第5章 : 世界の終わりの抱擁
五日後、エイナルはモモとアミナとともに、イスカヴィークのダンジョン周辺へと到着した。そこにある空気は、ただ寒いだけではなかった。古かった。まるで大地そのものが、封じられたものがかつて何であったのかを覚えているかのように。
彼らは霜の上の足跡を、石に残された痕跡を、裂け目に残る残響を探した。
見つかったのは、散らばった痕跡だけだった。存在の断片、消えゆく残響。
そこで一行は、帰路につくことを決めた。
彼らは落ち着いて、一歩ずつ、入り口から遠ざかっていった。途中で遭遇したのは、小型の獣くらいだった。
リエルは近くの木々に身を隠し、彼らを見つめていた。介入しなかった。口も挟まなかった。彼女は一行の一員ではなかった。
運命の一部だった。
すでにスニョールンドゥルへ戻った頃、地面は、しつこく残る霜に固められた草原の平地へと開けていた。山頂のような攻撃的な寒さではない。停滞した湿気が、鉛色の空の下で景色を鈍い銀色の広がりへと変えていた。濃く、ほとんど動かない蒸気を含んだ空気は、冷たい鉄の撫でるような感触で肌にまとわりつき、革と羊毛の層を避けようもなく、ゆっくりと冷やしていった。
遠くでは、低い植物――節くれだった枝と白い棘を持つ低木――が時間の中で凍りついたように見えた。谷間の風が、乾いた葉から金属的な囁きを引き出すことしかできない、まどろみの中に閉じ込められているようだった。道標となるものは何もない。ただ、ブーツの下で大地が発する鈍い振動だけがあった。
何かが起きた。
仮面の男が現れた。
歩いてはいなかった。
滑るように進んでいた。
空気が重くなった。静寂さえも息を殺しているようだった。
エイナルはすぐに気づいた。
あの存在に。
消え去る前に感じたことのある、あの暗い圧力に。
その仮面からは、鈍く深い光が滲み出ていた。まるで光でできた胃袋が、餌を求めているかのようだった。
エイナルには分類することさえできない、ありえない共鳴。
それでも、生きた核なら誰もが警戒するほどに古いものだった。
仮面越しの声が届いた。低く、穏やかだった。その響きは、名を持たない何かの遥か奥底からやって来たようだった。
「こうして、またお前と出会うとは……」
その音は空気の中で震え、人間のものだけでは到底ありえないほど深く響いた。
そして、エイナルへ向かっていった。
その速度は凄まじかった。まるで空気でさえ、そいつを引き留めることができないかのように。
リエルは弓を引き絞った。
介入する準備を整えて。
そのとき、時間が断片へと砕けた。
{サスペンデッド・ビジョン}
世界が譲歩した。
みおを救うために。
彼女を動かしたのは術ではなかった。
記憶を失ってなお、傷つこうとしている自分自身の魂の一部を守る必要を認識した、自らの心の記憶だった。
一秒
衝突を断ち切れる、正確な一点を見た。
二秒
ウルフベルフトをエイナルと暗い存在の間へ投げ込んだ。
刃はありえない境界を描いた。
存在してはならない一本の線を。
その姿は、霧の尾を引きながら崩れた。
三秒
みおが二人の間に現れた。
霧を引き裂きながら。
その刃は、判決のように宙へと浮かんでいた。
時間が再び呼吸を始めた。
そして、世界はもう同じものではなかった。
ウルフベルフトが輝いた。
武器としてではない。
応答として。
ミサオは語らなかった。
だが、ノードは共鳴していた。
核にある彼女のエネルギーが、決して途切れない脈動のように、みおを支えていた。
みおは一切ためらわずに前へ進み、ウルフベルフトが激しく空気を切り裂いた。引き裂くために振るわれた刃だった。
均衡も、応じることも求めてはいない。
傷つけるために。
砕くために。
破壊するために。
敵は、その戦略を予想していなかった。
だが、それを感じ取った。
空気が震えた。
まるでマナが、本能的にその存在から後ずさるかのように。
その核――歪み、飢えていた核――が、防御を取ることを強いた。
