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14 女子会

短いので、今日は2話投稿します。次は20時です。

 夜になり、3人はルナレイアの部屋に集まった。侍女としてリサもいるが、扉の向こうに控えていた。

 ルナレイアとレイは白のネグリジェ、ラナリーはピンクのネグリジェを着ている。


「ルナレイア、レイ、かわいい」

「ありがとう。ラナリーもかわいいわよ」


 3人でベッドに横になり、話すことにした。キングサイズのベッドなので、3人で並んでも余裕がある。


「ね、レイ」

「なに?」


 呼ばれてレイは、顔を上げた。まだ遅い時間ではないが、眠そうな顔をしている。


「レイは、ユスティのことが好きなんだよね? どんなとこが好き?」

「やさしいところ。ちゃんとほめてくれるところ。あたまをなでてくれること。手をつないでくれるところ。ちゃんとみていてくれるとこ。聖女としてじゃなくて、わたしをみてくれる。笑ってくれるとこ。たまにシドおにーちゃんやへーかとも一緒に来て、あそんでくれるとこ。外の世界のことをお話してくれるところ」

「たくさんあるね。そんなにユスティのことが好きなの?」

「うん。わたしは、ユスティおにーちゃんのお嫁さんになって、ずっと一緒にいるの」


 そう言ったレイは、電池が切れたように眠った。初めて教会と巡礼以外の場所に行って、疲れたのだろう。


「寝ちゃった」

「そうね」

「かわいいね」


 それに対してはルナレイアは無言を貫いた。自分のことをかわいいと言っているように聞こえるからだ。


「じゃあ、次はルナレイアね。ルナレイアの好きな人のこと、教えて」

「ラナリーじゃないの?」

「あたしのことは今はいいの。先に教えて」


 しかたないわね、と、ルナレイアは呟いた。


「わたくしの好きな方は、勇者さまよ」

「勇者様?」

「ええ、もうひとつの世界の、勇者さま。この国の国王さまと、同じ顔をした、ひと」


 ルナレイアは顔を伏せた。思い出すと、まだつらい。戻れるか戻れないかはわからないが、あの人のことが好きなのは確か。でも今は、心が揺られている。


「じゃあ、フォルカ様が好きってこと?」

「この世界のフォルカさまが好きなんじゃないわ。わたくしが好きなのは、わたくしの勇者さまだけ。でも……」


 でも? と、ラナリーは言った。どうかしたの、とも。


「最近ね、ユスティさまのことが気になり始めているの。どうしてだかわからない。美しいと言われたせいなのか、もっとほかの理由があるのか。リサがユスティさまの婚約者になるかもしれないと思うと、胸が痛いの。それから、シドさまも」

「シドも? というか、敬称ついてるわよ」

「忘れていたわ。シド……も、なんだか気が合うの。話していて楽しいし、綺麗な顔を見ると癒される。どうして2人も気になる人ができてしまったのかしら。わたくしは、こんなに気が多い女ではなかったのに」


 どうしてだろう、と、ルナレイアは考える。勇者さまを好きな気持ちは、確かにここにある。それでも、ユスティとシドを想う気持ちが育っているのも確かなのだ。


「それはさ、勇者様に対する思いが刷り込みだったからじゃないの?」

「どういうこと?」

「ルナレイアにとって勇者様って、同年代で初めて会った男なんじゃない? それで、優しくされて、好きになっちゃったんだよ」


 そうかもしれない、とルナレイアは思った。でも。


「でも、それなら賢者さまを好きになる可能性だってあるわ。でもわたくし、あの方のことはなんにも思っていなかった」

「そうなの? 賢者様とやらは、ルナレイアにそっけない態度でもとったんじゃない?」

「……考えてみれば、そうかもしれないわ。賢者さまは、わたくしのことはどうでもよさそうに、話をしていたもの。じゃあやっぱり、刷り込みなのかしら」


 そう考えれば考えるほど、そうかもしれないという気がして、楽になっていく。ルナレイアはもう、刷り込みに違いないと思い始めてきた。


「じゃあ、今わたくしが2人も好きになってしまったことに、理由はあるのかしら」

「それはもう、2人とも格好いいからね。仕方ないよ。大丈夫、ルナレイアは、普通の女の子だよ」

「ラナリー……」


 ずっと、聖女として育てられた自分は、普通の人ではないのだと思っていた。普通に恋をして、結婚して、子を産む……。そんな“普通”は、自分には訪れることなどない、と、そう思っていた。

 あの日、魔王が発生したその日から、ルナレイアの人生は変わった。外にも出られるようになった。魔王には、別世界に転移などなければ、感謝してもしきれないくらいだった。


「ありがとう。ラナリー。わたくし、少しだけ自信が持てたわ。と言っても、自分の気持ちが本物なのかまだわからないから、この気持ちには一旦蓋をするつもりだけれど」

「それがいいね、変に期待させてもよくないし」

「そうね、ありがとう。相談に乗ってくれて」

「相談? あたしはただ、恋の話がしたかっただけよ」


 そう言って、ラナリーは微笑んだ。女3人の夜は、こうして更けていくのであった。


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