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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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11、焔の剣


11、焔の剣



 私は、イブリースとナガトにお願い事をしていた。私も考えたんだ。シャーロットのような生活が苦しい人たちに、援助出来るようなシステムが出来ないかと……。魔物に両親を殺されて、お婆さんと二人で暮らしているシャーロットの暮らしは当然豊かではないだろう。高齢のお婆さんの僅かな収入だけで暮らしているんだ。施設に入るという選択もあるけれど、その施設自体の数も不足している。シャーロット以外にも親が魔物や人間の悪人や犯罪者に殺された子供たちも大勢いるようで、施設の数も足りないんですよとランスロットが言っていたんだ。

 そのランスロットたち勇者パーティーは、そういう施設の慰問も行っているからね。アリスやシモンの魔法を使った手品もどきが子供たちに人気らしいよ。本当に彼らの働きには頭が下がるよ。私の元の世界にもボランティアで奉仕活動をしている方も大勢いるけれど、無条件で尊敬してしまうよ。

 私もそれに倣って、こういった子供たちの支援をしたいと考えていたんだ。平和になっても暮らしがきつくては笑顔になれないもんね。”憤怒の石仏”はあるけれど、それを売って使ってしまえばおしまいだから、私も定期的に収入が得られる仕事はないかと考えたんだ。私も、安月給だったけれど、きちんと毎月お給料が貰えたのは有り難かったもんね。そこで、イブリースとナガトに貴重な鉱物や宝石、そして、金が採掘出来るダンジョンを探して貰う事にしたんだよ。この世界には数多くのダンジョンが存在するから、中には”白桃の眠り”のようにお金になるダンジョンもあるだろうからね。


「ピイィーーッ 」


・・・二人とも、ナアマとクレアのセコンドについているところ悪いんだけど、探して貰いたい場所があるんだよ 宝石や金が採れるダンジョン 普通の鉱山はもう発見されていると思うけど、ダンジョンなら冒険者でないと探索出来ないから、まだ手付かずの場所もあると思うんだよね そういう所を確保して欲しいんだ 大丈夫? ・・・


 特にここだという当てもない探索なので、大変なのは分かっているけど、イブリースとナガトなら見つけてくれると思うんだ。ただ、トーナメントのセコンドを務めるのを楽しみにしてるかもしれないから強制は出来ないけどね。


「もちろん、僕に任せて下さいよ、キノコさん ナアマにはセコンドなんて必要ありませんからね ノヅチ戦で失った僕の信用を取り戻してみせますよ 」


「願ってもない機会です 私もノヅチ戦で失くしてしまったキノコさんの信用を取り戻したいと思っていましたので…… クレアもセコンドがいなくても問題ないでしょう 」


 イブリースもナガトも、気にしないでよ。信用なんて失っていない。私は二人を信頼しているんだからね。私たちは、それじゃあお願いとイブリースとナガトと別れてヴァイオレットに紹介して貰った宿に向かって歩き始めていた。



 * * *



 コリンは焔の剣を構えてシャーロットを守っていた。ヴァイオレットとナアマは危なげなく敵を倒している。そして、奇襲を企てようとした敵はクレアによって排除されていた。


「凄い…… やっぱり、あの人たちは一騎当千の強者なんだ 」


 コリンが、自分もあの人たちを超えなくてはと思っていると、コリンに向かって敵も押し寄せてきた。どうやら、ヴァイオレットが手強いとみた敵は、コリンたちを人質にとろうという考えのようだった。


「シャーロット、僕の後ろから離れないでっ 」


「うん 」


 シャーロットは金魚の袋と買って貰った虫メガネを握りしめてコリンの背中についていた。コリンは冷静に敵を見つめ、間合いを図っていた。この時点で敵は、コリンを子供だとみて甘くみていたのは間違いなかった。その敵に向かってコリンは焔の剣を水平に一閃する。


ズバァッッ!


 そのたった一振で数人の敵が倒れていた。コリンの持つ焔の剣からは、炎が噴き出している。


「あれは…… 伝説の焔の剣…… なぜあんな子供が伝説の剣を…… 」


「気をつけろっ 迂闊に近づくな あの剣は、焔の魔人が宿ると伝わる魔剣だっ くそっ、女王の強さも想定外の上に、護衛とみられるあの女どもの強さも想定外だ その上、魔剣だと…… どうなっているんだ 女王が一人で城を出て、簡単に拉致出来るのではなかったのか 」


「まあ、慌てるな 焔の剣といっても使っているのは所詮子供 包囲しながら一斉に攻撃すればいい 手足なんかなくても生きていれば人質に出来るからな 」


 敵は、ジリジリと包囲を狭めてくる。シャーロットはそれを見て、生きた心地がしなかった。シャーロットは、虫メガネと金魚の袋を左手で持つと、ナアマから貰った笛を持ち、いつでも吹けるように口に当てていた。シャーロットがすぐに笛を吹かなかったのは、コリンを信頼していたからだった。


「コリン、大丈夫? 」


「心配させてごめん、シャーロット でも、大丈夫だよ 先生は僕にこの焔の剣を貸してくれたんだ この剣を使って、こんな奴らに負けはしないさ この剣には、ランスロットさんが持っている聖剣と遜色ない力がある 先生が使えば、魔王にだって勝てるんだ 僕のようにまだ駆け出しの戦士でも、この剣があればこんな奴ら敵じゃないよ 」


 コリンが敵に向かって焔の剣を振ろうとすると、”待てっ”という声が頭の中に響いていた。


・・・くくく、少年よ もっと敵を引き付けろ さすれば一撃で勝負を決めてやろう ギリギリまで引き付けるのが怖いというなら、別にかまわんがな ・・・


 コリンは振ろうとした剣を止めていた。それを見て、勘違いした敵は残酷な笑みを浮かべている。


「ははは、やっぱりガキだぜ 一度に攻められてビビって動けなくなってやがる 手足をぶった斬ってやれ 最悪、殺しても後ろのガキを人質にすればいいからな 」


 周り中からコリンに向かって敵が飛びかかっていった。



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