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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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8、観戦


8、観戦



 私たちは次の2回戦まで、まだ間があるので貴賓席からトーナメントを観戦していた。私は、普通の席で良いと言ったんだけど、シモンが断固として譲らなかったんだよ。


「良いですか、神であるキノコ様が一般席にいたら大騒ぎになります それにキノコ様はそんなに小さな体ですから、試合に興奮した観客に万が一踏まれでもしたら大変です ですから、この貴賓席からゆっくりと観戦なさって下さい 」


「ピイッ…… 」


 私は貴賓席の最前列の中央の特製の椅子にでんと座り、右にはアリスとシモン、左にはヴァイオレットとシャーロットが座っている。後列にはランスロットとトリスタン、それにコリンも並んでいる。シャーロットとコリンは私が呼んで入れて貰ったんだよ。

 シャーロットは、こんなお祭りには無縁の暮らしだったようなので、人々が熱狂して楽しむ姿を見せてあげたかったんだ。聞いた話では、シャーロットのお母さんは物静かで、花や野菜を育てたり、虫や動物を観察するのが好きな人だったらしい。もし、私の元の世界にいたら、きっと私みたいなオタクだっただろうな。私は、妙に親近感が湧いていたんだよ。

 コリンも辺境の村で育ったから、こんな大きなお祭り騒ぎは経験ないだろうからね。だから、見せてあげたかったんだんだ。

 シャーロットもコリンも目を丸くしている。巨大な闘技場に大勢の観客。そして、空にポンポンと打ち上がる花火。まさにお祭りだ。私も、この異世界のお祭りに興奮していた。

 中央の試合の舞台にヴラドが出てきた。観客席のパッツィたちからの歓声が私にも聞こえる。


「ヴラドは期待の戦士ですから1回戦くらいなら問題ないでしょう 油断は禁物ですがね 」


 シモンの言葉にヴァイオレットが続ける。


「シモンの言う通りですが、油断するのは所詮三流です ヴラドは一流です どんな相手でも油断はしませんよ 」


 ヴァイオレットの言う事はもっともだよ。一流の人は決して人を見下したりしない。それは、どんなものにも油断しないからだよ。常に注意を払っている。私には、まだ出来ない達人の境地だよ。仕事でも、この契約は大丈夫と油断して、何度課長に怒られたことか。ううん、嫌な思い出だよ。

 私が恥ずかしくて顔を伏せているうちにヴラドの一回戦は終わっていた。みんなの予想通り、ヴラドは危なげなく勝利し、観客席のパッツィたちに手を振っていた。



 * * *



 次に闘技場にあがったのは魔王ナアマだった。もちろんトーナメントには魔法剣士アシャとして参加している。そのナアマのセコンドにはイブリースがついていた。そして、二人の会話は耳の良い私には全て聞こえている。


「自分の力を制限して戦うというのも面白いものだな とはいえ、矮小な人間ごときに負ける筈がないがな 」


「油断は禁物ですよ こんなトーナメントに出場する者たちです 魔法を使わない状態では、我々と変わらない強さを持つ者もいるでしょう 」


「くくく、それはお前の物差しだイブリース 私がこのトーナメントに出場したのは、世の人間を私の虜にするためだ ふはは、皆、私の前にひれ伏すがいい 」


・・・この脳天気、淫魔が…… よくこんなのが魔王をやってられるものだな ・・・


 イブリースは頭の中でそう思っているのが、顔に表れてしまって丸分かりだよ。普段はポーカーフェイスのイブリースだけど、このときは感情が表れてしまっていた。


「それに、このトーナメントにキノコも出場する事になったからな キノコと対戦するのも楽しみだ 魔法を使われたら、とてもキノコにはかなわんが、魔法無しの戦いだからな 楽しめそうだ 」


・・・こいつ、魔法なしならキノコさんと戦える気になっているのか キノコさんは魔法無しでも、あの神獣ノヅチをノックアウトしたんだぞ まったく、キノコさんにこってりお灸を据えてもらうといい ・・・


 イブリースは、ナアマが私にやられる姿を想像しているのか邪悪な笑みを浮かべているよ。まったく、コイツら仲が良いのか悪いのか、いまだに分からないよ。

 そして、ナアマも一回戦は軽く突破していた。まあ、当たり前といえば当たり前か。それより、観客席の盛り上りが尋常ではなかった。ナアマの言う通り、観客はきわどいビキニアーマーのナアマの虜になったようだよ。その中でも一際大きな声で歓声を送っているのはゴモラの街の酒場のマスター”クラトス”だった。



 * * *



 その後もクレアやジーク、あの昇龍◯の人なんかが続々登場してきて、皆順調に一回戦を突破していた。私の横で悠々と観戦しているヴァイオレットは、前回の優勝者でシード権があるので一回戦はスルーだ。

 これでトーナメント一日目の一回戦が終了した。私はシャーロットたちを誘って、屋台がいっぱい出店している広場に向かったんだ。シャーロットとコリンには楽しんでもらいたいからね。それに、私もお祭り好きだし……。


「ピイィィーーッ 」


 私は、アリスの肩の上で”ミニリンゴ飴”をポリポリと噛っていた。シャーロットは”チーズハットグ”を食べ、コリンは射的に夢中になっていた。


「これ、戦いにも使えそうだけど、銃を使うジョブもあるんですか 」


 コリンが私に訊いてくる。私はアリスの肩の上で得意気に話していた。それを、シモンが同時通訳してくれる。


「ガンナーというジョブがありますね 射程が長く遠方から攻撃出来るという利点がありますが、逆に近接戦闘は苦手となります それに、魔法の方がさらに遠方の敵を攻撃出来るので、あまり人気のあるジョブとは云えませんね 」


「そうか…… 魔法が使えれば必要ないですもんね 」


「ただ、物理しか効果のない敵にも有効です それに、”魔銃”という強力な武器を使える唯一のジョブでもありますね どのジョブも一長一短がありますから、そのためにパーティーを組むのが有効なんですよ 」


 私は偉そうに、コリンに講釈をたれていた。



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