鎖付きの大鎌が、その手の中に現れた。
暗い金属が、消え入りそうな光を宿して呼吸した。
鎖はひとりでに張り詰めた。
まるで、これから解き放たれる暴力を理解している、生き物のように。
寸前で防ぐことには成功した。
だが、数メートルも吹き飛ばされることまでは免れなかった。
止まった。
恐怖のためではない。
計算のためだった。
虚空から忍び寄るリエルの重みを感じた。
みおはそこにいた。
揺るぎなく。
その本質を読み解くことのできない、不可思議な存在として。
仮面の男は彼女を見つめた。
そして、その瞬間に不穏な何かを認識した。
奇妙な鼓動。
この世界の法則には属さない振動だった。
彼女はもう、世界が期待していた存在ではなかった。
現実という交響曲の中に生まれた、不協和音。
痛みから生まれた奇跡。
そして彼女の前では、エイナルは錨のような存在だった。
みおが、新しく手に入れた奇妙な力の中へ完全に消えてしまうのを防ぐ錨。
モモはクロスボウを構え直した。
アミナは自分のコピシュを固く握った。
暗い存在は、彼らを見つめた。
そして、退いた。
消えたのではない。
ただ、戻ってくるのを先延ばしにしただけだった。
エイナルは彼女を見た。
髪の長さが、以前とは違っていた。
短くなっていた。
だが、四つの接続点が彼女のうなじで輝いていた。
テネブリオで作られたもの。
封じられた星座のように。
エイナルには理解できなかった。
それでも、何かが彼の中で噛み合った。
二人の間の空気が、記憶しているようだった。
そのとき、みおが顔を向けた。
時間が可塑的になった。
一秒一秒が永遠へと引き伸ばされていくかのように。
その瞳――それぞれが異なる世界を宿しているかのような、特別な瞳――が、エイナルへ向けられた。
モモとアミナは息を呑んだ。
影の中にいたリエルは、みおを認識していなかった。
ヤルンが、モモ、エイナル、アミナの傍らにある空気の継ぎ目から姿を現した。
彼は立ち止まった。
自分が遅れたことに驚いたのではない。
みおが自分より先に霧を引き裂いたことに驚いたのだ。
まるでウルフベルフトが、彼女だけに許された場所を要求したかのようだった。
ヤルンの法則が何の管轄権も持たない場所を。
そして、彼女は微笑んだ。
勝利の仕草ではなかった。
挑発でもなかった。
エイナルの世界を、思いがけない温もりで照らす微笑みだった。
そして、彼女は彼を抱きしめた。
それは世界の終わりの抱擁だった。
足元で大地が裂けようとも、相手が唯一の避難場所であるなら、それ以外は何も重要ではない、そんな抱擁。
エイナルは千の欠片に砕けていた。
だが、彼女を抱きしめた瞬間、その痛みの欠片たちがようやく居場所を見つけたように感じた。
再び噛み合い、何か完全なものを形作っていく。
たとえ、それがたった一度の、永遠の瞬間であったとしても。
一人、また一人と、残りの者たちが近づいてきた。
それまで影の中に留まっていたリエルでさえも。
そのとき、ミサオの声がみおの心の中で囁いた。
<彼がエイナル>
そこで、紹介が始まった。
最初に口を開いたのは、みおだった。
「私は、みお」
「そして、彼がヤルン。私が再び秘術の力を持てるようになったのは、彼のおかげというだけじゃない。私の隣を歩いてくれる仲間でもある……私の中にある影を知っている人」
一瞬、静寂が途切れた。
みおは彼へ短く一歩近づいた。
ミサオの囁きは、まだ彼女の心の中で震えていた。
「エイナル……」
その名は、井戸の底から拾い上げられた音符のように響いた。
「あなたを覚えていないこと、ごめんなさい。でも、私の胸は、頭よりもあなたをよく知っているみたい」
みおの唇から自分の名を聞いた瞬間、エイナルは奇妙な寒気に包まれた。
まるで、彼女が自分を認識していないまま、別の人生からその名を呼んでいるようだった。
その瞬間、エイナルは、自分が見えない存在になったように感じた。
何よりも待ち望んでいた相手の前に立つ、ただの他人。
