第7章 : 光を追って歩くエルフ (2)
少年は素早く後ろを見た。
誰も追ってきていない。
ほんの一瞬前まで足音で沸き返っていた森が、突然、影の霊廟へと変わっていた。
それだけで、少年には理解できた。
フードを被った少女は、一言も発しなかった。
布の下に顔を隠している。
ただ、胸から規則正しく漏れる荒い息だけが、彼女が彫像ではないことを告げていた。
石のような静止を破る、唯一の動きだった。
みおは少年の視線を受け止めた。
「私の仲間が、あなたたちを追っていた者たちをもう拘束した。今度は、あなたたちの側の話を聞かせてもらう番」
空気が濃くなった。
均衡に傾きながら。
逃げている被害者なのか。
それとも逃げている加害者なのか。
沈黙は、少年の声によって砕けた。
彼はみおを見つめた。
その瞳は暗いラピスラズリの青。
輝きはない。
だが、見た目の若さには似つかわしくない、鉱物のような静けさが宿っていた。
顔の筋肉を一つとして動かすことなく、彼女の力を測った。
「俺はエルリック。彼女はミサ」
その顔には不釣り合いなほど多くの冬を見てきた目だった。
「奴らは彼女を売ろうとしていた。彼女には記憶がない。そして、あのろくでなしどもには誇りもなかった」
少年はわずかに一歩踏み出し、みおと少女の間に立った。
「俺が彼女を守る。それだけ知っていればいい」
フードを被った少女は動かなかった。
目に見える努力で息を取り戻そうとしていた。
まるで、世界そのものが彼女には狭すぎるかのように。
拘束された盗賊の一人が、地面へ唾を吐いた。
「嘘だ! 俺たちは自分たちのものを取り戻そうとしただけだ!」
別の一人が、震える声で呟いた。
「見た目どおりじゃない……」
エイナルが前へ出た。
その存在だけで、場に落ち着きをもたらす。
「お前たちは王国衛兵に引き渡す。お前たちの運命は、彼らに決めてもらう」
エルリックは目を逸らさず、毅然としていた。
一瞬、息を止めた。
まるで、言葉を測ることのほうが、逃げることより難しいかのように。
「どんな世界にも、存在すべきではないものがある」
そう言って、顔を上げた。
「俺は、残りの連中がどこに隠れているか知っている」
「ソルブランの砂丘、ミルキサンドゥルの村の近くだ」
「そこでは、渇きと飢えが判決になる」
一行に、厳粛な重みが落ちた。
その名は、前兆のように響いた。
ミルキサンドゥル。
孤独と死の土地。
最も絶望した者たちだけが、そこに避難場所を求める。
エイナルは眉を寄せた。
少年との視線を切らない。
「人身売買をしている連中を終わらせるための、ギルドの正式な依頼は出ているのか?」
エルリックは一度、首を横に振った。
「ない」
「ギルドも……王国も」
「見て見ぬふりをしている」
空気が重くなった。
エイナルは唇を固く結んだ。
それが意味することを理解しながら。
「なら、ギルドだけじゃない。王家も、こういうものが影の中で腐っていくのを許している」
エルリックは一歩前へ出た。
安全な距離を破る。
「隠れ家まで案内できる」
反論を許さない声で断じた。
「仕事が終わったら、俺たちの道は分かれる」
エイナルは頷いた。
それから静かに前へ出て、肩書きも飾りもなく、一行を紹介した。
「彼らは、みお、ライラ、リエル、ヤルンだ。俺たちは一緒に歩いている。もっと大きな目的がある。以前の俺は、英雄だった」
エルリックは頷き、ミサを注意深く見つめた。
口を閉ざしたまま。
介入せずに守る者のように。
捕らえた盗賊たちを、谷へ通じる道を警備していた王国衛兵の巡回隊へ引き渡すと、一行は砂丘へ向かって歩き始めた。
夕暮れが訪れると、火を起こした。
分け合う夕食はエイナルが用意した。
ウサギの煮込み、パン、甘い酒、水。
だが、その輪の中では、食べ物よりも言葉のほうが重かった。
エイナルはエルリックと話した。
その声は穏やかだった。
「俺は栄光や報酬のために戦っているんじゃない。俺の動機は、もっと単純だ」
