第5章 : 原初の英雄の残響 (2)
二人の守衛が階段を下り、台座に置かれた刀身を運んできた。
エイナルの前に置かれた瞬間、空気が張り詰めた。
エイナルがそれを握った。
振動は即座に走った。
古代の武器は、まるで何世紀ものあいだ、この瞬間を待っていたかのように応えた。
剣の巻物には、こう記されていた。
⟦
構成のウルフベルフトは、手に取ることで{覚醒}に至り、持ち主に超自然的な耐久力を与え、傷を塞ぎ、骨を強化する。
握り続ける限り、その肉体は力尽きかけても倒れることに抗い続ける。
だが、注意せよ。
ウルフベルフトの飢えは果てしない。
その光を与える代わりに、お前の息を飲み込むだろう。
ᚠ イヴァルディ
⟧
エイナルの核が灯った。
その属性は、既知の限界を越えて上昇した。
それに呼応するように、残る二振りのウルフベルフトも同時に応えた。
一瞬、エイナルは一人ではなかった。
幻視が彼を貫いた。
リュエルの民の前で剣を握るシグルズ。
赤い竜へ立ち向かう姿。
その吐息が谷を焼き尽くしていた。
今、その同じ炎が彼の瞳に燃えていた。
その犠牲の重みが胸の中で燃え上がった。
そして、彼の深紅の瞳が輝いた。
その血統に生きる遺産として。
そのとき、彼は理解した。
剣が応えているのは、彼の手だけではない。
先祖がその刃に刻み残した血の印にも応えているのだ。
それは記憶だった。
だが、彼の中で燃える魂の記憶ではない。
生きた金属に刻まれた契約だった。
継承を求める契約。
みおとヤルンの核もまた、激しく振動していた。
ざわめきが始まった。
一部の英雄たちは、目の前に脅威が現れたのではないかと身構えた。
別の者たちは、何も言わずに身を屈めた。
まるで、目の前の啓示を認めるかのように。
アミナは胸に手を当てた。
モモは拳を握り締め、瞳を輝かせた。
リェルは何も言わなかった。
ただ、一瞬だけ目を閉じた。
彼女は何年も待っていた。
兆しを探し続けていた。
そして今、目の前にいる。
かつて自分の民を滅亡から救った人物、その継承者が。
審問の場は、証拠の前に沈黙した。
それは遺産だった。
誰の目にも明らかだった。
遺物は共鳴した。
エイナルの核は、より高位の力を放っていた。
彼は成り上がり者ではない。
ましてや、そんな存在ではなかった。
彼は、英雄たちよりも前に存在した者の末裔だった。
その背後に立つみお、ライラ、ヤルンの存在は、単なる宣言以上のものを確立していた。
それはチームだった。
迫り来る脅威に立ち向かうために整えられた、一つの隊形だった。
ヴァルドリンは、すぐには口を開かなかった。
だが、その仕草は読み取ることができた。
沈黙を破ったのは、エイナルの核から溢れ出す共鳴をヴァルドリンが感じ取った瞬間だった。
「属性を測れ」
静かな命令だった。
記録のプリズムが配置され、新たな測定条件へと調整された。
光が震えた。
英雄を定義する柱――力、速度、技巧、生命力、幸運――へと、その光が定着しようとしていた。
数値が空中に投影され始めた。
だが、既知のランクで止まることはなかった。
数字は凄まじい速度で上昇し、ぼやけ、やがて眼では追いきれない光の線へと変わっていった。
プリズムがそれらを表に記録しようとしたとき、結晶が鋭い悲鳴を上げた。
その振動は、そこにいる者たちの骨にまで響いた。
属性。
それらは、何世紀ものあいだ人間を測るために使われてきた言葉だった。
だが、その意味そのものが失われていった。
その下で、値は純白へと溶けていった。
最後の数値は存在しなかった。
プリズムは、停止するべき限界を見つけられなかった。
ギルドの尺度は小さすぎた。
エイナルの核から放たれるものを収めるには。
抑揚を持たない尺度という型が、砕けようとしていた。
