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第六十五話 休息日


騎士団入隊試験前日。


エルザの勧めどおり、今日は休息日になった。


訓練もない。


依頼もない。


三人はそれぞれ自由に過ごすことにした。


---


セイルは一人、街を歩いていた。


騎士が歩く。


冒険者が歩く。


職人が働く。


商人が客を呼ぶ。


みんな目的がある。


みんな役割がある。


自分はティアと同じ景色を見たい。


そのために前線へ行く。


そのために騎士団試験を突破する。


明日は活躍しなくてもいい。


役割を果たせばいい。


スキルは役割を果たすための目安でしかない。


何だってやろう。


スキルに関係なく。


迷いは無かった。


---


アッシュは軽く木剣を振っていた。


明日は憧れだった騎士団試験。


思っていたほど興奮は無い。


考えることが増えたからだ。


敵を倒すだけが正解じゃない。


目的とか。


役割とか。


細かいことはまだよく分からない。


でも。


ティアを守る。


仲間を守る。


それだけは忘れない。


最後に一度だけ木剣を振る。


「強いやついるかなぁ。」


---


レナは街を眺めていた。


家族。


恋人。


友人。


楽しそうに笑う人達。


ずっと自由が欲しかった。


今も自由でいたい。


でも。


今はみんなと一緒にいたい。


エルザは言っていた。


圧縮は、相反する心を受け止める技術。


自由でいたい。


だけど仲間と一緒にいたい。


なのに。


圧縮はまだ強くならない。


何かが違う。


答えはまだ見つからない。


---


騎士団入隊試験当日。


快晴。


騎士団前には、多くの受験者が集まっていた。


セイル達三人も、その中へ歩いていく。


緊張はある。


だが、その背中に迷いは無かった。


騎士団試験が始まる。



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