カウントダウン
【第五のスキル 火玉】
ヒナタが両腕を天に掲げる。最初は風船程度の大きさだった火の玉がドンドン大きくなってくる。
「みんなが作ってくれたこの時間!ヒナタ、絶対無駄にしないよぉ!」
ヒナタの作る火の玉は直径10……20……30……と大きくなる。
ドラゴンはその隙になんとか立ち上がり、ヒナタ目掛けて攻撃を仕掛けるが…。
「……久東さん……始まりました」
くるみの言っていた通り、ドラゴンは攻撃の準備をするだけで、攻撃はしてこない。
くるみのインターバルは計算通りであった。
「よし!ヒナタ!こっから10秒だ!」
「うん!」
火の玉は蠢くような音を発しながら巨大になっていく。
「10!」
燃え盛る太陽を見上げて、カレンが叫んだ。こぶしを天に突き上げながら。
「おい!ネーチャン何しとんねん!そんな声出したら狙われるで」
遠くの方で岩石に付与されているジンが注意する。
「何言ってるの?今はインターバルなんだから攻撃はこないでしょ?!それよりもあんたもカウントダウンしましょうよ!私たちの勝利への!」
「あっ……インターバルやから大丈夫なんか……ほなわしも……」
ジン、カレンは叫び出した。拳を掲げる少女と振動する岩石。巨大になる火の玉。
「「9!8!」」
その間にも大きくなる火の玉。
「ハハッ、カレンのやつ、やる前はあんなにグチグチ言ってたのにノリノリじゃねぇか」
久東はカウントダウンを始めたカレン達を見て笑う。
「「「7!6!5!」」」
楽しそうだったので久東も参加した。拳を上げ始める一同。大きくなる火の玉。
「「「「4!3!2!」」」
「………4………2……」
岩の後ろで一人隠れていたくるみもヒッソリとカウントダウンに参加した。
「「「「「1!」」」」
直径100メートルはあろうかと思うほどの超巨大火玉が出来上がった。ヒナタがそれを振りかざす!
「みんなぁーー!!!いっくよぉおおおお!!!」
ヒナタは超巨大火玉を思いっきり3首ドラゴンの顔面にぶつけた。
「「「「「「ゼロォオオォオォオ!!!!」」」」」
凄まじい爆音と粉塵が辺り一面を覆った。
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ベッコリと大きなクーデターのような穴が空いている。その巨大アリ地獄のような砂場の底にドラゴンはグッタリと倒れていた。
「うーん、ホントにすごいわね。あんた達。ドラゴンやっけちゃったじゃない」
カレンがヒナタとくるみの頭を撫でる。
上から覗き込むようにして一同は瀕死のドラゴンを眺めていた。
「いや、今回は全員が協力してくれたおかげさ」
「……わたしは何も……」
「カレンちゃんのおかげだよ!みんなのおかげでヒナタは攻撃できたの!」
久東はカレンの頭をポンポンと撫でた。カレンがヒナタ達にしてあげたように。
「これはみんなの成果だ。カレンのおかげでもあるんだぞ。お前がいなかったらヒナタの攻撃は通っていなかった」
カレンは久東の顔をそっと見上げる。急に頭を撫でてもらい、さらに褒められ思考が追いつかない。
「……ち…ちょっと!急に何するの?私をガキと同じにしないでくれる!?」
照れ臭そうに久東の腕を振り払うカレン。
「まっ、とりあえず、これでドラゴン討伐完了だな」
久東とヒナタはアリ地獄の底へスキーをしているかのようにくだっていく。
砂底でぐったりと倒れるドラゴンの首の肉をかき分けナンバープレートを手に取った。
「ほお!すごいぞヒナタ。ナンバー「2.5」だ」
「やったあ!むちゃくちゃいい数字!」
ナンバーは他の参加者と被りはない。参加者は100人。なるほど参加者は整数を割り振り、学校側が用意したプレートは小数点があるのか。
「ヒナタ、ステータスも」
「うん!」
ヒナタはドラゴンのステータスをコピペした。
■如月ヒナタのステータス
学生 Lv5 → 学生 Lv8
HP 1800/1800 → HP 3800/3800
攻撃力 1200 → 攻撃力 2000
防御力 1200 → 防御力 2000
速攻性 1200 → 速攻性 2000
命中力 1200 → 命中力 2000
知力 5 → 知力 5
創造性 5 → 創造性 5
【スキル】
名称 : コピー
属性 : 無所属
Rank : D
※所持コピースキル【風体】【洞察】【火舞】
ヒナタは一次試験合格に必要なナンバープレートを3つ、そしてドラゴンのステータスを手に入れたのだった。
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今日のヒナタの戦果
・ナンバープレート2.5
・ドラゴンのステータス
これにて「VS 3首ドラゴン」は完結です。
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