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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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10、闇の中の襲撃


10、闇の中の襲撃



 私たちはお祭り騒ぎを楽しんでいた。シャーロットもコリンと一緒に”たこ焼き”や”大判焼き”を頬張り、金魚すくいで貰った金魚を入れたビニール袋をぶら下げて笑顔になっていた。


「さてと…… また明日もあるからな あまり遅くなっても子供の教育に良くないだろう そろそろ帰るぞ、二人とも 」


 もう、ナアマがすっかりお母さんモードだよ。ヴァイオレットとクレアも、それじゃ送って行きますかと子供二人についていく気になっていた。私は、少しイブリースとナガトに話があったので、じゃあまた明日と別れていたんだけど、アリスは私が肩に乗ってるからだけど、シモンもヴァイオレットについていかずに私の後ろにいる。


「ピ、ピイッ 」


・・・シモン、ヴァイオレットについていかなくて良いの? ・・・


「問題ありません 私はキノコ様に仕える身、キノコ様のお側にいるのが第一です 」


「ピッ…… 」


・・・い、いや、王様の側近じゃないの 後で怒られないの…… ・・・


 私の方が心配になってくるよ。でも、シモンは平然と言ってのけた。


「王は今日はプライベートでお越しになっているので、私も個人的に何をしようと自由です それに、キノコ様のお仲間のナアマさんとクレアさんが一緒であれば、百万の軍隊がいるのと同じでしょう 何も心配する必要はありません 」


「ピイッ 」


・・・いや、そういう心配じゃないんだけどね…… ・・・


 私が、シモンに上手く伝わらない事に歯痒く思っていると、アリスが無理もないですよと言う。


「シモンは神官になったんですよ 」


 アリスの言葉で私は、へぇっと思っていた。神官ってプリーストの上級職で厳しい条件があってなかなかなれないジョブだけど、シモンはなれたんだ。神官は、プリーストのレベルはもちろん、その人柄も考慮されるし、一番重要なのは本当に心から仕える神を持つこと。それだけ信心深くなければ神官にはなれないんだ。そこまで、シモンの信奉する神様ってどんな神様なんだろうと私が思っていると、アリスがいきなり私を抱っこしてきた。


「私だってキノコちゃまを信奉する気持ちはシモンに負けませんからね 私がプリーストだったら、シモンより先に神官になってたのは間違いないですよ 」


 アリスに頬擦りされながら私は、そういう事かとプレッシャーで押し潰されそうになっていた。だって、そんなに信奉されたら本当の神ではない私にとって荷が重いよ。だけどそれなら、そのシモンの期待を裏切らない為にも頑張らないと……。私は女神様に力を貰ったんだから、その力をみんなの為に使わないといけないもんね。すると、急になにやら殺気が感じられた。


「いい加減にしなさい、アリス キノコ様が困っていますよ 」


 シモンが恐ろしい目でこちらを見ている。アリスは固まったように頬擦りを止めていた。


・・・こ、怖いよ シモン…… ・・・


 私も、アリス同様プルプル震えていた。



 * * *



 シャーロットはコリンと並んで歩いていた。その後ろをヴァイオレット、ナアマ、クレアが歩いている。中央広場から離れると祭りの喧騒も消えさり辺りはシーンと静まり、外灯の少ない一帯は夜の帳が降りると闇に沈んでいた。すると、その闇に紛れて多数の人影が、いつの間にかシャーロットたちを囲んでいた。その人影には不穏な気配が漂っている。


「ヴァイオレット、首都といってもこんなに治安が悪いものなのか まるで、なっていないな キノコがいなくて良かったな 神の逆鱗に触れて、この辺一帯焼け野原にされるところだぞ 」


「どうやら、女と子供だけとみて、いいカモだと思っているようですね こんな事を考える輩は低能でしょうからね 」


 ナアマとクレアに指摘されヴァイオレットは面目ないと頭を下げていた。


「普段はここまで悪くないのですが、トーナメントが開催される時期はお祭り騒ぎになりますので、どうしても警備が手薄になってしまいます 入都のチェックも厳しくしているのですが、人手不足は否めません 」


「まあ仕方ないな、ヴァイオレット 法の意味も知らないおかしな奴らは何処にでもいるからな これは法律に書いてないじゃないですかと言う馬鹿が私の所にもいる 」


「法に記載がなければ何しても良いと思ってる馬鹿ですね 一から十まで規制して欲しいんですかね とにかく、子供たちに何かあっては大変です 私が処分しますが、構いませんよね王様 」


「待て、クレア 私に殺らせろ こんな奴らはこの世界に必要ないからな 」


「申し訳ない、お二人とも これは私の責任 私が駆除します 」


 ヴァイオレットは言うが早く飛び出していた。そして、慌てる人影に向かって一撃を放つ。


ドゴゥッ


 その一撃で人影の一人の片腕が吹き飛んでいた。人影は地面に崩れ落ちる。そして、次々に人影を倒していくが、その数は減るどころか逆に増えているように感じられた。


「ふうん これはどうやら初めから狙いはヴァイオレットのようだな コリン、シャーロットを守れるか 」


「はい、先生 」


 元気よく返事をするコリンにナアマは焔の剣を渡していた。


「ナアマさん、それでは私はあの屋根からヴァイオレットを狙っている奴を始末します 」


 クレアの姿が消えると同時に、屋根に潜んでヴァイオレットを狙っていた者は血飛沫を上げて、転げ落ちていた。


「さすが、レンジャーだな 奴の目は、獲物を狙う鷹の目 あの目からは逃れられないぞ、馬鹿な奴らだ コリン、よく見ておけよ 当然だが、お前はあの二人よりも強くならなければならないからな 」


「はい、先生 」


 焔の剣を構えてシャーロットの前に立つコリンに笑顔を向けて、ナアマも飛び出していった。


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