第6章 : 影を破った声 (1)
首都を後にしてから、彼らはもはや見覚えのない道を三日間歩き続け、ようやくミールキサンドゥルの郊外へと辿り着いた。
ここ一帯の地形は、決して穏やかなものではなかった。草原の柔らかさなどなく、そこに広がっていたのは、鉱物の砂丘と砕けた玄武岩の大地だった。それは広大で、静寂に包まれていた。鉛色の空の下、大地はくすんだ銀色をしている。そこでは、グロェンヴィンドル渓谷の緑豊かな丘々が、古き石の敵意を前にして屈していた。
地平線の彼方には、ディープヘッラルの険しい峰々が姿を現していた。
それは山というより、冷たい霧に濡れた牙のようだった。
大いなる登攀を前に、旅人たちへ挑みかける石の城壁。
モモ、アミナ、そしてエイナルは警戒しながら進んでいた。ブーツが細かな鉱物の粉塵を巻き上げ、それが霜のように彼らの外套へまとわりつく。
すべては穏やかに進んでいた……その攻撃が、それを打ち砕くまでは。
二股の槍が、窪地の襞の間から突如として現れた。
エイナルの身体から数センチのところで、その刃は閃光とともに砕け、別の角度から再び現れた。
まるで、ほんの一瞬だけ世界そのものが逆向きに呼吸したかのように。
その一撃は即座に襲いかかり、予測することなど不可能だった。
だが、エイナルは反応した。
その眼差しが燃え上がり、灼熱の赤へと変わる。
ウルフベルフトが彼の手の中で震え、身体を硬化させ、人間の限界を超えて反射神経を研ぎ澄ませた。
{パリィ}――あり得ない軌道が最後の一拍で崩れた。それは回避ではない。否定だった。
槍は落ちなかった。
それは境界の狭間を通って消え、まるで空間そのものが服従を負っているかのように、持ち主のもとへ戻っていった。
空気が重くなる。
戦いが始まった。
三つの人影が開けた場所へと姿を現した。
最初の男は、傲慢さを隠そうともせず前へ出た。その尾は高々と掲げられ、背後で揺れていた。
「ホン」
皮肉な口調で、彼は言った。
「今夜、お前たちの墓場はこの場所になる」
その大刀は、光を飲み込んでいるかのようだった。
その隣には、見る者を不安にさせる美貌の女が現れた。
金色の髪、榛色の瞳。
そして、痛みを約束するような笑み。
メアリンだった。
彼女の短剣は、濡れた牙のように輝いていた。
最後に、茶色の髪をした大柄な男が前へ出た。
ステファンだった。
二股の槍が、秘術的な繋がりによって刻印されたまま、彼の手へと戻る。
彼は残酷な愉悦を浮かべながら、アミナを見た。
「砂漠の娘たちは簡単には折れないそうだな……俺のものにしたい」
ホンがエイナルへ飛びかかった。
メアリンはモモへ向かって進む。
ステファンはアミナへ。
大地は死の戦場へと変わっていった。
ホンが大刀を振り上げる。
彼のマナが鋼と融合し、激流のように迸った。
{エターナル・ストライク}を発動する。
衝撃がエイナルを打ち据えた。
一撃目が彼を後方へ押し飛ばす。
二撃目が骨の奥まで震わせる。
三撃目が、彼の構えをほとんど崩した。
それは疲労ではなかった。
彼という存在そのものの構造が、共鳴によって砕け散りかけていた。
ウルフベルフトが彼の掌へ鼓動を返す。
慰めではない。
自らが負っているものを思い出させるために。
剣は彼の身体へ、凍てついた活力の細い糸を注ぎ込んだ。痛みを無視するよう筋肉を強制し、血の舞踏が止まらないようにする。
その武器は彼の肉体を回復させていたのではない。
震えがまだ全身を駆け巡っているにもかかわらず、筋肉が崩れ落ちないよう、ほんの僅かに身体を支え続けることを強いていた。
第四撃が来る前――唯一の可能な瞬間。
エイナルは剣を回転させ、流れを逸らし、激しい蹴りを放った。
ホンの身体が後方へ吹き飛ぶ。
平原が、深紅の閃光に照らされた。
エイナルは身体を起こした。
その瞳は熾火のように輝き、ウルフベルフトもまた彼とともに脈動していた。
「{ブレード・フレンジー}」
彼は呟いた。
そして、その身体は超自然的な状態へと入った。
最初の一撃が命中した。
そこから連撃が解き放たれる。
七つの攻撃が連なり、稲妻のような速さで奔った。
止まることを知らない、紅蓮の奔流。
一つ一つの斬撃が防御を打ち砕き、障壁を無視し、戦闘そのもののリズムを引き裂いていく。
ホンは耐えようとした。
鉄壁の防御を築き上げる。
