とあるブッタイのカウンセリング
本編57話直後
ちょっとなつかしいハナシをしようか。ムカシのイヌのハナシだ。
イヘンのマエのイヌは、そりゃあひどいヤツだった。
ゴウマン。ドクゼツ。ワガママ。ウエからメセン。ヒトぎらいのメンドウくさがり。
うむ。エにかいたようなクズヤロウだった。
オレサマも、ナンドさかさづりにしてやろうかとおもったものだ。
あと、ケッコウあそんでたな。オンナと。
「ちょっと待ってください! 事実無根です!」
……いいなおすか。
あそんでたな。オンナで。
「だから……っ」
それが、イマはすくいのないへたれなんだなぁ。
ムカシにもどれとはいわないが……。
なぁ、イヌよ。
「………………何ですか」
おまえ、そんなにこわいのか? ゴシュジンにテだすのが。
「……」
ヒザかかえてまるくなるなよ。でかいオトコがやってもかわいくない。
あと、なくな。いいカゲン、ひからびるぞ。
「泣かしてるのは誰ですか……」
それもなさけないセリフだが。
――まぁ、いい。
オレサマ、ちょっとかんがえたんだよ。
ゴシュジンとどうこうさせるマエに、イヌのイシキカイカクしないとダメだな。
だから、イヌ。おまえ、もうムリしてゴシュジンくどかなくていいぞ。
「……っ、それは」
まぁ、きけ。
それでかわりに、ゴシュジンにあまえたおすんだ。
「はっ?!」
うむ、それがいい。
おもいっきりあまやかしてもらって、それでな、わすれてしまえ。
こわがってること、ゼンブ。
「……」
わすれて、しあわせになって、ゴシュジンがもういなくならないとジッカンしろ。
いいか、しあわせになるんだぞ。
それから、またくどけばいい。
それで、
「……それで?」
もし、ゴシュジンがゼンブおもいだしたら、
「っ!」
しぬキであやまれ。
イヌがないてあやまれば、ゴシュジンのホウがおれるだろ。
そもそもオレサマ、あのケンにかんしては、イヌのナニがわるいのかわからんが。
とにかく――わかったな。
「…………はい」
よし。
――やれやれ。セワのやけるヤツだな。
ああ、ところでオレサマ、ちょっときづいたことがあるぞ。
「何ですか?」
あのな、ゴシュジンとイヌ、セイベツをギャクにすればバンジカイケツするんじゃないか?
ちょっとコウカンしてみないか?
「いや、無理ですからね。冗談ですよね?」
うむ。冗談だ。
……ハンブンほどホンキのな。




