第六十一話 私の可能性
最後のナイフは地面に落ちていた。
レナは一瞬、呆然とした。
さっきの攻撃。
全部防がれた。
悔しさ。
焦り。
その焦りを怒りで押し込める。
二人に追いつかれないように。
ずっと頑張ってきた。
考えて。
試して。
少しずつ強くなった。
それなのに。
二人はもっと速く前へ進んでいる。
追い越されたくない。
役に立つって思われたい。
未完成でもいい。
私の可能性を証明したい。
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レナは静かにランスを整形する。
「……ボックス」
角のない箱がランスの根元へ重なる。
反発。
その力を抑え込む。
砂鉄が震える。
歯を食いしばる。
風針鼠戦。
限界を超えた、あの集中。
まだだ。
魔力は残す。
訓練用ナイフ。
残り六本。
全部使う。
アッシュは口元を緩めた。
「いいじゃねぇか。」
レナは息を吸う。
解放。
ランスが弾ける。
続けて六本の訓練用ナイフを放つ。
小細工はない。
全部速度重視。
狙いはアッシュ。
アッシュは迎撃に剣を振るう。
その瞬間。
ランスの先端がぶれる。
狙いが逸れた。
そっちにセイルはいない。
弾くだけでいい。
ザッ――。
続くナイフも見えている。
キーーン。
六度の金属音が、一つの音に聞こえる。
アッシュはゆっくり息を吐く。
その向こうで。
レナは膝をついた。
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「そこまでです。」
エルザが静かに告げる。
「勝者、レナ。」
「はぁ?」
アッシュが振り返る。
「全部弾いただろ。」
エルザは何も言わず、セイルを見る。
セイルは足元へ視線を落とした。
一本の訓練用ナイフ。
つま先へ軽く触れている。
沈黙。
レナは力なく笑った。
「どう?」
「見た?」
そう言って、その場へ倒れ込んだ。




