46 政治
マリエール商会が撤退して北の国の流通は崩壊した。北の国は宰相をマリエール王国に派遣してマリエール商会の再開を願った。
46 政治
北の国の流通は崩壊した。如何にマリエール商会に依存していたのか如実に判る。農村と街の流通にも弊害が出た。北の国から嘆願があったがマリエールは頑として首を縦に振らない。感情のあるアンドロイドは、
「嘆願しているのですからお認めになっては如何でしょう。もはや北の国にもマリエール商会を悪く言う者はいないでしょう。」
マリエールはかたくなに、
「マリエール商会がなかった以前のやり方がいいと言いながら、困ったから元に戻してくれなどと恥ずかしくないのか。国王としての威厳はないのか。」
感情のあるアンドロイドは、
「北の国の宰相がお目通りを願っております。お目にかからないのですか。」
マリエールは面倒くさそうに、
「会ったところで答えは決まっている。君が適当に追い返してくれ。」
マリエールは会おうとしない。感情のあるアンドロイドはため息をついて(普通のアンドロイドはため息をつかない)北の国の宰相のところへ行った。北の国の宰相は、
「やはりお目にかかれませんか。」
落胆の色が隠せない。感情のあるアンドロイドは、
「国王陛下がお変わりにならない限りマリエール様がマリエール商会を北の国に派遣する事はないと思いますよ。」
宰相は没んだ顔で、
「国王陛下の交代ですか。5年前のマリエール王国との戦争でも国王陛下はマリエール陛下に許されてしまった。今回も許されると思って見えるのですよ。自ら否定しておきながらいなければ困ると判って戻してくれなどと言えた義理ではないでしょうが。」
感情のあるアンドロイドは少し強めに、
「国王交代ができないのならお話しする事はありません。お帰り下さい。」
現国王には18歳の王子がいる。譲位は可能だ。
「お話ししてみます。このままでは国が滅びます。一度ならず二度まで国を滅ぼしかけた国王はいりません。この身に代えても譲位願います。」
譲位を前提にマリエール商会は再び北の国に戻った。北の国の流通は正常化した。宰相は、国王に、
「さぁ、譲位を条件にマリエール商会を再開して頂きました。譲位して下さい。」
と譲位を迫った。国王は聞き入れない。
「儂の政権でマリエール商会が再開したのだ。増してマリエール王国は同盟国だ。儂が譲位する必要などあるまい。」
もはやこれまでと宰相は職を辞してマリエール王国に行ってしまった。もはや北の国には国王を咎める者がいない。ただ王子を早く国王になって欲しいという一派はあった。その一人は、
「現国王ではこの国は持たない。早く王子に国王になって頂かないとこの国は滅ぶぞ。」
またもう一人は、
「何とか譲位して頂く方策を練らねばならない。」
もう一人は、
「マリエール女王に命令していただこう。」
メンバーは嘆願書をしたためて、女王に提出した。
感情のあるアンドロイドは嘆願書を一読してマリエールに渡した。
「私が最初に言った通りにすれば良かったのではないか。」
感情のあるアンドロイドは、
「そうかも知れませんね。」
それから10日後、現国王急死のため新国王が立った。
国王の譲位を条件にマリエール商会の再開をした。しかし国王は譲位を渋った。譲位を求める者達の嘆願書がマリエールに届いた。




