第124話 ベヒーモスを捕まえろ
ベヒーモスを相手に、零夜達はどう立ち向かうのか?
ハルヴァス東部にあるバッテリ鉱山。そこは石炭などの資源が多く出ている為、洞穴や地下洞窟などが多く存在している。
その中には悪鬼のAブロック基地もあり、彼等は数か月前からこの辺り一帯を支配している。基地の前では二人の兵士が見張りをしながら、脱走事件の事について話をしていた。
「あれから数日か……ベヒーモスが倒されたのは大きな痛手だからな……」
「ああ。八犬士達とは既に出会っているだろうし、ここが奴等によって攻め込まれてしまうのも、時間の問題だよな……」
「その時は必死で頑張らないとな」
二人の兵士がこれからの事を予測しながら話をしていたその時、一羽のファルコスが彼等の前へ姿を現した。
このファルコスはAブロック基地で手懐けられていて、スパイ活動を主としながら活動している。今回は脱走したベティ達三人の行方を探していて、その行方を先程見つけていた。
「ファルコスだ。何々? 脱走者はクローバールにて八犬士達と合流していた!? 大変だ! ドノグラー様に知らせないと!」
「ひえーっ!」
ファルコスの報告を聞いた二人の兵士は、慌てながらドノグラーの元へ報告に向かい出す。しかし彼等は零夜達がこの場に向かっている事を、この時はまだ知らなかったのだった。
※
零夜達はバッテリ鉱山に辿り着き、ベヒーモスがいる場所を探し始める。敵のいる場所は鉱山の中腹ぐらいだが、カーバンクルなどのモンスターがいるので要注意だ。
「中腹までは数キロメートルか。トワ、この道で合っているの?」
「ええ。モンスターのいる場所だと、この道が正解だからね。あと、カーバンクルなどのモンスターも出てくるから、用心して行動してね」
マツリの質問に対し、トワはウインクしながら彼女達に説明する。
トワはモンスターの出現情報や、敵の位置を測定できる千里眼を持っている。彼女に掛かればモンスターが何処かに隠れようとも、一瞬で見通す事ができるのだ。
「トワは頼りになるわね。モンスターの位置や出現する場所を知っているし、凄い才能を持っているじゃない!」
「大した事じゃないわよ。それよりもモンスターが茂みから出てくるわ」
ベティに褒められたトワは苦笑いをするが、すぐに真剣な表情で茂みに視線を移す。
すると茂みがガサガサと動き出し、零夜達は警戒態勢に入り始める。同時に額に宝石を埋め込まれた小動物達が、次々と茂みの中から姿を現したのだ。
「これってもしかして……」
「「「カーバンクル!?」」」
なんと茂みの中から出てきたのは3匹のカーバンクルで、その姿に倫子達は驚きを隠せずにいた。
カーバンクルはリスみたいな姿をしているが、エメラルド、ルビー、サファイアの体毛をしている。しかも宙にフワフワと浮かんでいるのだ。
「君達ってブレイブエイトだよね。実はお願いがあるんだ!」
「お願いって……ベヒーモスの事ですか?」
エメラルドのカーバンクルであるグリスは、代表して零夜達にお願いを頼み込む。それを聞いたエイリーンは、首を傾げながら質問してきた。
「そうなんだ。あのベヒーモスが来てから、この辺りは大変な事になっているんだ」
「このまま放っておけば大変な事になる! だから助けてくれ!」
ルビーカーバンクルのフレイム、サファイアカーバンクルのアクアスも、零夜達に助けを求めながら説明する。
3匹のカーバンクルに助けを求められているとなると、放って置ける理由にはいかないだろう。
「ベヒーモスについては任せてくれ。奴は必ず何とかする」
「だから安心してください」
「お願いするね」
零夜とメディが優しい笑みを見せながら、カーバンクル達の頼みを承諾。グリスがお願いしながら一礼したその時、何処からか足音が聞こえ始めた。
その足音は近づくごとに大きくなり、カーバンクル達は冷や汗を流しながら危機感を感じていたのだ。
「この足音……」
「間違いない……」
「奴が来たんだ! ベヒーモスが!」
カーバンクル達が危機感を感じながら振り向いたその時、彼等の前にベヒーモスが姿を現した。その身体はとても大きく、簡単に倒す事は不可能と言えるだろう。