「後から来る者たちが、少しでも壊れていない世界を持てるようにすることだ」
エルリックは口を挟まず、その言葉を飲み込むように聞いていた。
それが演説ではなく、告白なのだと理解しながら。
そのとき、ミサがフードを下ろした。
その顔には、まだ失われていない若さがあった。
時が残していく、あの角ばった痕跡はまだない。
その髪は、柔らかな鋼のような光を帯びていた。
炎の揺らめきを捉えるその髪は、一房一房が、鍛えられた月の欠片を宿しているかのようだった。
その瞳は、春の川の静けさを秘めているような淡い緑。
その目が、みおの目と重なった。
その視線の接触には、彼女を呼ぶ何かがあった。
二人の間で震える、無言の周波数。
ライラは、その瞬間を黙って見つめていた。
唇には、かすかな笑みの影を浮かべて。
みおは、その少女に惹かれるように歩み寄った。
そのとき、エルリックが異常に気づいた。
ミサは瞬きをしなかった。
みおから視線を離さず、その強さは不自然なほどだった。
まるで、他の誰にも見えない秘密を読み解いているかのように。
沈黙は、エルリックがその目に見えないつながりを辿ったとき、呟きによって破られた。
「お前の影……何かおかしい」
彼は、それ以外の部分にも違和感を覚えていた。
エルリックの視線は止まらなかった。
正確なゆっくりとした動きで滑っていく。
まるで、皮膚の下に描かれた目に見えない地図を辿るように。
まず、左腕。
それから、ひどくゆっくりと、うなじへ。
エルリックは数秒間、動かなかった。
考えきれない何かの中に吊り下げられたように。
それを完全に言葉にしてしまえば、事態が悪化するかのように。
エイナルはほんのわずかに目を伏せた。
彼はすでに知っていた。
初めの日から、みおに影がないことに気づいていた。
だが、それを胸の内にしまっていた。
真実の中には、時間をかけて初めて明かされるものがある。
特に、その人が大切な存在であるならなおさらだ。
みおは、ごく自然に地面へ視線を落とした。
もう慣れているかのように。
「黒いドラゴン、ガンドミルと戦っているときに失った」
劇的な調子はなかった。
「倒れる前に、呪いをかけられた」
エルリックは頷いた。
まだ落ち着かない様子だった。
だが、それ以上何かを尋ねるより先に、ミサが一歩後ろへ下がった。
そしてエルリックの背後へ隠れ、外套の布を指で強く掴んだ。
言葉はない。
一音たりとも。
ただ、世界を信頼するよりも恐れている者の、荒い呼吸だけがあった。
その仕草は、みおの中に消えない好奇心を植えつけた。
形を取ることを拒む、興味だった。
空気をほぐそうとして、みおは尋ねた。
「あなたたち二人……どうやって知り合ったの?」
エルリックは答えるまで、一秒ほどかかった。
炎が彼の顔を横切った。
炎から生まれたものではない影とともに。
「彼女を見つけたとき」
彼は顔を上げずに言った。
「服はぼろぼろだった……何かから逃げてきたみたいだった。何が自分を追っているのかさえ分からないまま」
「盗賊たちが彼女を取り囲んでいた」
「まるで、珍しい物を見るような目で見ていた」
彼は言葉を止めた。
森の静けさが、さらに重くのしかかったようだった。
「あれから……俺たちは動き続けている」
「毎晩、違う場所に身を隠す。何かが軋むたび、それが警告になる」
「奴らは自分たちが何を見ているのか理解していなかった……でも、彼女を逃がすつもりもなかった」
その視線が、ほんの少し硬くなった。
「彼女の髪は消えない」
「炎の光は退こうとする。でも、あの髪の一本一本には、それを引き留める何かがある。道の埃や灰に覆われても、それは変わらない」
みお、エイナル、ライラ、ヤルンは口を挟まずに聞いていた。
エルリックは、さらに声を落とした。
「奴らには、彼女が商品に見えていた」
「俺は、それを許さなかった」
ミサは、まだ彼の背後に隠れていた。
今の彼女の世界は、エルリックだけだった。
他の者たちは、薄暗がりの中で輪郭を失った、遠い人影にすぎなかった。




