第6章 : 黒鱗の弓 (2)
みおは黒竜の鱗で作られた弓を構え、ワイバーンの腕を持ち上げた。
その重みが肩に張りをもたらし、鱗がかすかな軋みで応える。まるで、心が理解するより先に、身体がその仕草に宿る記憶を知っているかのようだった。
周波数が変わった。
もはや脅威ではない。
それは、互いを認める響きだった。
巨人は足を止めた。
その目が、二人の携える弓と剣をなぞった。
沈黙の中で、まるで帰郷した古き子らを迎えているかのようだった。
張り詰めた空気が、水で冷やされた鉄のように静まっていく。
二人は敵ではなかった。
客人だった。
イヴァルディは、普通の人間をはるかに上回る長身だった。
身の丈はおよそ二メートル半。
氷によって鍛え上げられたかのような、人間に近い体つきをしていた。
狩人たちは、半透明の青い肌、虹彩のない黄色い目、そして水晶のように硬い髪を持つ巨人の噂を語っていた。
今、みおはその姿を目の前にしていた。
肌は淡い光を放ち、まるで凍てつく流れがその下を巡っているかのようだった。
髪はエネルギーに震えながら、無数の欠片が連なる冠のように硬く形作られていた。
その視線は、ほとんど本能的に、みおの指にはめられた指輪の輝きへと引き寄せられた。
「テネブリオ……」とイヴァルディは低くつぶやいた。その言葉は洞窟の壁にまで響き渡るかのようだった。「ヨルズ……大地。眠ることのない周波数だ」
「スヴァルトアルファヘイムに何を求めて来た?」
その声は、冷たい鉄を打ちつけたように低かった。
空気が脅威を帯びて重くなる。
そこで、みおが一歩前へ出た。
ウィヴァーンの腕が、黒いドラゴンの鱗の弓を支える。
警告としてではない。
宝を見せる者のように。
その隣で、二本のウルフベルフトが古い輝きを放った。
まるで、自分たちの鍛造の父を認識したかのように。
「あなたがイヴァルディ」
「私たちは、これほどの芸術品を鍛えた者を探している」
「敵として来たのではありません。あなたの創造物に敬意を表するために来ました」
空気そのものが、突然再調整された。
もはや不信ではない。
鍛造の記憶が、自らの後継者を呼び戻している。
彼の眼が弓を追う。
緊張が、焼き入れを終えた金属のように消えていく。
不信が消えたわけではない。
ただ、敬意によって押さえ込まれたのだ。
巨人が厳粛に語った。
「そうだ。私がイヴァルディだ。真に伝説的な武器を創るようになってから、何世紀も経つ。今では、特別な物を持ってくる者などほとんどいない……鱗、骨、欠片、神話の獣の残骸」
その視線が弓へ下りる。
「お前が持ってきたそれは、普通の武器ではない。ハーモナイザーだ」
「橋だ。お前が自分のエネルギーを与えれば、それは外さない矢を返す」
「お前と……武器との対話だ」
「アーケイン・チタニウムと鱗は、お前の意志を聞き、お前の意図とともに震え、それを軌道へと変える」
太い指を一本持ち上げる。
だが、触れることはなかった。
「まだ聞いている。まだ応えている」
彼は眉をひそめた。
何かが完全には噛み合っていないかのように。
「だが、完全ではない。本来の力へ到達するには、もっとドラゴンの鱗が必要だ」
「普通の矢を放つわけではない。持ち主のマナを糧にする」
イヴァルディが続けるにつれ、空間の密度が張り詰めていった。
工房の空気が、水銀のような重さを帯びたように感じられる。
まるで巨人の言葉そのものが、彼の鍛造場と同じ重力で酸素を満たしているかのようだった。
「一射一射が、研ぎ澄まされた意志だ。投射体へと形作られた意図だ」
「貫くことも、炸裂させることも、沈黙させることもできる。弦を引く者の意志次第だ」
ゆっくりと手を下ろす。
「だから、迷わない者だけが、それに喰われず振るうことができる」
みおは弓を下ろし、静かな確信を込めて語った。
「私はみお。こちらはヤルン」
「この弓には、もう一度呼吸を取り戻す必要があります。それができるのは、あなたしかいません」
イヴァルディはゆっくりと頷いた。
「ならば、私の工房へ入れ」
声を張り上げたわけではない。
それでも、その招待の重みが空間を満たした。
「必要な素材を持ってこい。そうすれば、その弓を修復する」
「そして、さらに物資を持ってくれば……私は活動を続けられる」
何か笑みに似た影が、その顔を横切った。
「そして、昔のように鍛造場へ再び火を灯そう」
ヤルンは顎が落ちるほど呆然とした。
そこは単なる工房ではなかった。
金属の神殿だった。
彼の内側で何かが震えた。
まるで、自分の職人としての技が、この場所で根を見つけたかのように。
イヴァルディは、もはや遠回しには語らなかった。
「その弓を完成させたいのなら、黒いドラゴンと戦わなければならない」
「その名はガンドミルだ」
「お前たちの世界、グロェンヴィンドルの谷にあるスヴァジルミリの沼に棲んでいる」
