Deveでの生活2
その日からジンはふかふかのベッドでぐっすり寝て、起きたらそこに紅茶とアップルパイとクロワッサンが食卓に置いてありそれを食べる。
朝食はラドンの妻であろう人物セレンと呼ばれるおばあさんが作ってくれた。
「カレンちゃんどう?美味しい?」
「はい……とても」
セレンもラドンと同様に優しかった。演技じみたものは何も感じられない。
そして、その後はテレビを見ながらダラダラと過ごし、またご飯を食べて寝る。という自堕落極まりない生活をしていた。
一つ違うところは1日の終わりにスキルをラドンの前で発令させることであった。
しかし、幸いにもカレンのスキル、リバースは回復を少しだけ早めるスキルということもありバレずに1日を乗り越えることが出来ていたのであった。
これがもし、火野のような火を出すスキルとかだと危なかっただろう。
今日も一日の終わりにはラドンにスキルを見せる。
「第一のスキル リバース」
皮がめくられた蜜柑に術をかけるジン。当然何も起こらない。
「ほう。何も起きんな」
ラドンは今日もその様子を観察して紙に何やら書き込んでいる。
「あの……こんなのでよろしいのでしょうか?」
「何がじゃ?」
丸メガネの奥からギョロリとコチラを見つめるラドン。
「あの…こんな生活をさせてもらって、しかもあんまり実験の役にも立ててなさそうだし」
ジンはだんだんと罪深い感覚になってきたのだ。何も貢献できずただご飯を食べる毎日に。
「ハハッ気にすることはない。むしろ、気にされたら困るのだ。さっきも言っただろう?それがスキル発令のトリガーに、なっていたらややこしいだろう?」
「はぁ、、なるほど」
とにかくラドンは普段の生活にこだわっていた。普段の生活+何か変なこと、はやらされるのだが。
例えば縄跳びを100回飛ぶとか。前周りするとか。バットぐるぐるをするとか。運動会のものだったり。知恵の輪をするとか、一緒にゲームをするとか、ジェンガするとか。
本当にスキルの発令と関係があるのか疑問になることまでしていた。しかし、無理なことはなく難なく出来るレベルのものであった。
そんな日が1週間ほど続いたある日のことであった。朝起きると机の上にはいつもの朝食が用意されていた。セレンが作ってくれたのだろう。
いつものように食べようとするが何故かラドンもセレンも見当たらない。
耳をすますといつもラドンがいる二階から何やら話声が聞こえてくる。それも大勢のだ。
ジンはゆっくりと階段を上がり声の方へ近づいて行った。二階は行ったことがなかったが、上がってみてジンは驚愕した。
一階のファミリー的な作りではなく、事務的な会社のような灰色の壁と廊下になっていたのだ。まさにアジトと言わんばかりの。
一階はラドンが実験のために作った、まさに仮の姿だったのだろう。
ジンは声の聞こえるドアに耳を近づけ、話声を聞こうとした。
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