「こいつがベヒーモスか……なら、やるべき事は分かっているわね?」
「当然! すぐに行動を開始して、ベヒーモスを捕まえるんだから! 皆、お願い!」
アイリンが倫子に視線を移し、彼女はウインクした後にベヒーモスの元へ向かい出す。同時に彼女のバングルから多くのモンスター達が次々と飛び出し、一斉にベヒーモスの周りを囲い始めた。
いきなりの展開にベヒーモスも戸惑いを隠せず、キョロキョロと辺りを見回すしかなかった。ワイバーン、ブラックボアなどの大型モンスターがいるとなれば、この場から脱出する事は難しいと言えるだろう。
「私達もサポートします! 皆さん、直ぐに縄を投げてください!」
「分かった! 全員で行くぞ!」
「「「そーれ!」」」
エイリーンは零夜達に縄を渡しつつ、それをベヒーモスに向けて投げる様に指示を飛ばす。
零夜達も頷きながら一斉に投飛ばし、ベヒーモスの身体に巻き付いて身動きを封じる事に成功する。こうなると流石のベヒーモスも身動きが取れないが、彼の力で縄が千切れてしまう事もあり得る。もし早めに終わらせるとすれば、倫子のマジカルハートで止めを刺す必要があるのだ。
「藍原さん!」
「任せて! マジカルハート!」
日和の合図と同時に、倫子は両手でハートの形を作り出すと同時にハートの光線が発射され、ベヒーモスに見事直撃したのだ。
「これで成功してくれたらよいけど……」
「大型モンスターにやるのは初めてみたいから、成功しないんじゃないかな……」
エヴァとマツリが心配そうな表情をしながら、マジカルハートの成功を心から信じていた。もしそれが失敗したとなれば、どんな手を使っても必ず倒しに行かなくてはならないだろう。
するとベヒーモスが突然粒子化してしまい、倫子のバングルの中に入ってしまった。そう。ベヒーモスは倫子の所有モンスターになったので、クエストも無事に成功したのだ。
「ベヒーモスを仲間にしたわ! これでもう大丈夫よ!」
「良かった……! これで任務完了よ!」
「「「やったー!」」」
倫子は笑顔を見せながら、ベヒーモスを仲間にした事を告げる。同時にトワ達も笑顔となっていて、皆で抱き合いながらクエスト成功を喜び合った。
あの大型モンスターを仲間にした事は奇跡としか言えず、新たな伝説が生まれるのも時間の問題だ。
「ベヒーモスを仲間にするなんて、やるじゃないか! 僕達も君達と共に戦うよ!」
「今のを見て感動した! 俺もアンタ達の力になるぜ!」
「何もしない理由にはいかないし、精一杯サポートするぜ!」
カーバンクル達も今の戦いを見て感動していて、零夜達の仲間になる事を決意。それを聞いた倫子は笑顔を見せ、もちろん承諾しながら頷いていた。今の話を聞いたら断る理由にはいかず、むしろ仲間になってくれたら戦力もアップするだろう。
「勿論! これから宜しくね!」
「「「おう!」」」
倫子の笑顔にカーバンクル達も笑顔で応え、彼等も彼女達の仲間になる事が正式に決まった。カーバンクル達も仲間にした事は大きな功績であり、他の皆が聞いたらビックリ仰天となるだろう。
(凄い……これがブレイブエイト……! お見事としか言えない……! 私もあんな風になりたいな……)
この様子を見たプラムは目を輝かせながら、零夜達の雄姿に尊敬の念を抱いていた。今の光景を見て感動した以上、今後は彼等に近付ける様努力するだろう。
(私達が苦戦していたベヒーモスを……僅かな時間で仲間にしてしまうなんて……)
(それに比べて私達は……まだまだですね……)
しかしベティとメディは驚きを隠せず、まさかの予想外な展開に固まっていた。自分達が苦戦していたベヒーモスを簡単に仲間にしてしまうとは想像以上であり、頭の中が追いついてないのも無理はない。
同時に自らの力の差を痛感してしまい、2人はただ黙り込みながら前を向くしかなかったのだった。
見事ベヒーモスだけでなく、カーバンクル達も仲間に!
しかしベティとメディは力の差に呆然としてしまいました。どうなってしまうのか!?




