第4章 : 世界の縫い目 (1)
翌日、ヤルンはみおに乾いたパンと鹿肉の煮込み、そしてそれ以上に価値のあるものを差し出した。
情報だ。
「この次元では、力は呼び出すものではない。構築するものだ。象徴に反応するのではなく、設計と反復、そして結びつきに反応する」とヤルンは説明した。
木製の棚に向き直り、彼女に黒ずんだ金属片を手渡した。
「誰かがこれを見てわかれば、お前が渡ってきたこともわかるはずだ」とヤルンは言った。「その共鳴を解釈できる者を探せ。自分の直感を信じろ」
「それから、みお……もうひとつ。お前が魂を引き裂かれることなく、この灯台を支えられると彼らが判断するなら……私が門を開こう。私よりも軽い重荷を背負っただけで震え上がる王たちを、私は見てきた。それでもお前は立っている。それで十分だ」
みおは微笑んだ。
だが、革で覆われた柄の鍔を握り締める指の関節は、白くなるほどだった。
ウルフベルフトの金属の冷たさが鞘越しに伝わり、足元の世界が今にも裂けようとしていることを思い出させた。
二人は崖の縁へ出た。
そこは空気がより澄み、冷たかった。
ヤルンは目を閉じ、意識を集中させた。
世界が張り詰める。
次元の構造が、内側から回転する布の層のように幾重にも展開していった。
扉が開いた。
木でも光でもない。
それは次元に走った縫い目だった。
その中心から、物理世界には存在しない色を帯びた、震える糸が現れた。
二人は中へ入った。
特異点は音もなく、ただ共鳴によって二人を迎えた。
空間には上も下もなかった。
世界の断片が、現実そのものがほどけて宙に浮かんでいるかのように漂っていた。
一歩踏み出すたびに軌跡が残る。
まるで、足を置いたその瞬間に、足元の地面が織り上げられていくかのようだった。
みおは最後の跳躍を前に、一瞬だけ足を止めた。
「覚えておいて。私がこれを振動させたら、準備ができたってわかるから」
ヤルンは黙ってうなずいた。
そして、地球へ通じる次元だけを開いた。
みおは一歩を踏み出した。
そして、世界が変わった。
風はなかった。
光もなかった。
ただ、まだ経験したことのない何かを身体が覚えているかのように、滑らかに移り変わる感覚だけがあった。
目の前には広大な野原が静かに広がっていた。
まるで、この次元は異なる呼吸をしているかのようだった。
特異点の糸が一瞬、空中で震え……その後、裂け目は完全に閉じた。
みおは確かな足取りで進んだ。
空気はより濃密に感じられ、静電気を帯びたエネルギーが満ちていた。
彼女の内側でミサオが震えた。
<気分はどう?>
「身体が軽い」とみおは答えた。「まるで、身体の重さが減ったみたい」
空は紫色に染まり、既知のスペクトルの外にある光の糸が、宙に浮かぶ霊のように漂っていた。
みおは、錆びついた塔や金属の根のように見えるトンネルの間を、黙って進んだ。
獣の姿はなかった。
この世界は咆哮を忘れてしまったのだ。
ただ眠りについた構造物だけがあり、永遠に続くかのような静寂の中で呼吸していた。
石は金属に抗っているのではなかった。
古代の神殿が新たな神を守るように、金属を支えていた。
進むにつれて、廃墟は人々の行き交う道路や、より新しい構造物へと姿を変えていった。
みおは岩の間に水を見つけ、持っていた容器を満たすことにした。
人の住む場所にたどり着くまでどれほどかかるかわからなかったため、食料を節約し、夜が訪れると避難できる場所を探した。
翌日、みおは再び歩き始めた。
遠くに見えていた光は次第に強さを増し、やがて都市の姿を浮かび上がらせた。
あり得ないほど高い建造物が儀式の柱のようにそびえ立ち、その表面を、既知のスペクトルの外にある色合いで呼吸する光の繊維が貫いていた。
人間やほかの種族が高架通路の間を歩いていた。
彼らの足音は、淡い黒曜石や織り上げられた光の表面に、異なるリズムを刻んでいた。
地面そのものが、深く鈍い鼓動を打っていた。
みおにはそのエネルギーが、生命を持つざわめきとなってブーツを伝い、核に達するまで這い上がってくるのが感じられた。
この世界において、静寂とは音の不在ではなかった。
