第四十六話 条件
「調べよう」
アッシュが言った。
エルザの話が終わった直後だった。
「今から?」
レナが目を輝かせる。
「今からだ」
即答だった。
セイルも頷く。
「俺も今の方がいいと思う」
エルザは三人を見た。
そして小さく頷く。
「後悔のないように」
それだけだった。
三人には十分だった。
三人は店を出た。
教会へ向かう。
誰も口を開かなかった。
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王都中央教会。
案内役の神官は困った顔をした。
「オズワルド様ですか?」
本来なら面会を求めても、すぐに会える相手ではない。
だが。
「ティア様のご友人ですね」
神官はそう言うと奥へ消えていった。
しばらく待つ。
やがて神官が戻ってきた。
「オズワルド様がお会いになります」
三人は顔を見合わせる。
そして案内された。
応接室。
ほどなくしてオズワルドが現れた。
「皆さん」
柔らかな笑みだった。
だが三人の表情を見ると、すぐに察したらしい。
「ティア様の件ですね」
アッシュが頷く。
「話がある」
「分かりました」
オズワルドは席に着いた。
少しだけ沈黙が流れる。
最初に口を開いたのはアッシュだった。
「本当に行くのか」
短い問いだった。
オズワルドは頷く。
「はい」
「四十日後です」
アッシュは続ける。
「納得してるのか」
オズワルドは少し考えた。
そして答える。
「納得はしていません」
三人が顔を上げた。
「私も反対でした」
静かな声だった。
「今でも危険だと思っています」
「じゃあ何で」
アッシュが聞く。
オズワルドは答える。
「必要だと判断したからです」
短い言葉だった。
だが軽くはなかった。
「戦争だからですか」
セイルが聞く。
「それもあります」
オズワルドは頷く。
「他にもあります」
そこで言葉を切った。
「ただ、今はまだ話せません」
三人は黙った。
何か事情がある。
それだけは分かった。
しばらくして。
オズワルドが三人を見る。
「では逆に聞きます」
アッシュが顔を上げる。
「あなた方は教会に怒っていますか」
予想外の質問だった。
誰も答えない。
オズワルドは続ける。
「私も怒りました」
「神にも」
「教会にも」
「自分にも」
その言葉には重みがあった。
「それでも」
オズワルドは静かに言う。
「決めなければならないことがあります」
部屋が静かになる。
やがてアッシュが聞く。
「どうすれば前線へ行ける」
オズワルドは頷いた。
「現実的には二つです」
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「騎士団所属」
「冒険者ランクD以上」
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短かった。
だが十分だった。
「一般人では無理ですか」
レナが聞く。
「前線は戦場です」
オズワルドは答えた。
それ以上の説明は無かった。
だが誰も反論しなかった。
セイルは考える。
騎士団。
冒険者ランクD。
どちらも簡単ではない。
「騎士団試験はいつだ」
アッシュが聞く。
オズワルドは首を横に振った。
「詳しくは騎士団へ確認してください」
「ですが月に一度行われていたはずです」
三人は立ち上がった。
聞きたいことは聞けた。
「ありがとうございました」
セイルが言う。
オズワルドは小さく頷いた。
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三人は教会を後にする。
夕方の風が吹いた。
アッシュが言う。
「行くぞ」
「騎士団だ」
セイルは頷く。
レナも頷く。
三人は騎士団へ走り出す。




