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13 同じ色

 ぞろぞろと歩き、教会に着いた一行は、まず大神官に会い、そのあとレイに会いに行った。


「なにしにきたの」


 レイは開口一番、ルナレイアを睨みつけ、そう言った。


「あのね、レイ」


 まずユスティが口を開き、説得をはじめた。


「ユスティおにーちゃん? どうしたの?」


 レイはユスティを見て、顔をほころばせた。


「魔王が出たことって、知ってる?」

「うん、大神官のおじさんが、そんなこといってた」


 それでね、と話を続ける。


「今度、僕たちがその魔王を討伐することになったんだ。明後日から、僕たちは旅に出る」

「どうして? どうしてユスティおにーちゃんが、そんなことをするの? わたしもいく」

「自分で言うのもなんだけど、僕は強いからね。僕と、ルナレイアと、剣士のラナリー、それから、近衛騎士団副団長のシド。この4人で行く予定なんだけど、レイも一緒に行く?」

「ルナレイアはきらいだけど、ユスティおにーちゃんとシドおにーちゃんがいるならいく」


 ユスティとルナレイアは苦笑した。


「そっか、一緒に頑張ろうね。仲間になるんだから、みんなに自己紹介しよっか」

「わかった。わたしの名前はレイ。教会の聖女。スラム街でそだったから、名字はないしおやもいない。しょうらいの夢はユスティおにーちゃんのお嫁さんになること。よろしく」

 

 レイはぺこりとお辞儀をした。その可愛らしさに、ルナレイアたちは微笑んだ。


「よろしくね、レイ」

「ルナレイアにはよろしくしない」

「レイ、ルナレイアは聖女の先輩だから、光魔法を教えてもらわないと」


 レイは、ようやく気づいたとでも言うように、ルナレイアを上から下まで眺めた。


「ルナレイア、同じ色」

「ええ、わたくしも、聖女よ」

「聖女しか使えないひかり魔法と、しんせい魔法、教えて」

「もちろん」


 同じ色をしたふたりは、笑いあった。レイの表情はあまりなく、付き合いの長いユスティにしかわからない程度だったが。


「レイ……でいいのかな、よろしくね。あたしはラナリー」

「よろしく。ラナリーも、目、同じ色」

「ああ、この目ね。でも、光魔法は使えないの。土なら使えるんだけど」


 ラナリーはなぜだか、悲しそうに微笑んだ。


「レイ、これからよろしくな」

「シドおにーちゃん、よろしく」


 レイとシドは、面識があるようだ。シドにもよく懐いている。


「さて、5人揃ったところで、なにかする?」

「なにか?」


 ユスティが突拍子もないことを言いだした。


「ほら、歓迎会というか、なんというか」

「だが、ルナレイアはともかく、ラナリーとレイは酒が飲めないだろう」


 うーん、と、考え込むユスティとシド。


「じゃあ、お泊まり会しようよ! ルナレイアと、あたしとレイの3人で!」

「そこには僕たちは入れてくれないの?」

「もちろんっ。男は男でお泊まり会してくださーい」


 ユスティは苦笑した。男同士でお泊まり会など、面白くない。そうは思ったが、久しぶりにフォルカも交えて、酒を飲み交わすのも、悪くない。


「残念。じゃあ僕はシドとフォルカとお酒でも飲もうかな」

「聞いてないぞ?」

「うん、今決めたから」


 シドは驚き、ラナリーは地団駄を踏んだ。


「陛下に会える機会を逃すなんて……!」

「え、まだ会ったことないの?」

「あるけど会えるなら会いたいもん!」


 駄々をこねるラナリー。こういうところは、やはり子供だ。


「まあまあ、そのうち会えるからさ」

「本当!?」

「たぶん、きっとね。帰ってきたら絶対会えるじゃないか」

「帰ってくるまでが長いんだよー!!」


 ばかー! と、ラナリーは騒いだ。確かに、魔王を討伐する旅、ルナレイアの旅は、2年続いた。今回の旅がどのくらい続くのかは、わからない。だが、1年はきっと続くのだろう。いろいろな町、村を回りながら、魔王の本拠地を探すのだから。そして、全員が欠けることなく帰れるとは限らないのだから。


「ユスティおにーちゃんはばかじゃない」

「あ、うん、ごめんね。冗談だよ」

「そう。ならいい」


 レイのつっこみに、少し頭を冷やされたラナリー。


「でも、お泊まり会の件は冗談じゃないから、今日やろうね」

「どうして? 必要ない」

「あたしがやりたいんだ。だめかな?」


 ラナリーは首をかしげて、レイの瞳を見た。金の瞳が、見つめ合った。


「わかった」

「やった。じゃあ、いろいろ話そうね。親睦も深められたら嬉しいし」


 にこにこして、レイを見つめる。レイはそれを見て、何を思ったのか。


「そういえば、今日のこのあとのこと、考えてなかったけど、どうする?」

「あたしたち女の子はお泊まり会!」

「では、わたくしが借りているお部屋で、お泊まり会をしましょう」


 わいわいとおしゃべりをするルナレイアとラナリー。お泊まり会のことが楽しみで仕方ないらしい。


「じゃあ僕は、陛下にお誘いでもしに行こうかな。シドも行く?」

「いや、私はルナレイアたちの護衛をしよう。お前は必要ないだろう」

「必要ないけどさ。心配とかしてくれてもいいのに」


 ブツブツと文句を言うユスティ。言いながら、陛下のもとへ向かった。


「わたしは荷物をまとめてる」

「うん、待ってるね」


 荷物をまとめはじめるレイ。ちいさな手で、せっせと袋に服などを詰める。魔法には杖は必要ないので持たない。


「終わったら、大神官さまに聖水をいただきに行きましょうか」

「そうね、ルナレイアとレイに必要だもの」

「さきにいってていい。わたしはあとからいく」

「わかった。じゃあ先に行くね」


 ルナレイアとラナリーが大神官のもとへ向かう。シドはレイの護衛のために、その場に残った。


「シドおにーちゃんも行けばよかったのに」

「お前をここに残していけん。危ないからな」

「べつに、ここ危なくないよ。ちゃんと神官さまもいるし」


 シドが周りを見回すと、誰もいなかった。だが、気配を探ると、確かにいる。天井裏と、扉のあたりに。暗殺者かなにかか、と思ってしまった。


「だが、見えるところにいるのといないのとでは変わるんだ」

「そういうものなの?」

「そうだ」


 レイとシドは、口数が少ない者同士で気が合うのか、こうして言葉少なくも一緒に過ごすことが何度かあった。聖女であるレイが教会の外の人物に会えるのは、ユスティとシドのみだった。


「おわり」

「そうか」


 シドはレイと手をつなぎ、ラナリーとルナレイアを追うため、大神官のもとへ向かうことにした。

 その姿はさながら親子のようであった。



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