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最強の魔法使いに転生したいとお願いしたのに小動物になっていた私  作者: とらすけ
三章 北の大地、南の大陸

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4、特訓


4、特訓



 アリスは粉々になったSくんの残骸を必死に集めている。マスターは自分の動きを模したSくんが粉砕された事で、まるで自分が粉々になったかのように茫然と立ちすくみ固まっていた。


「ピ、ピイ…… 」


・・・ごめんなさい、アリス せっかく造ってくれたのに…… ・・・


 私もアリスが造ってくれた魔動人形を、あっさり壊してしまった事で罪悪感にさいなまれていた。


「気にする事はないですよ、キノコ様 アリスはキノコ様の練習相手として、あの魔動人形を造ったのです それが、こんなにすぐに壊れてしまうとは、明らかにアリスの設計ミス それで、キノコ様を悲しませるとは言語道断 これは重罪です、アリス しばらく自宅謹慎していなさい 」


「冗談じゃないわよ、シモン それなら、あんたが造ってみなさいよ プリーストのあんたに、私以上の物が出来るかしらね 」


「私は、攻撃魔法主体のあなたと違って、防御の魔法に長けていますからね 例えそれがキノコ様であってもダメージを受ける事はありませんよ 」


「はぁ 馬鹿なの、シモン 私の魔動人形を粉々にしたキノコちゃまの攻撃でダメージを受けない? 頭がお花畑にも程があるわね 死にたいなら、やってみなさいよ どうせ怖くて出来ないでしょうけど 」


「よろしいですよ それなら私がキノコ様のお相手を致します つまり、あなたはもう不要ですね、アリス とっとと消えなさい、アリス 目障りです 」


 私は、アリスとシモンの言い合いをハラハラしながら見ていたけど、けっきょくシモンが私の相手をする事になった。シモンは余裕で呪文を唱えて自分の周囲に何重ものシールドを張っている。逆に私の方が、本当に大丈夫なのかと怖くなってきたよ。でも、あの十戒を発動させたシモンだからね。私の魔法じゃなくて拳なら耐えられそうだよ。そう思うと私の不安もなくなっていた。


・・・それじゃ、いくよ シモン ・・・


 私は魔法少女に変身して構えると、シモンも防御の構えをとる。私は、それを確認して飛び出した。


ドゴォォッ!!


「おっ、げえぇぇぇっ!!」


 シモンは、確かにダメージには耐えたようだったけど、空の彼方にピューンと飛んでいき、米粒のように小さくなり見えなくなった。


「サヨナラーーッ シモン 」


 アリスは実に楽しそうに、会心の笑みを浮かべて飛んでいったシモンに向かって手を振っていた。



 * * *



 ナガトは首都の外に広がる森の中にいた。先程から自分を狙う殺気が感じられる。自分も森の中で気配を消して潜んでいる筈なのに、その殺気は正確に自分に向けられていた。


・・・私の位置を察知するとは、並の人間ではないな でも、それくらいでなければ役不足なのは確かだ ・・・


 ナガトは”空蝉の術”を使い、相手を眩惑させる。忍者マスターであるナガトに、気配を消されて”空蝉の術”で惑わされては、上級の冒険者であっても撤退する以外選択肢はないと思われた。しかし、その相手は殺気を向けたままナガトに迫ってくる。相手も同じ忍者マスターなのかと思ってしまうが、そうでないのをナガトは知っている。


・・・さすがだな キノコさんに目をかけられるだけはある だが私とてキノコさんのパーティーの一員 簡単に倒せると思わないで頂きたい ・・・


 ナガトも気配を消しながら森の中を移動する。それも、ただ移動するのではない、罠を仕掛けながら移動するのである。それでも、ナガトを追ってくる者は、罠にもかからず着実にナガトを追い詰めていた。


・・・まさか忍者である私を見失う事なく追い詰めてくるとは、しかも、罠にかかった様子もない ・・・


 ナガトが警戒心をさらに上げた時、高速の矢がナガトを狙って飛んできた。ナガトの死角から飛んできた矢は、すでに避ける事は不可能な位置にきていた。


・・・クッ…… ・・・


 ナガトは辛うじて矢を”くない”で叩き落とし、すぐに次の攻撃に備える。が、すでに二の矢がナガトの死角から襲っていた。


ズドッ!!


 矢はナガトの後頭部に深く突き刺さっていた。ナガトの動きが一瞬止まった瞬間、矢の嵐がナガトを襲っていた。


ズドッ、ズドッ、ズドッ、ズドッ、ズドッ!!


 全身、ハリネズミのように矢が突き刺さったナガトは、がっくりと頭を垂れピクリとも動かなかった。そのまま時間が止まったように時が過ぎていく。すると、ハリネズミになったナガトの口が動いた。


「もう、良いですよ 合格です よく釣られて姿を現しませんでしたね もし、姿を現していればあなたは負けていました 」


「それは相手が忍者マスターともなれば油断しませんよ 人を欺くのが忍者の技ですからね 必ず何かあると思っていました 」


 声は聞こえるが、まだ相手は姿を現さず気配も感じなかった。すると、ハリネズミになったナガトの身体が、糸の切れた操り人形のようにガシャンと地面に崩れていった。そして、全然違う場所からナガトが姿を表す。


「本当にもうこれで終わりです これ以上やると本当に殺し合いになりかねませんからね 私はレンジャーの方と戦うのは初めてですが、”穏形の術”を使用した私を追い詰めるとは素晴らしいですよ そして、攻撃は全て死角から…… 私でなければ殺されていましたよ でも、それでもキノコさんに勝つのは無理でしょうね キノコさんはレベルが違う 魔法を使わなくてもです 」


「分かっていますよ それでも私はキノコさんに良いところを見せたい 私を仲間に入れてくれたキノコさんの気持ちに報いるために…… 」


 森の中から姿を表したのはクレアだった。レンジャーが本来のジョブであるクレアは、トーナメントに備えてナガトに特訓を依頼したのであった。

 ナアマやクレア、そしてヴラドやジーク、それぞれがトーナメントに向けて技を磨いていた。




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