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チートスレイヤーズ!!  作者: 堀井ほうり
鈴村龍之介の思考/不幸/虚構
20/40

第19話「知ってるよ」


 うーん、ごちゃごちゃしてきたね~。

 張ればいいってもんじゃないよね、伏線って。

 永遠に続きそうな日常……青春……うわぁ、吐き気がするよ~。


 ……えーと、改めまして。ボクの名前は「ジャッキー」。通称だけどね。


 願いを叶えることを条件に、影島アリスと鈴村龍之介の二人に「チートスレイヤーズ」として活動してもらってます~!

「チートスレイヤーズ」、簡単に言っちゃえば……チートスキルを持つ者の討伐です! 抹殺です!

 二人は着々と任務をこなしてくれています! 優秀です!


 え? なんでボクがそんなことをさせているかって?

 それはね、ボクがただの「抜け殻」、「弱虫の抜け殻」だからだよ。


 まぁいいや、とりあえず本編行っとこうか。

 リポーターの鈴村くん、そっちの天気はどうですか~?



 その日は朝から雨が降っていて、梅雨が明けたばかりなのに教室の中までじめじめとした空気が漂っていた。


「死んじゃえばいいんだよ……数学も世界史も化学もみんな……死んじゃえ……」

 日々子が学問を呪っていた。無機物に殺意ってお前……。

「でも、あたしにはアリスがいるからね。ふふ……『マリオネットワーク』が使えなくても、誰も助けてくれなくてもいいの……」

 ゲームか何かの話か? 帰ってきた答案用紙を見つめながらぶつぶつと呟いていた。


 小森日々子、愛称は日々子とかヒビィとか。小柄な毒舌キャラの女子だ。なぜかアリスに懐いている。


「小柄っつーな殺すぞ」

「うぃっす」



「龍之介ー!」

「ぐひっ」

 後ろから首を絞めるように絡まれて、変な声が出た。

「テストなんて恋愛に比べたらちょろいよねー! ね!」

 何と比較してんだよルナルナ。

「だってさー、恋愛は大変だよー? 『雌豚』が使えなくなってから……本当にもうー!」

 こいつもこいつでどこかおかしいな……。いつも通り、か?


 佐伯ルナ、愛称はルナルナ……ってそう呼んでるのは俺だけか。成績優秀、美人、校則違反の明るい髪。恋愛話が好き……なんだよな?


「そーだねー。死ぬほどねー。ね」

 俺は毎日のようにこいつの腕に絡まれている。主に首が。スキンシップ……だよな?



「お金があれば成績なんてどうにでもなりますよ」

 いや、それはやっちゃダメな奴だぞ葵。

 机に突っ伏してる感じから、だいぶダメージを受けてるのが伝わってくる。見た目、勉強出来そうなのにな。


 赤瀬川葵。愛称は……アリスが「むぅちゃん」って呼んでるな。赤と青で「紫」のむぅちゃん、だとか。金持ち、お嬢様っぽい外見、のんびり屋。


「適当に殺してお金を貰えば私は生きていけるもの。『ゴールデンウィークポイント』は暗殺向きですし……」

 こいつも変なこと言ってるなぁ。うーん、次。



「『三人寄れば文殊の知恵』なんだがな。一人だからな」

 そりゃテストはそうだろ。カンニングする気か?

「オレの『ゲームオーバー』じゃ点数はどうにもならんしなぁ」

 スマホを取り出して弄り始めた。諦めるの早っ。


 灰崎寅宗。スポーツ刈りの帰宅部。ことわざとソシャゲが趣味……変な奴だな。尾井萩高校のタイガーアンドドラゴン(自称)の片割れ。「寅」でタイガー。ドラゴンは……「龍」、つまり俺だ。今更ながら恥ずかしいな、この自称……。



「なるほどー。そうやってキャラクターを改めて紹介するのね」

「黙れアリス。俺達の大切なクラスメイトをキャラクターとか言うな」

「それにしても、みんな濃いよね。異世界にいる時のあたし達みたい」

 ずれた眼鏡を指で押し上げながら、アリスが少し遠い目をして言った。

「誰も知らないもんね、あたし達の……『チートスレイヤーズ』のことなんて」

 そうだな、と俺が答えようとした所で、


「知ってるよ、少なくとも僕はね」

 俺の背後からサギーが顔を出した。

 サギー。鷺沼正義。「正義」と書いて「まさぎ」。品行方正、成績優秀、協調性二重丸。


「何を言って……」

 たじろぐ俺に、サギーがいつもと同じ笑顔で話し掛けてくる。

「いやほら、二人の能力ってチートにしか効かないでしょ? でも、僕はチートでも何でもない普通の男子だからさ」

 普通のスキルを持った男子だからさ。


 サギーは笑顔のまま、予鈴に促されて自分の席に戻って行った。

「えーっと……」

「つまり……?」


「「サギーは異世界のこと知ってるの!?」」

 期待と不安が入り交じった感情が、なまぬるい教室の空気を汚し始めた。

キャラクター説明的な回でしたー。

正午頃、次話更新の予定ですー!動きますー!

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