第5章 : 導入
道は再び、困難な約束のように、彼女たちの前へと開けていた。
崩壊から三日が経っていた。
そして世界は、少しずつ自らのリズムを取り戻し始めていた。
足音。
呼吸。
ゾヤがほとんど母親のような献身で見守る、小さな日々の営み。
測定値は安定を示していた。
みおの瞳の中の紫色の円は静止したまま、動かない湖の上に置かれた眠れる封印のようだった。
「あなたの数値は範囲内に収まっているわ」
ゾヤは記録を最後にもう一度確認しながら告げた。
「完璧ではない。でも、十分よ」
アレクサンドラは頷いた。
そこには、彼女から決して離れることのない安堵と警戒、その両方が混ざっていた。
背後で燃える火のぱちぱちという音が、ゆっくりと、確かな独自の時間を刻んでいるようだった。
「それなら、時間ね。テネブリオの鉱脈が私たちを待っている」
道のりには五日を要した。
もっと速く移動できる手段もあったが、彼女たちは歩くことを選んだ。
みおが負荷にどう反応するのか、そして体調を再び悪化させずに、どこまで歩き続けられるのかを確かめる必要があった。
彼女たちは一定の歩調を保ち、休息を挟みながら、みおの回復具合を確かめていった。
風が湿った土と焼けた葉の匂いを運んでくる。
傾き始めた陽光が疲れた彼女たちの肩を黄金色に染め、長く伸びた影は、静かな気遣いを見せるかのように彼女たちの後を追っていた。
光が消えるまで歩いた。
小さな火を焚き、耳を傾けているような星々が点在する空の下で眠った。
ゾヤは、ただビタコラに記された数字を見ていたわけではなかった。
みおの身体と呼吸に刻まれた疲労の痕跡を探していた。
センサーには記録されない、間や緊張を読み解きながら。
彼女は抑えていた息を吐いた。
そして一瞬だけ、感じ取ったような気がした。
ひとつひとつの鼓動が落ち着いていくことを。
ひとつひとつの筋肉が安らぎを見つけていくことを。
そして、疲労の影が少しずつ消え始めていることを。