それから彼は頭を下げ、連れの者たちを紹介した。
「モモ、アミナ……それから、リエル」
「俺はエイナルだ」
彼は、どれほど恋しかったその視線を受け止めながら答えた。
「だが、今のお前にとっては、持ち主のいないただの名前なんだろうな」
小さなモモは、もう堪えられなかった。
みおのもとへ駆け寄り、力いっぱい抱きしめると、泣き出した。
「みおが消えるのを見た……そして、その代わりにこれが現れた」
そう言って、エイナルを指差した。
まるで、いまだに何が起きたのか理解できていないかのように。
ミサオの声が、再び彼女の内側に響いた。
<彼女がモモ>
一瞬、静寂が訪れた。
そして、笑顔が溢れ出した。
小さく笑う者もいれば、こらえきれずに声を上げて笑う者もいた。
張り詰めていたものが、皆で分かち合う一息の中でほどけていった。
エイナルは困惑したように彼女を見つめ、尋ねた。
「どうやってここまで来た?」
みおは視線を落とし、穏やかに答えた。
「たくさんのものを失った場所へ向かっていたの。そこでは、廃墟の中から新しい始まりが生まれた。馴染みのある共鳴を感じたの。弱かったけど、間違えようがなかった。ヤルンもそれを感じ取ると分かった。冷たい空気の中に残ったその痕跡が、私たちを結ぶ羅針盤だった」
「手を伸ばしたら、私の呼びかけに応えるように、彼が平面を開いた。世界は私たちを引き離しておくことに疲れて、私たちの前で折り畳まれたの」
「そうして、私たちは出会った」
彼女はそう言って、運命を閉じた。
それからモモの髪を撫で、顔を上げると、再びエイナルを見つめた。
その眼差しには、痛みがあった。
「あなたに伝えたい人がいる」
そのとき、ミサオの声が彼女の心の中で響いた。
明瞭で、温かかった。
<エイナル、私は肉体を持っていない。でも、魂はここにいる>
<あの日に起きたことを、自分のせいにしないで>
<あなたには見えなくても、私はずっとあなたと一緒にいる>
みおは、その一言一言を小さな声で繰り返した。
ミサオが伝えるのと同じ調子で。
まるで、自分の息を別の誰かの声に貸すように。
短い静寂があった。
そして、ミサオの声が再び、みおの心の中で囁いた。
<みお、あなたの禁じられた力について話して>
みおは数秒間、視線を落とした。
息を吸い、決意を込めてエイナルの目を見つめた。
「エイナル……もう隠し続けることのできない真実がある」
「テングスルの指輪が、私に禁じられたドンを与えるの」
「誰にでも呼び出せるものじゃない。意志を超える絆、魂の奥深くに織り込まれた繋がりが必要なの」
「そのドンは、別の誰かと自分の居場所を入れ替え、ほんの一瞬だけ、二人の運命を融合させる」
「運命は、あなたを救うための代償を求めたの、エイナル。あなたが再び光へ戻るために、私はあの交換の暗闇の中へ自分の記憶を置いていかなければならなかった。あなたに未来を確かなものとして渡すために、私は自分の過去をあなたへ渡したの」
エイナルは指を手のひらへ食い込ませた。
まるで、寒さが突然戻ってきたかのように。
みおは目に宿る緊張を緩めた。
二人の間に浮遊するような静けさを広げてから、穏やかに話し始めた。
「私たちが場所を入れ替えたとき、ミサオは古い術を知っていた」
「彼女は、その瞬間を使って、自分の魂を私の核と融合させた」
「ミサオは去ったんじゃない。ただ、居場所を変えただけ。今では彼女の息が私の息と混ざり、彼女の声が私の歩みを導く残響になっている。空気の中で彼女を探さないで、エイナル。私の言葉の中で探して。彼女は、私の鼓動を自分の新しい居場所にすると決めたから」
エイナルは何も言わなかった。
ただ一瞬、目を閉じた。
自分を圧倒している波を抑え込もうとするかのように。
夜の中で、唇からかすかな呟きが漏れた。
「ありがとう……ミサオ」
モモとアミナも、まだ衝撃から抜け出せずにいた。
一行の上に静寂が降りた。
まるで、この先へ歩き出す前に尊重されることを求める外套のように。