場に、息を呑むようなざわめきが広がった。
数字を見る必要すらなかった。
何が起きているのかを理解するには、それだけで十分だった。
継承者は記録に収まっていない。
ギルドの秩序そのものを打ち砕いていた。
ヴァルドリンは視線を落とした。
どれほど高い自分の数値であっても、それは依然として測定可能な世界に属している。
一方、エイナルは今、真の力が任務の記録でも外部の統計でもなく、オリジンそのものの純粋な共鳴であることを示した。
そこで、彼らは理解した。
ギルドの栄光ポイントは力ではない。
記録なのだ。
任務。
依頼。
外部から与えられた数値。
真の限界は、核の中にある。
そしてエイナルは、それを今まさに示した。
内部で、ギルド最強の十三人の英雄による会議を招集しなければならない。
A+やSクラスの任務のためではない。
すべての村を巡るためだ。
地盤を整えるために。
後手に回るのではなく、先手を取らなければならない。
そして、ヴァルドリンはエイナルへ向き直った。
「遺物はお前を認めた」
「お前のものだ」
エイナルは答えなかった。
ただ敬意を込めて、刀身を下ろした。
ヴァルドリンは続けた。
「だが、一人で動くな。指示を待て」
「これから来るものは……孤立した力では立ち向かえない」
その後に続いた沈黙は、空虚ではなかった。
それは受容だった。
彼らは部屋の中央を離れ、隣接する空間へ案内された。
ライラはヤルンへ近づき、力強く抱きしめた。
短い仕草だった。
だが、そこには共に過ごしてきたすべての冒険、冗談、災難が詰まっていた。
その抱擁の中に、言葉にする必要のないすべてがあった。
――私たちは、いつだって一緒にこれを乗り越える。
エイナルが仲間たちと共に待つ間、会議が審議を続けるその余白で、ライラはみおに、自分が経験したことを話した。
彼女が語ったのは、ニョルンという名の犬系フリアンだった。
首都最大の商業施設を営む男だという。
小さなフリアンたちと出会ったとき、ニョルンは彼らの手先の器用さと、仕事のやり方の巧みさに心を奪われた。
迷うことなく、彼は彼らに自分の家の扉を開いた。
妻を見送ってからというもの、彼の唯一の伴侶は孤独だった。
だが、小さな一族が彼の食卓を囲んだとき、家そのものが目を覚ましたかのようだった。
沈黙は、ニョルンが永遠に失ったと思っていた温もりへと変わった。
彼はそこで、自分に必要だったことすら知らなかった仲間を見つけた。
ライラは彼を、心優しい男だと語った。
いつまでも彼らのそばにいると約束した人。
望むなら、いつでも自分の家へ戻ってきていいと、彼女に伝えたという。
みおは、彼に会って礼を言いたいと頼んだ。
数分が過ぎた。
会議が再びエイナルを招集した。
ヴァルドリンが毅然とした声で彼に告げた。
「戦略は、各村に最大三人の英雄からなるチームを配置することだ。指導者としてすでに指定されている者たちとは別にする」
「各チームは、現地の指導者たちと接触しなければならない」
「脅威を評価する」
「そして、ここ数週間のパターンに当てはまらない異常を報告する」
「これ以上の不意打ちは望まない」
「スニョルンドゥルで起きたことの後なら、なおさらだ」
エイナルは頷いた。
質問はしなかった。
もう分かっていた。
これは任務ではない。
警告なのだ。
正式な配置は明確だった。
エイナル、モモ、アミナが一つの前線を形成する。
彼らに割り当てられたのは、ドュプヘッラル山脈の斜面に位置するフィヤルヘイムルの村。
雪よりも影のほうが濃く見える、高地の集落だった。
その後、会議は閉じられた。
出口で、仲間たちは再び集まり、これからの計画をつなぎ合わせた。
リェルがエイナルの一行に加わった。