みおの表情が落ち着いた。
ウィヴァーンの腕を流れていたマナの流れも、揺らがなくなった。
「やります」
その声は、説得しようとするものではなかった。
避けられない事実を記録するような声だった。
イヴァルディは一瞬、彼女を見つめた。
その眼差しは重く、千の鍛造場の灰を宿していた。
やがて、その眼がゆっくりと下がり、ウルフベルフトへ向けられる。
指差す必要はなかった。
創造者は、最も濃い闇の中でも、自らの影を認識する。
「その剣たちは……」
ようやく彼が言った。
その声は、氷の圧力を受けた石が軋むように響いた。
「武器ではない」
ほんの僅かな間。
時間に刻まれた亀裂。
まるで世界全体が、自分の創造物を定義するために間違った言葉を使っていたかのように。
「そもそも、鋼ですらない」
部屋の空気がさらに濃くなり、呼吸することさえ難しくなったようだった。
「アーティファクトだ。黒いアダマンティナで鍛えられている。鉱脈から生まれることもなければ、普通の炎で溶かすこともできない金属だ」
「世界が、壊れないことを強いられた場所でのみ形成される。抵抗そのものの核心でな」
「アーティファクト」という言葉が落ちた。
そこには、異なる重みがあった。
より深く。より危険な重みが。
「私自身が、それらを隠した。三本だ。たった三本」
彼の眼が柄へ突き刺さる。
まるで、自分自身の指の跡を探しているかのように。
「誰にでも扱えるように作ったものではない。すぐに忘れられる戦争を戦うためでもない」
「ウルフベルフトは貪欲な寄生体だ。自らの息であるかのように、それを握る者の生命を飲む」
彼の指が空中で閉じる。
ハンマーに対して素材が示した、あの正確な抵抗の記憶を再現するように。
「だから、犠牲を受け入れる者だけが、砕かれずに振るうことができる」
「その金属は、借り物の手を許さない」
「自らの意志で息を差し出すか、さもなければ刃が、お前からそれを奪う方法を見つける」
その声は古い残響のように響いた。
金属よりも、石に近い声だった。
「お前たちがそれを握り、それでもまだ呼吸しているのなら……おそらく、その刃に値するのだろう」
そこでイヴァルディは顔を上げ、みおの顔へ視線を置いた。
好奇心ではない。
存在してはならない何かを、それでも存在しているものとして観察する者のような、測られた注意だった。
「その眼には、私にも理解できない力が宿っている」
彼はさらに一瞬、沈黙した。
「お前が確信しているのなら、私が作った指輪を与えよう」
「無敵になるわけではない」
「だが、すべてを溶かす息――意志さえも溶かすあの毒に対して、その物質の結合を維持する」
「もし奴を殺すことができたなら、その鱗と牙を持ってこい」
「それらがあれば、この弓は調和を完成させる」
彼の口調が、わずかに硬くなった。
「覚えておけ。どんなアーティファクトも、完全には守ってくれない」
「ドラゴンは、それに挑む者へ必ずその痕跡を残す」
みおは頷いた。
「四つ必要です」
彼女は言った。
「私たちの人数です」
イヴァルディは指輪を渡し、真剣な眼差しで彼女を見た。
「幸運を祈る、みお」
ヤルンは、鍛造師が別の鍛造師の中に炉の残響を認めるときのような重々しさで、彼を見つめた。
「ありがとう」
ヤルンは囁いた。
その眼は戦士を探していたのではない。
師を探していた。
巨人の手の中に、自分が火と槌へ捧げてきたすべての情熱の起源を認めていた。
みおとヤルンは、ゆっくりとスヴァルタールファヘイムの平面から戻ってきた。
鍛造場の輝きが、まだ二人の身体に染みついていた。
金属の空気が、閉じる帳のように彼らの背後で消えていく。
ライエルが腕を組んで待っていた。
「どうだった?」
みおは静かに頷いた。
「スヴァジルミリの沼へ行かなくちゃ」
「そこにはガンドミルがいる。黒いドラゴン」
「イヴァルディは、弓を修復して他の魔法の品を鍛えるために、あいつの鱗と牙を必要としている」
ライエルは眼を細めた。
病んだ大地の古い記憶を感じ取る。
「そのドラゴンが倒れれば……谷はまた息をする」
「俺たちは、あの谷をゆっくりした死から救うんだ」
ヤルンは、つい先ほど目にしたものの偉大さをまだ処理しようとしていた。
鍛造師としての彼の精神は圧倒されていた。
ライラの瞳孔が、突然縮んだ。
まるで、その闇のドラゴンの名を聞いただけで、瞳の奥に閃光が灯ったかのように。
まるで、ガンドミルの影がすでに彼女の上へ落ちていたかのように。
敵の名を口にしたみおの凍てついた平静さは、その試練の大きさと対照を成していた。
それ以上の言葉を交わすことなく、一行は新たな目的地へ向けて進み始めた。
使命の重みと、渡されたばかりの指輪の輝きを携えて。
地平線が暗くなっていく。
まるで、沼そのものがすでに彼らへ向かって、その影を伸ばしているかのように。




