると小さな男の子がギュスターヴを見上げていた。


「キノコさんは、この世界を救ってくれる英雄だよ 私はキノコさんの仲間の吟遊詩人ギュスターヴという 君の名は? 」


「僕は、コリン この村の警備隊長なんだ おじさん、悪い人には見えないけど、見かけない人だから、一応声をかけておかないとね 」


「警備隊長? 君が? 」


「そうだよ この村を守るのが僕の仕事 僕がいれば、この村は安全だから、そのキノコって人も必要ないね 」


「いや、それは危険だろう 大人の人は何も言わないのかい? 」


「僕は大人より強いからね だから警備隊長なんだよ 」


・・・強いと言ったって、まだ子供だ この村の大人たちは子供にこんな危険な事をさせているのか ・・・


 ギュスターヴは、この村の代表に掛け合わなければと考えていた。すると、そこへ半鐘がカンカンと鳴り響く。


「魔物だっ 」


 コリンは駆け出していた。


「ちょっと待ちなさい 私も行く 」


 ギュスターヴは慌ててコリンの後を追っていた。魔物は村の周囲にぐるっと立てられている魔物避けの柵に体当たりしていた。


・・・ス、スライム…… ・・・


 小さな魔物が単独で柵に激しくぶつかっている。コリンは腰に差していた木刀を手に持つと、スライムに向かって飛びかかっていった。


・・・スライム一匹なら、なんとかなるかも知れないが大人はどうした 本当にこの子供に村の警備を任せている訳ではないだろう…… ・・・


 ギュスターヴは辺りを見るが、大人の姿はない。コリンはスライムと戦い始めていた。


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