だが、絶対的な猛攻の前に、それは崩れ落ちた。
それまで自分に従っていた大地が、息も絶え絶えに後退する彼を見ていた。
力を剥ぎ取られ、かつて戦士が立っていた場所には、枯れ果てた影だけが残っていた。
そのアーツが続いたのは、ほんの数秒だった。
だが、それだけで誰がこの戦場を支配しているのかを明らかにするには十分だった。
エイナルは敵のアーツに耐えただけではない。
それを打ち砕き、さらに怒りを込めて叩き返した。
ホンは息を切らし、信じられないという表情を浮かべていた。
目の前にいる若き英雄は、もはや挑戦者ではない。
誰にも消すことのできない炎だった。
ホンは、すべてを懸けることを決めた。
剣を振り上げ、大地へ叩きつける。
地面が亀裂を走らせ、その裂け目がエイナルのいる場所まで伸びていった。
それは{アブソリュート・インパクト}だった。
垂直に振り下ろされる斬撃。
自由落下する巨大な岩塊のように落ち、大地の怒りをその身に引きずっていた。
地震のような波動が地面を揺さぶる。
一瞬、何ものにも止められないように見えた。
エイナルの体勢が崩れているのを見て、老練な戦士は真正面から突進した。
彼を真っ二つに斬り裂くために。
エイナルは最後の瞬間まで待った。
跳躍したとき、彼は優雅さのために回転したのではない。
自らの身体を遠心力そのものへ変えるために回転した。
ウルフベルフトの鞘が、息と魂が結びつく場所へ叩き込まれる。
そこに英雄譚はなかった。
彼の意志は、胸の上に山がのしかかるような圧力によって崩壊した。
ホンは敗れたのではない。
無力化されたのだ。
その場は重い沈黙で応えた。
聞こえるのは、岩が軋む音と、倒れていく身体の音だけだった。
止めることのできなかった壁が、倒された。
刃によってではない。
正義によって。
ホンが倒れた後の沈黙は、ほんの一瞬しか続かなかった。
戦場の反対側では、アミナが決意を込めて前へ進んでいた。
その灰色の瞳は、暗い輝きを燃やしている。
彼女はコピシュの握りを調整した。
空気までもが彼女へ向かって傾いたように感じられた。
「{コール・オブ・コンデムネーション}」
彼女は囁いた。
秘術の刻印がステファンの身体へ刻み込まれる。
黄昏の守護者は、女性の姿をした何かではなかった。
それはすべてを貪る空虚。
周囲の空気から熱を吸い上げる渦だった。
ステファンは恐怖を感じていなかった。
感じていたのは、自らの温度が低下していくことだった。
まるで影が、彼から熱エネルギーを一グラムずつ吸い取っているかのように。
ステファンは、熟練した処刑人の冷静さで反応した。
「{シャドウ・リープ}!」
彼は再び現れながら吠えた。
その姿は境界の狭間を跳び越えるたびに分裂し、歪んだ残像を残しながら、守護者の攻撃をかわしていく。
彼の槍がエーテル界をまとって振り下ろされる。
身体の安定そのものを圧縮する一撃。
アミナはコピシュを割り込ませることに成功した。
それでも残留する圧力が、見えない拳のように筋肉を内側から圧し潰しながら全身を駆け抜け、彼女に後退を強いた。
息を詰まらせるような声を漏らしながら、アミナは闇のエネルギーでステファンを封じた。
「{ヴォイド・チャント}」
それはリズムを持つ呪文ではなかった。
生命の火花を引き抜く行為だった。
ステファンはその場で完全に停止した。
アミナの瞳に恐怖はなかった。
そこにあったのは、憎しみを必要とせずに喰らい尽くす深淵の飢えだった。
腱から力を吸い上げ、彼を空っぽの殻へと変えていく。
残酷だった笑みは消えた。
敬意ゆえではない。
その顔に、もはや笑みを支えるだけの力が残っていなかったからだ。
アミナは、力が自分の身体へ戻ってくるのを感じた。
呼吸はより安定し、姿勢も取り戻されていく。
だが、ステファンは再び境界の狭間へと身を砕くように飛び込み、仕留められる前に刻印を破壊した。
「{ワンダリング・ブレード}」
彼は唱えた。
二股の槍は境界の門に呑み込まれ、空中から消えた。
そして視界を引き裂く無数の幻惑的な軌道となって増殖する。
一拍後、鋼が距離そのものを崩壊させ、予測不能なベクトルから姿を現した。
アミナは間一髪で防いだ。
だが、受けた衝撃で構えが震え、均衡が崩れた。
汗に濡れ、無防備になった彼女は、一歩後ろへ下がった。
老練な戦士は残酷に笑った。
その脆さを味わうように。