絶え間なく続く電気的な振動だった。
まるで都市そのものが、目覚めきることのない巨大な獣であるかのようだった。
人々の視線がみおに留まった。
服装のせいかもしれない。
動き方か、あるいはあらゆる構造物を観察するその姿勢のせいかもしれない。
みおにはわからなかった。
ただ、自分がこの場所に属していないこと、そして戻りたいのなら、自分を導いてくれる者を見つけなければならないことだけは明らかだった。
何時間もの間、みおは通りを歩き、道を尋ねようとした。
だが、目的に近づけるような答えは得られなかった。
通行人の中にはそのまま通り過ぎる者もいれば、短く彼女を見てから自分の用事に戻る者もいた。
みおはとうとう金属片をしまった。
誰彼かまわず見せても意味はない。
最後に彼女が見つけたのは、店のように見える施設だった。
だが、そこでは何も売られていなかった。
商品が陳列されているわけでもなく、磨き上げられたカウンターの向こうに一人の女性がいて、人々の往来を眺めているだけだった。
みおは近づいた。
「何かお探し?」と女性が尋ねた。「私はテス」
「こんにちは。みおです」と彼女は答え、手を開いた。「この金属について、助けてくれる人を探しています」
黒ずんだ金属片が、その手のひらに横たわっていた。
テスは首を傾け、青白い首筋をさらした。
そこでは、皮膚の下に埋め込まれた四つの黒い金属の点が、鈍い光を放っていた。
テスは金属片に目を向け、片眉を上げた。
「こんな金属片を手にして現れる人なんて、そうそういないわね」と彼女は言った。「それに、あなたが偶然これを見つけたとは思えない」
テスは一瞬黙り、触れることなく金属片を調べた。
「私にはこれをどうにかすることはできない。でも、力になれるかもしれない人なら知っている。アレクサンドラという人よ」
テスは再びみおを見た。
「あなた、別の世界から来たのね」と、やがて彼女は言った。「あなたの脈動は、ここのものじゃない」
みおは彼女の視線を受け止めた。
「これが何なのか、知っているの?」
テスはゆっくりとうなずいた。
「テネブリオ。共鳴金属よ」
それから彼女は、小さな長方形の装置を取り出した。
黒い外装には、みおが手にしている金属片によく似た、薄いテネブリオの板が組み込まれていた。
装置は手のひらに収まる大きさだった。
テスは親指でそれを起動した。
かすかな振動が装置を走った。
表面に色とりどりの糸が現れ、動く記号へと組み替わっていった。
まるで、小さな星空が彼女の指の間に広がったかのようだった。
数秒待つ。
やがて、かすかな駆動音がした後、テスは口を開いた。
「アレクサンドラ、ここにあなたの助けを必要としている人がいるわ。待っているわね」
装置から、明瞭で率直な声が返ってきた。
「了解。すぐに行く」
みおはその装置を見て、感嘆した。
自分の世界にある通信モノリスを思い出させたが、こちらは従来の信号というより、共鳴のパルスに反応しているようだった。
「私のアルカナ・コンペンディウムよ」とテスは淡々と説明した。「共鳴ネットワークを通じて通信したり、さまざまな商品の価格や仕様を調べたり……記録したりできるの」
テスは長い間を置いた。
視線は通りの薄暗がりへとさまよい、まるで手の届かない映像を探しているかのようだった。
「もう、別の世界から来た人を見ても驚かなくなったわ……」
みおは黙っていた。
テスの告白が空気を満たしていくのを、そのまま受け止めていた。
「数日前、光が完全に消えたの」とテスは続けた。「まるで、誰かが一瞬だけ世界を取り去ってしまったかのようだった。そのとき、若い女性が現れたの。彼女の髪は深い色のヴェールのようで、あまりにも長く、自分自身の影のように後を追っていた。身体にぴったりと沿う輝く衣装をまとい、細く、ほとんど霞のような布が首元に柔らかく巻きついていたわ」
テスはその光景を思い起こし、ため息をついた。
「彼女は古めかしいほど落ち着いた様子で通りを見渡し、自分の行き先は光のない世界だと言った。
それから、彼女の背後で虚無が口を開いた……」
テスは再び口を閉ざした。




